想像力が現実を蝕むとき ― オレンジ色のコートを再び纏うために
思いもよらない事が起きるものです。2025年7月の事でした。
【独自】橙色の帽子で『参政党支持者』と誤認か…「しばき隊」名乗る男性らから暴行 傷害事件として捜査 男性らの1人は「しばき隊とは名乗っていない」と主張 | MBSニュース
ワタシの好きな色はオレンジ色です。お財布から鞄、コートの類まで、オレンジ色のモノが各種、揃っております。ただ、ここ数年、国政選挙の時期には、着用を控えるようにしていました。参政党が党のカラーとして“橙”色を掲げているからです。
ワタシは参政党を支持していません。そして支持者と間違えられるなんて、真っ平御免です。
橙色も含むオレンジ色というものは単なる色の呼び名であり、実体はありません。厳密な識別子ではないのです。そして、誰のものでもありません。
オレンジ色に“或る”イメージが付加された結果、“或る”政治団体の信者の印と「決めつけ」られて、それを身につけていた人が反対する勢力の人から暴力を振るわれてしまったのです。
ワタシにしてみれば、オレンジという色の価値が著しく毀損されてしまったと言わざるを得ない「事件」です。
夢想やイメージは時として、現実を侵食します。現実を見つめる時、想像力を発揮する事も必要ですが、「決めつけ」や「思い込み」は禁物です。ほら、ACジャパンの公共広告で「決めつけ刑事」ってあったでしょう。ちょうど、フジテレビでのCM放映差し止めに伴い生じた空き枠で沢山放送され、多くの人の目に留まった広告。SNS上では「フジテレビはSNSユーザーを批判している」なんて反響があったでしょう。
2026年1月末から2月にかけて、アメリカの司法省 (U.S. Department of JUSTICE:略してDOJ) がジェフリー・エプスタイン関連の捜査資料300万ページ超を「エプスタイン・ライブラリー」というサイトで公開しました。
Epstein Library
メールなどに加えて、およそ2,000本の動画と18万点の写真も含まれています。
この事件、本質的には「未成年者への性的搾取・人身売買」の事件です。そして、 この人物の所業は決して許される事ではありません。
そこにアメリカやイギリス、ヨーロッパの著名人が加担していたからこそ、海外(欧米)で日々、スキャンダルとしてトップニュースで取り扱われるのです。
一方で、「カニバリズム」、「サタニズム」、「世界支配エリート」、「9.11の真相」など(※筆者注:これらの内容については各人、大人としてご自分でお調べください)に関わる情報などは全くありません。これらの言葉は陰謀論の中のエプスタイン事件の要素でしかないからです。
でも、そうは言いながらも、ちょっと陰謀論の皆様のご興味を掻き立てるファイルがあります。「アドレノクロム」という単語の含まれたファイルが1件だけヒットするのです。それはDataSet9に格納されているEFTA00165018.pdfというメールです。ちなみにメールの作成者、送り先は黒塗りされており、いずれも誰かはわかりません。メールの中に引用されている誰かのチャットに「地下寺院が存在し、アドレノクロムや臓器の収穫が行われている」とあります。これは刺激的です。ただ、この1件を以て、エプスタインが“エリート層のための若返り薬”=「アドレノクロム」の非人道的採取とされる事に関わっていたとするのは少々、無理ではないでしょうか。あっ、そんなモノは実際には存在しません。あるのはアドレノクロムからの派生物である止血薬だけです。
この捜査資料公開により、陰謀論扱いされていた事が「事実であったと証明された」と喧伝する方々が多いのですが、全くそのような事もありません。陰謀論の部分は陰謀論のままですから。
また、「日本の政界・IT業界とのつながり」、「与党支持者との関係」から、オールド・メディアで全く報じられないと嘆く向きもありますが、これも全くの見当違い。
