革新は本質から生まれる
vol.1508
マーケティングコンサルタントとして、企業のイノベーションデザインに関わることが多いのですが、革新の一丁目一番地は「足元の財」を整理すること。
ここを怠ると、大抵は上手くいかない…
…しかし、ついつい怠ってしまうのが世の常です…
なぜなら、財の整理は強みだけではなく、弱みにも目を向けなければならないからです。
人間、自分にとって不都合なことは目を逸らしがちになってしまうもの…
そして、ついつい幸せの青い鳥を探し、迷走してしまう…
そこで今日は、革新はいかに不都合な点に目を向けることが必要かということをお話ししたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊
企業分析の基本「SWOT分析」
まず、足元の財の整理の大切さについてお話しいたしますり
マーケティングには「SWOT分析」というものがあります。
これは自社の現状を理解し、効果的な戦略を立てるために
●強み(Strength)
●弱み(Weakness)
●機会(Opportunity)
●脅威(Threat)
の4つの要素で内部環境と外部環境を分析するフレームワークです。
内部環境(強み・弱み)は自社の資産や能力、外部環境(機会・脅威)は市場や競合の状況などを指します。
これにより現状把握や課題の発見、リスク管理が可能となります。
外部環境は時代の変化により、柔軟に合わせていく必要がある。
例えば、ソニーです。
ウォークマンを始めとする音響機器や家電製品で長年にわたり成功を収めてきましたが、2000年代に入るとスマートフォンの普及によりデジタルカメラ市場が縮小。
この変化に適応するため、ソニーは電池事業など不採算事業の売却を進め、デジタルイメージング事業への転換を図り、特に高品質なセンサー技術に経営資源の再配分を行いました。
〈ビジネス+IT / 2025年7月6日〉
これにより、スマートフォンやデジタルカメラ用の高性能センサー市場でのリーダーとしての地位を確立し、ビジネスの再成長を遂げたのです。
さらに最近では、同社は従来の電子機器を始めとするハードウェア事業から、金融やコンテンツクリエーションを含むソフトウェア事業への大きな転換に成功しています。
「経営は生物」と言いますが、環境変化に適応し、絶えず変化や進化をしなければ生き残れません。
ただし、足元の財を明らかにしないと足元すくわれるのもビジネスの厳しい原理なのです。
「青い鳥」は外にはいない
実際、ソニーも「イメージセンサー技術」や「音響技術」といった基幹技術を活かしながら、外部環境に合わせ進化・変化してきました。
足元の財の整理の重要性は、『エフェクチュエーション優れた起業家が実践する「5つの原則」』の著者で、神戸大学大学院経営学研究科 准教授の吉田満梨さんも訴えていらっしゃいます。
〈Forbes JAPAN / 2025年5月19日〉
起業家が不確実な状況下で意思決定する際に重視される思考様式「エフェクチュエーション」には5つの原則があるのですが、その第一ステップが「手中の鳥の原則」。
つまり、既に持っている資源(知識、経験、人脈など)を起点として、何ができるかを考え行動する。
当たり前ですが、ここがビジネスの土台になるわけです。
手中の鳥が明らかになってこそ、多様なものを受け入れても、その会社らしさを失わずアップデートできます。
もちろん、多くの企業で足元の財の整理を行っているでしょう。
一方、それが自画自賛になっていないかどうか厳しい目で見つめないといけません。
内部環境といえど、競合と比較しての強み・弱みとなります。
そうなると、ほとんど競合に対して勝てている点(競争力)がないことに気づきます。
ときに、見つからないこともある…
…ただ、それでも磨けば競争力になり得る点を見つけ、そこを起点にして未来を考えていく。
そうした気の遠くなるような苦しい作業が足元の財の整理なのです…
…しかし、人間は弱い生き物…
その苦しさに耐えられず、速やかに強みを決めてしまう…
そんなに簡単に見つかるくらいなら、業績が厳しくなるなんてことはないのですけど…😅
実直に自社に向き合い続ける
もしくは別の方法を取ろうとします。
それが「成功体験探し」です。
上手くいっている他社事例を参考にする。
もちろん、そうした好事例から多くのことを学ぶこと自体は効果的だと思います。
しかし、事例をそのままトレースするというのは、…ちょっと危険です…
京都先端科学大学教授・一橋ビジネススクール客員教授の名和高司さんも
「擬態(カモフラージュ)病」
という言葉で、表層的にモデルケースを真似ることの危うさを指摘しています。
〈JBpress / 2025年5月30日〉
「多くの日本企業は、それらを次から次へとかぶり物としてかぶってしまいました。日本人は器用さを生かし、新たな経営手法をどんどん採り入れていったのです。しかしながら、流行にとらわれて表面的にまねをしているだけなので、本質は変わりません」。
そもそも成功要因は複雑で、偶然が重なって上手くいくこともあります。
さらに、その会社だから上手くいったということもあるでしょう。
そして、この「その会社だから」の部分が、足元の財と直結しているのです。
客観的な目で厳しく分析する、いや、し続ける。
なぜなら、競合も、環境も、どんどん変化していくからです。
地図を更新し続けないと道に迷うのと同じように、ビジネスのマップも常に更新していく。
そうした努力が経営には必要なのでしょう…(汗)
これは、個人でも同じことが言えます。
他の人財にはない強みが何なのか?
そうした問いかけをし続ける人は、やはり強い。
自分もそういう人たちを見習って革新につながる自分の本質を見つめ続けたいと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
