見出し画像

2025/6/18 シンギュラリティと予言ー7月5日に起きる事

1)地震の発生を“予言”できると言うことは

素通しのガラスの容器、例えば理科の実験器具で使うビーカーに水を入れて、火にかけます。するとしばらくして、突然、水の中のある一点にポコっと小さな泡=気泡が発生したと思いきや、継続的に気泡が発生して蒸発する状態になります。つまり、それが沸騰という状態です。その最初の気泡、物質の特性が変わった瞬間の点、それが特異点=シンギュラリティです。

最近では、シンギュラリティ(Singularity)とは言葉は、「自律的なAI(人工知能)が自己フィードバックで改善を繰り返し、人間の知能を超える瞬間が訪れるという仮説」を指す「技術的特異点」を意味する言葉のように理解されていて、AI関連用語のようになっています。

元々は、数学や物理学で「特異点」は通常の法則が通用しなくなる点を意味します。

この水が湯に変わる瞬間と申しますか、沸騰状態になる瞬間の最初の気泡=特異点が容器の中のどこで発生するかを当てる事は全くもって難しいというか、不可能なのだそうです。

何が申し上げたいのかと言いますと、地震が起こる瞬間、または火山が噴火する瞬間というのも、同じような“仕組み”だと言う事です。超大まかに言って、地震が起こる瞬間とは、地中の奥深く、どこかで小さな崩壊が起きた瞬間であり、その連鎖が大規模になればなるほど大地震になるのです。

地震の発生するタイミングと場所がわかるという人がいらっしゃるのなら、その人は水が沸騰する瞬間=特異点の発生するタイミングと位置がわかるはずです。

予言というのは、シンギュラリティが発生するタイミングと場所を“指摘”する事なのです。

2)未来は確定しているのか

2025年7月5日に日本は滅びてしまうのでしょうか。

NHKホールにNHK交響楽団の定期公演を聴きに行った時の事です。ワタシの後ろの席のおじいさまとおばあさま(失礼!)が話していました。「7月5日に日本とハワイの間で水爆が爆発して、大きな津波が起きるんですって」と。おっ、伝言ゲームはどんどん間違った方向に向かっておりますね。

「2025年7月5日に日本で大地震や大津波が発生する」という噂が、近年SNSやニュース、特にアジア圏(台湾・香港など)を中心に急速に拡散しています。この噂の発端は、漫画家・たつき諒さんの著書『私が見た未来 完全版』に掲載された“予知夢”の内容に端を発します。「2025年7月に日本とフィリピンの中間あたりの海底が破裂(噴火)し、南海トラフ地震を超える壊滅的な大津波が日本の太平洋側を襲う」と描かれています。

実際、この時期のアジアからの日本への航空機や日本のホテルの予約が激減しています。

この海底が破裂または噴火という話に、1956年12月5日に沖縄本島から北東におよそ370km、南西諸島の直近の陸地から東におよそ150km、という地点で起きたアメリカ空母からの艦載機の水没事故をネット上で絡めて拡散する人がいます。ワタシが漏れ聞いた「水爆が爆発」というお話もその余波ですね。

しかし、位置が随分と日本寄りで、日本とフィリピンの中間あたり、とは言えません。

このアメリカ空母タイコンデロガからA-4Eスカイホーク艦上攻撃機が海中に落っこちゃった事故は、実は艦載機が海に落ちてしまっただけではなく、搭載していたB43核爆弾(※筆者注:1発説と2発説があります)もろともでした。

しかし、核爆弾(原子爆弾・水素爆弾)というのは、核爆発というプロセスを起こさない限り、大爆発は起きません。かなり複雑な工程で短時間に核反応(核分裂)を起こして、膨大なエネルギーを放出させるので、その工程を起こす前に、例えば高空から地面に落ちても爆発しません。爆弾自体が壊れます。(※筆者注:これはこれで密封されていた核物質が外に漏れる事になり、重大な核汚染が発生します。)

この飛行機は勿論、捜索されましたが、発見できませんでした。このあたりの海は水深4800m以上の深海なので、そこに落ち込んでしまったとされています。

水深5000mと言えば、1平方cmあたりにおよそ500kgの力がかかる深さです。人間の指先に馬1頭ほどの重さがかかるくらいの水圧という例えがあります。おそらく、飛行機もろとも核爆弾も圧壊、つまり潰れて粉々になってしまったのでしょう。2023年6月18日に発生した潜水艇タイタンの事故が思い出されます。核物質がどうなったのかはわかりません。広大な広大な海中で徐々に薄まりながら、拡散してしまったと考えるのが妥当でしょう。

B43という核爆弾は、大型の爆撃機ではなく、この海中に落っこっちゃった1人乗りの攻撃機に搭載できるほど小型で、いわゆる戦術核と言われる種類の核爆弾です。その威力は最大でTNT火薬換算(※筆者注:爆発などで放出されるエネルギーをTNTという火薬の爆発エネルギーを単位にして換算する比較方法:以下、「TNT換算」と表記)で1メガトンとの事です。