単に「日本の“当事者性”が弱い」から扱われる事が少ないのです。検索してヒットする日本人の名前や日本企業の名前は殆どはビジネス関連でしょう。本人の弁明があり、また直接的な違法行為の立証には至っておらず、推測レベルの話が多いのが実情です。そして、そんな名前の中途半端な扱いは、即、「陰謀論の焚き付け」に利用される危険がいっぱいですから。
そんな中でも、最も著名なのが前・MITメディアラボ所長、現・千葉工業大学教授の伊藤穰一さんです。ハーバード大学の数理生物学の教授マーティン・ノバク(Martin A. Nowak)さんが伊藤穰一さんに宛てたメールで、エプスタインにCCされているメールの内容が、とても興味深い。平安時代、権力の頂点に立った藤原道長が詠んだ、あの有名な歌を紹介しているのです。
「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」
どんな文脈で、このメールになったのでしょうか。
とにかく◯◯の名前が出てくるはずと言うなら、このライブラリーで検索してみれば良いのです。
そんな方々が期待している、疑惑のデパートのように扱われるお一人、竹中平蔵さんのお名前をSearchしても、1件もヒットしません。また電通をSearchしても29件。それも株価に関するメールに登場しているだけです。
一方、みんなのトランプさんの名前は4727件、ヒットします。ヒラリー・クリントンさんの名前はヒットしません。(※筆者注:2026年2月20日、この取り消し線部分、訂正します。確認不足をお詫びします。)
ヒラリー・クリントンさんの名前では699件、ヒラリーとだけでも1073件、ヒットします。夫のビル・クリントンさん、第42代アメリカ大統領の名前は3226件、ヒットします。
そして、もう一つ大事な事は、このライブラリーには、「赤ちゃん暴行」や「カニバリズム」動画は一切確認されていません。そのような映像はライブラリーには存在しないのです。 「私は見た」と主張されるなら、そのファイルの格納されたDataSetとそのURLを明らかにすべきです。
大事なことは、エプスタイン事件をめぐる司法判断や被害者への視点、なぜ長年、彼が守られてきたのかという政治・社会構造を追求する事です。陰謀論ではなく、人権・権力監視の問題として見るべきなのです。
ネットで勉強して真実を学んでいる方々は、何事も勉強です。ご自分で調べていただきたいのです。
「日本の国会議員713人の内、600人が帰化人」と仰る向きがあります。彼らも何故調べないのでしょうか。過去の官報を手繰れば良いのです。国立印刷局の官報情報検索サービスの利用をお勧めします。無料ではありませんが、“真実”のためなら仕方がありません。
警察庁生活安全局人身安全・少年課が発表している「行方不明者の状況」という報告書があります。それによると、日本では毎年、およそ8万から9万の行方不明者があるとの事。先日の選挙で落選された元議員の方が、令和5年の「9歳以下(の行方不明者)は1,115人」という数字を挙げて、「危機的状況」「不可解」さらに「トランプ政権が救出に本格的に動き出した」などとSNSに投稿されていた事を思い出します。
しかし、この数字は「行方不明の届出」の数です。冒頭に「本資料における行方不明者とは、警察に行方不明者届が出された者の数である。」と書いてあります。そして、およそ70%が届出から1週間以内に所在が確認されています。よって、9歳以下では年間167人が行方不明という事が明記されています。勿論、この数字も“大きい”数字なのですが。しかし、報告書の同じページに書いてあるのに、何故読まないのでしょうか?このように数字を扱う方が国政に関わらなくなったのは良い事にも思えます。
そういえば、チームみらいも、とんでもない方々に絡まれて大変です。
妄想が現実を侵食して、「決めつけ」と「思い込み」が先行すると、不幸を招きます。
やっぱり「推定無罪(の原則)」が基本です。裁判で有罪が確定するまでは誰でも無罪、なのです。
オレンジ色。早く、元のワタシの好きな色に戻ってもらいたい今日此頃です。
了
