ご近所が旅行地に変わる
vol.1779
東京大学在学中の19歳で起業し、旅行業界に新しい風を吹き込んでいるホテルプロデューサーの龍崎翔子さんが、新たなブランドを提案。
今月9日にオープンしたHOTEL SHE,のサブブランド「someone, kyoto」です。
〈TABI LABO / 2026年8月9日〉
このホテルの魅力は、「ホテルに泊まる」という行為と「家具や暮らし方を試す」という行為を一体化したことにあります。
客室が誘う新たな世界
タオル、シャンプー、ベッドサイドのランプなどなど、普段、ホテルの客室にある備品を仮に「良いなぁ〜」と思ったとしても
誰がどんな思いで選んだのか
まで考えはしないでしょう。
しかし、someone, kyotoではこうした備品こそが主役です。
客室に置かれる家具・道具・アメニティは全て、京都を拠点に活動するクリエイターやショップとの協働で選ばれたもの。
蚤の市で仕入れた古物が部屋をスタイリングしていたり、グラフィックデザイナーの小林一毅さんがこのホテルのためにデザインしたブックエンドが棚に並んでいたりするのです。
つまり、1つ1つのモノに「選んだ誰か」の偏愛や暮らしの哲学が宿っている。
宿泊者はそれらを一晩じっくり使い、気に入れば客室内のカタログやECサイトからそのまま購入することもできます。
「泊まる」が「選び、試し、持ち帰る」まで地続きになっている。
これが、someone, kyotoが提案している「暮らしの試着室」というコンセプトなのです。
ちなみに、同ホテルは客室が10室あるのですが、それぞれに異なるスタイリングが施され、レコードプレーヤーや本なども置かれています。
そこには、そのモノを選んだクリエイターたちの「こんな暮らしが心地いい」という価値観やこだわりが込められている。
宿泊者は商品を試すだけではなく、
「誰かの暮らし方そのものを一晩体験する」
わけです。
公式サイトにも「かもしれない日常を試着するホテル」と表現されているのですが、とてもステキなセンスです😊
誰かの暮らしを体験する旅
そして、サイトのキャッチコピーに
「parallel daily oasis」
と書かれているのですが、直訳すると「並行する日常のオアシス」。
つまり、someone, kyotoは旅を「遠くへ行くこと」ではなく、「同じ街のどこかで営まれている誰かの日常に触れること」と旅を再定義していることがわかります。
一般的な京都旅行なら
「清水寺へ行く→祇園を歩く→京都料理を食べる」
といったような非日常を楽しみますが、someone, kyotoが提案するのは、観光地を見るのではなく、その土地に暮らす誰かの日常に入り込む旅です。
「もし自分が京都でこんな暮らしをしていたら?」
という別の人生を一晩だけ体験し、自分の日常へ戻ったときに
「家にもこんな照明を置いてみよう」
「こういう時間の過ごし方もいいな」
と、新しい選択肢を持ち帰ることを狙っているのです。
こうした「生活観光」需要は、もはや世界的なトレンド。
昨日の越境副業を伝える記事でも、インバウンドアナリストの宮本大さんが
「実は、日本に関心を持つ外国人は、メジャーな観光地より日本人には当たり前の場所や、我々がふだん使っているような飲食店を好みます。日本人にとっては日常の風景こそが、彼らが求める日本の姿なのです。実際、外国人が欲しがる写真は、有名観光地のものではなく、リアルな日本の街並みだったりする。こうした写真を1テーマで括り、アルバムにして、海外に向けて販売するといい」
と仰っています。
だからこそ、越境ECサイトでも、こけしや招き猫など工芸品から、カロリーメイトまで、日本の日常を感じることができる品が人気なのです。
だからこそ、もし、あなたの住んでいるまちの風景がありふれているならありふれているほど、再定義しがいがあるのかもしれません。
そして、非常に価値ある発見ができる可能性は高い。
例えば、昭和の面影を色濃く残した古びた風景が、外国人だけではなく、若い世代の人気スポットになっているわけです。
ご近所旅行のススメ
「…いやいや、ウチみたいな田舎には、本当に何もない!」
という方も、その日本の田舎を求める外国人観光客がいるのを知っていただきたいところ。
自分の住んでいるまちを、いかに新しい視点で見ることができるかがポイントなのです😊
また、この地元への好奇心の眼差しは、何も観光地として考えなくても、自分自身の日常をより豊かにしてくれるでしょう。
私は最近、妻と一緒に「ご近所旅行」と題して、近所のまだ行ったことのない場所、通ったことのない道を見つけ、楽しんでいます。
たった一本でも通ったことのない道を通るだけで、違った雰囲気が楽しめ、新たな発見があったりする。
地図を広げ(もしくはGoogleマップでも良いですけど)、改めて家の周りを眺めてみると、何か好奇心が湧いてくる未開の近所が見つかるはずです。
最近は、歩きたい距離や時間に合わせてランダムに目的地を設定してくれるiPhone向けアプリ「Wherewalk」など、新たな発見との出会いを演出してくれるツールも増えてきています。
〈TABI LABO / 2026年4月19日〉
ぜひ、様々な角度から地元を眺め、ご近所愛を深めていってくださいませ😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