2022年1月15日に発生したトンガ沖海底火山、フンガ・トンガーフンガ・ハアバイ火山の大噴火では、火口付近の島の陸地が海中に沈み、大気の振動が起こした高さ1m程度の津波がおよそ8000km離れた日本に到達しました。この爆発の威力は、TNT換算4〜18メガトン相当とされています。

また、人類史上、最大の爆発威力を誇った、旧ソ連が開発した水爆ツァーリボンバの威力はTNT換算50メガトンだそうです。「爆弾の皇帝」という恐ろしい名前のこの水爆は1961年10月30日に大気圏内爆発実験が行われ、その衝撃波は1000km離れたノルウェーでも住宅の窓ガラスが割れたと言われています。

フィリピンと日本の間の距離はおよそ3000km。「私が見た未来」の“予言”では、フィリピンと日本の中間と書かれているので、仮に東京から1500kmあたりの地点で1メガトンの水爆が爆発しても、その程度の爆発では、壊滅的な津波が東京を襲うとは考えられません。

また、隕石が落ちて来ると唱えている方もあります。しかし、現時点でNASAを含む世界の天体監視を行なっているネットワークで、そのような天体運動は報告されていません。

さらに人工衛星かISS(International Space Station)と呼ばれる国際宇宙ステーションが落ちてくるとする方までいらっしゃるようですが、ISSにしても高度400kmあたりにある質量350t程度の物体なので、軌道を外れ、地表に向けて落下するような事になっても、大気圏突入時の運動エネルギーによる熱でほとんどが燃え尽きてしまうでしょう。

はっきり言って、“かなり”の質量のものが“かなり”の速度で落ちてこない限り、地表に大きな被害を及ぼす事はありません。直径 500 m 以下の小天体が海洋に落下しても、沿岸部に甚大な影響を及ぼすような大きな津波は発生しないと言われています。アニメ「機動戦士ガンダム」の世界に登場する宇宙コロニー(直径6.4km、全長40km級)そのものを巨大な質量弾として落下させ、その運動エネルギーで大規模な破壊を行う超巨大質量爆弾攻撃でもない限り、宇宙から海への落下物で巨大津波が発生する事はあり得ません。

どちらかと言うと、鹿児島県の薩摩半島からおよそ50km南の大隅海峡にあるカルデラ海底火山、鬼界カルデラ(きかいカルデラ)が突然、再噴火するような事が発生すれば大惨事になります。およそ7300年前に発生した大規模なカルデラ噴火は、過去1万年のうちの世界最大規模の噴火で、巨大な火砕流が九州南部に到達した事がわかっています。時速数百キロと言われる速度の火砕流は海上を走り、そのまま九州に上陸、農耕を中心とした生活を送っていた縄文人たちを襲いました。一瞬のうちに九州南部の縄文文化は壊滅したのです。(※筆者注:この鬼界カルデラの巨大カルデラ噴火は数万年に1回程度、発生する事がわかっています。今後の噴火確率については、およそ100年間で1%程度とされています。)

いずれにしても、まず7月5日という日付に確定的に大災害が起こるという予言はハズレます。

そう言えば、今年の春先にも、4月26日に東京が壊滅する巨大地震が発生すると“最強”の予言者が“予言”しているとする動画などが話題になりましたが、やはりハズレでした。

東日本大震災の発生を予言したとされる、たつき諒さんの過去の当たったとされる“予言”も仔細に見てみると、かなり強引なこじつけに近いようにも思えます。また、ネット上に登場する著名な予言者の皆様、ご存命の方で言えば、ブラジルのジュセリーノさん、ブルガリアのババ・ヴァンガさん、日本の松原照子さん、亡くなっている方ではアメリカのエドガー・ケイシーさん、フランスのノストラダムスさん(!)。これらの方々の“予言”、殆ど当たっていません。ちなみに「殆ど」という表現は、当たったものがあるという意味ではなく、ご当人や周囲の方々が当たっていると主張されるケースで、他者にはその真贋が検証不可能なケースがあるため、控えめにしたというようにお考えください。例えば、警察の犯罪捜査に協力した実績があるなどの主張です。

日本が誇る(!?)オカルト情報誌、スーパーミステリーマガジン「ムー」2025年7月号(6/9発売)の特集は「最終警告!! 2025年7月日本壊滅の大災難予言!!」です。表紙にも「ついに未曾有の大災難が予言された運命の2025年7月5日がやってくる‼️」と入っています。

ついつい、食い入るように特集以外も読み終えて、辿り着いた最終ページ。ふと気づくと、来月号のお知らせ、7/9発売って。おいおい、その頃、東京は滅亡してるんだから、8月号の宣伝したって意味ないじゃん!

そもそも、この6月に東京の気温が35度にもなっている事こそが大災害ですよね。    了

いいなと思ったら応援しよう!