米国とイランが戦闘終結へ――世界が失ったもの、イランが得たもの
こんにちは、こんばんは。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(ななしのひとり)です。
今日は有料で書きます。
ということで、こちらのポストから。
【速報】イラン外務次官「覚書が完成」
— NHKニュース (@nhk_news) June 14, 2026
アメリカとの戦闘終結に向けた協議をめぐる覚書について「覚書の文書が完成し、19日に正式署名がスイスで行われる予定だ。イランは大きな勝利を収めた。正式署名のあと、覚書の文書が公開される」としています
詳しくは↓https://t.co/naS3pcDe4A
2月28日に、アメリカとイスラエルによるイランへの先制攻撃から始まった「イラン戦争」において、トランプ大統領がSNSで「戦闘終結の合意成立」を発表し、イランのガリババディ外務次官も「最終決定」を表明しました。
仲介役となったパキスタンのシャリフ首相の発表によれば、6月19日にスイスで正式な署名式典が開催される予定です。
まず何よりも重要だったのは戦争の終結です。
その意味で、この合意は非常に歓迎すべきものでしょう。
今回の戦争については、アメリカ、イラン双方が「勝利」を宣言することになると思われます。
しかし、実際のところは「アメリカの敗北」です。
そこで今回は、この戦争が何だったのか、世界が失ったもの、そして逆にイランが手に入れたものについて、地政学的な現実を踏まえながら書いていきます。
■「戦争終結合意案」の内容とは
まず、ロイター通信をはじめとする各メディアが報じている、アメリカとイランの間で交わされるとされる「戦争終結合意案」の内容を整理しておきましょう。
①ホルムズ海峡について
・イランは、直ちにホルムズ海峡をすべての商業船舶に開放する。
・アメリカは、イランの港湾に対する海上封鎖を解除する。
・この解除は署名直後に開始され、30日以内に完了させる。
②核問題について
・イランは、核兵器を製造も取得もしないことに同意する。
・また、ウラン濃縮のさらなる進展や核施設の拡張を行わない。
・アメリカは、イラン国内で高濃縮ウランを希釈することを認める。
・イランの核計画、ウラン濃縮活動、高濃縮ウラン在庫の処理方法については、覚書締結後60日間にわたって交渉し、最終合意に盛り込む。
③制裁・経済面について
・最終合意が成立するまで、アメリカはイランに対して新たな制裁を科さない。
・最終合意後は、アメリカおよび国連の対イラン制裁を、合意した日程に従って解除する。
・アメリカは一定期間、イラン産原油に対する制裁を免除し、石油輸出と収入確保を認める。
・また、約250億ドル(約4兆円)の凍結資産を、現金送金や地域協力、信用供与などを通じて解放する。
・さらに、湾岸諸国などと協力してイラン復興・開発計画を準備し、60日以内にイランと交渉する。
■トランプ政権の「誤算」
この最終案を客観的に評価すると、経済面および核問題において、トランプ政権がイランに対して異例とも言える大幅な譲歩を重ねていることが分かります。
かつて「史上最強の圧力」を掲げていたトランプ大統領が、なぜここまでイラン側の要求を受け入れざるを得なかったのでしょうか。
そこには、開戦当初の見通しの甘さがありました。
トランプ政権の最大の失敗は、「イランを攻撃して軍事的な圧力をかければ、現体制は簡単に崩壊し、国内の民主化勢力が蜂起して政権転覆を達成できる」という極めて安易な見通しのもとで、先制攻撃に踏み切ってしまった点にあります。
かつてアメリカがベネズエラや他の反米国家に対して試みたような「外圧による体制崩壊シナリオ」を、イランにも適用しようとしたのです。
しかし、現実はそうはいきませんでした。
アメリカによる不意打ちの先制攻撃は、反政府デモを行っていた国内世論を戦時体制へと変化させ、「反トランプ」で結束させてしまいました。
その結果、イラン国内の反体制派や民主化勢力は弱体化し、孤立することになったのです。
国民の間には強烈なナショナリズムと危機感が生まれ、それによって皮肉にも革命防衛隊を中心とする「国難に対抗する現体制」が、より強固に結束する結果を招いてしまいました。
皮肉なことに、トランプが仕掛けた攻撃は、反政府デモに沸いていたイランの体制危機の流れを止めてしまったのです。
■イランが手に入れた「最強のカード」
さらに、トランプ政権にとって致命的だったのは、軍事攻撃によってイランを屈服させるどころか、イランに「ホルムズ海峡の封鎖」という、世界経済を人質に取る「最強のカード」を与えてしまったことです。
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