仕事は“資事”でもある
vol.1421
「日本社会から『社交』が消えつつある」。
そう仰る方がいらっしゃいます。
『老いの思考法』の著者で、霊長類学者の山極寿一さんです。
〈文春オンライン / 2025年3月29日〉
社交とは、“明確な目的を持たない遊び”を指します。
その遊びの中で、互いに共感力を発揮しながら、コミュニケーションをとって交流する時間が人間には必要不可欠というわけです。
交流が不可欠というワケ
山極さんは、このように続けて仰っています。
「一緒に詩を詠んだり、楽器を演奏したり、映画を鑑賞したりするのもいい。人と人とがリアルに交流することが大切なんですね。ところが今は趣味や好きなことをするさい、お金を払って一人で楽しんできて、一人で帰ってくることが多いでしょう。それはただのエンタメの消費であって、社交ではない。人々が交流することを中心にした楽しい場を社会のなかで再構築しなければならないと考えています」。
実は、全ての動物の中で、一番この遊びが得意なのは人間とのこと。
歴史家のヨハン・ホイジンガさんは、人間の文化も政治も社会も全て遊びから発展してつくられたと明らかにしています。
遊びを通して、相手に対する思いやりや信頼関係も自然に育まれていく。
それが人間の対等で自由な社会の発展へとつながっていったそうです。
だから、社交は遊びであり、人間社会を基礎づけるものだという原点に立ち返る必要がある。
それが、山極さんの主張するところなのです。
仕事の悩みの8割は人間関係と言われますが、それでも人は人なしでは生きていけない。
そういえば以前、ネアンデルタール人が絶滅し、ホモ・サピエンスが生き残れたのは、ホモ・サピエンスが高度で広範な社会的ネットワークを築けたからと聞いたことがあります。
単に心を通わせるだけではなく、交流することで学びが生まれる。
定年を迎えた方が、再びセカンドキャリアを歩む理由も、交流が生み出す価値があるのだと感じています。
ちなみに、『定年後 - 50歳からの生き方、終わり方』の著者の楠木新さんによると、定年後に自由を手に入れたとしても、実際に定年生活を楽しめる方は全体の15%しかいないとのこと。
定年を楽しみにしていた義父が75歳まで働いていたことからも、何だか実感できます😊
仕事の報酬は仕事である
同書の書評を書いた高須賀さんは
「仕事の報酬は仕事である」
と語っていらっしゃるのですが
〈Books&Apps / 2025年3月28日〉
なるほど納得できます。
仕事には
(1)目標がある
(2)苦しみを乗り越え先の達成感がある
そして、
(3)人と人とのつながりがある
わけです。
…とはいえ、仕事は大変なので、その価値を実感することは難しいでしょう…
ただ学生の頃、部活などに打ち込んだ経験がある方は、どうでしょう?
比較的、良い思い出が甦ってくるのではないでしょうか😊
私はバスケ部だったのですが、練習はキツいわ、先輩からはしごかれるわ、もちろん大変でした…
でも、インターハイに向かって一生懸命練習したあの時間、結果キラキラしていたのだとも感じています。
恐らく今の大変さも同じで、高須さんは
「結局仕事ってのは、お金じゃなくて自分の武勇伝を積み上げる為の手段なのだと思う」
という言葉で表しているのですが、大体仕事における昔話で盛り上がるのは辛かった話(笑)
つまり、原石が宝石へと磨かれるのと同じように、大変な今は、時の流れに研磨され、楽しかった思い出として煌めいていく。
もしかしたら、今のこの一瞬が、老後の自分を支えてくれる宝石になるやもしれないのです🤔
幸せの正体
2013年の刊行以来、国内累計部数は300万部を突破しており、ビジネス書として史上初の10年連続で年間ベストセラーランキングトップ10入りを果たし『嫌われる勇気』でも、人の幸せの本質は
「人に貢献すること」
であると語られています。
この本はアドラー心理学を基にした自己啓発書ですが、自分だけでなく他者にも貢献することで、人間関係をより良くし、幸福感を得るという「共同体感覚」を得ることが大事さを教えてくれている。
これは、マズローの「欲求階層説」にも通ずるでしょう。
欲求とは段階的に求めるステージが上がっていくという話です。
最初は「生理的欲求」を満たし、「安全欲求」に続く。
そして、「社会に受け入れてもらいたい(社会的欲求)」と願い、その中で「認められたい(承認欲求)」と感じるようになる。
最後には「自己実現欲求」を満たして、いよいよ幸せの絶頂を極めると思いきや…、
実はさらに上の欲求が待っているわけです。
それが「自己超越欲求」。
つまり、世のため、人のために貢献したいという欲が込み上げてくる。
結局のところ、「ありがとう」と言われること以上に嬉しいことはないのかもしれません🤔
そういう意味では、仕事は今日お話ししてきた全てが詰まっている。
ですから、今のところは生涯現役を目指してやっていきたいのです。
小さくても良いから“資事”に
実際、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」によると、60歳の就業者の45.3%、70歳の就業者の59.6%が仕事に満足しているとのこと。
〈現代ビジネス / 2025年3月7日〉
つまり、70歳の就業者の5人に3人が、今の仕事に満足していると答えているというわけです。
私も細くても良いから、長〜く仕事をしていきたい。
そのためには、50代でどう精進していくかが重要でしょう。
そして、きっと60代になっても、70代になっても、
「うわ〜大変〜、もう仕事なんてしたくない…」
と愚痴をこぼしている可能性も高い…(笑)
ただ、そうした瞬間も時の研磨で資産となる。
世のため、人のために “仕えながら”、それが “資事” に変えていけるように、今後も励んでいきたいと思います🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
