推し活の経済学
vol.1758
今朝、ニュースチェックをしていたら、【「宇宙兄弟」よなよなエールコラボデザイン缶、7月中旬よりローソンで数量限定販売】というニュースが目に飛び込んできました。
〈コミックナタリー / 2026年7月14日〉
私は週末は家飲みを楽しんでいるのですが、今一番好きなビールが「よなよなエール」。
かつ、宇宙好きということもあり、ぜひ手に入れたい一品なのですが、この自分の心理を客観的に見れば、推し活の一種なのかもしれません🤔
推し活という言葉がなかった時代は、“オタク”という概念で広がっていましたが、その違いは、このように整理できるようです。
オタク:
対象に対する「深い知識」や「収集の完璧さ」を重視。専門家レベルで詳しくなろうとする傾向がある。
推し活:
対象を「応援すること」「愛でること」そのものを重視。知識の量よりも、自分が楽しんでいるかどうかが大切。
愛でるもの(好きなもの)であれば推し活に該当するので、そういう意味で参入障壁が低い。
その壁の低さを感じているのは、企業も同じなのではないでしょうか?
続々と推し活市場に参入
まず、推し活市場について確認しておきたいと思います。
推し活総研の2万人超調査によると、推し活市場規模は前年の約3.5兆円から約4.1兆円に拡大。
1年で約6,000億円の上積みがありました。
前年時点では国内酒類市場(約3.3兆円)とほぼ同規模でしたが、今や清涼飲料市場(約4.7兆円)に迫る規模で、「特別な趣味」ではなく多くの人が日常的にお金を使う市場に成長しています。
推し活人口も増加しており、野村総合研究所の推計では、国民の3割超・約2,600万人が何らかの推し活をしており、40代以上でも約1,200万人に達しているとされ、若者文化の枠を超えて広がっているのです。
しかも、推し活は物価高の影響は受けにくいとされており、当然ながらこうしたアツアツの鉄板市場を企業が放っておくわけがありません。
6月に東京ビッグサイトで開催された「推し活 EXPO」でも、その熱気を感じることができます。
〈FNNプライムオンライン / 2026年6月25日〉
例えば、明治35年創業の美濃和紙の企業「石川紙業」が『ちびまる子ちゃん』を和紙の折り紙で表現したり

創業80年以上の金属メーカー「名古屋工業」が金属でできたポスターやトレーディングカードを生み出しています。

名古屋工業・代表取締役の三輪晃男さんは推し活市場への参入について
「それまでは銘板一本でやっていたが、市場が小さい。顧客ターゲット層は“アッパー”のお客さん。価値のあるものを自分だけの一品ものとして今後の楽しみだとかにしていって欲しい」
と仰っております。
セルフ型アンケートツール「Freeasy」を運営する「アイブリッジ株式会社」の推し活調査によると、消費者が「自分の推し」とコラボした企業に対して、好感度が「上がる(33.0%)」と「やや上がる(40.0%)」という結果に。
73.0%の人が好意的です。
さらに、日本インフォメーション株式会社のZ世代調査などでは
「推しが起用された商品・サービスへの購入意欲が約7割高まる」
というデータが出ていますので、今後ますます参入する企業は増えるでしょう。
狙うは“投資家”?
そして各企業が今後、意識しておいた方が良い人たちがいます。
それが「投資家」。
〜というのも、投資家ほど「推し活」消費に積極的だという話があるからです。
AI不動産投資サービス「RENOSY」を展開する「GA technologies」は今月、30〜40代の投資家と非投資家計1,724人を対象に実施した「アニメ・漫画の消費傾向と投資に関する調査」の結果を発表。
推し活と資産形成の関係性を探ることを目的に行われたもので、両者の消費行動の差が示されるという結果になりました。
〈オタク総研 / 2026年7月13日〉
推し活への支出スタイルを聞くと、非投資家は「無料中心」が59.4%で最多だったのに対し、投資家では「計画的に使う」が30.2%にのぼり、非投資家(16.8%)の約1.8倍。
「他の趣味を削ってでも優先的に使う」
「全ての支出を充てたい」
といった積極的な支出層の合計も投資家18.7%に対し非投資家7.0%と、約2.7倍の開きがあったのです。
ちなみに、世帯年収1,000万円未満と以上で同様の分析を行った場合、「無料中心」の回答率はそれぞれ46.4%と40.9%にとどまり、年収の差よりも投資の有無がより強く支出スタイルに影響している可能性が示されました。
また、推し活への関与度を10項目で調査した結果、聖地巡礼やグッズ制作を含む全項目で投資家が非投資家を上回っています。
中でも差が顕著だったのは主体的な行動を伴う項目で、「作品コミュニティへの参加」では投資家18.3%に対し非投資家5.9%、「二次創作や考察の発信」では投資家17.5%に対し非投資家6.2%。
いずれも投資家が約3倍の参加率を示しています。
好きなジャンルについては、非投資家の1位が「日常・ほのぼの」だったのに対し、投資家は「推理・ミステリー」が1位、「アクション・バトル」が2位。
ちなみに、松井証券のWebサイトを見ても、推し活に30,000円の費用をかけている約3人に1人が投資を実施しているみたいです。
〈松井証券 / Webサイト〉
推し活の資金源を投資のリターンで捻出している人も多いので、より消費しやすいという話もなくはないと感じますね🤔
もちろん、お金のかけ方は人それぞれなので、一概には言えないとは思いますが…
“推し活キャンセル保険”が話題
そして、最後に1つ興味深いと思ったのが“保険”です。
JCBが展開する「JCBのほけん」にて、損害保険ジャパンの子会社で少額短期保険業を営む「Mysurance」(マイシュアランス)の「推し活キャンセル保険」の取り扱いがスタート。
同保険の内容が、SNSで話題となっています。
〈毎日新聞 / 2026年7月9日〉
この保険の内容を詳しくお話ししますと
「推しに会うために、国内外を飛び回りたい!」
「推し活資金を有益に使いたい!」
という推し活層を応援するため、突然の公演中止や延期、交通機関の遅延・欠航、急な通院や入院などにより発生した遠征費のキャンセル料を、保険金額を限度に全額補償するというもの。
遠征予約から14日以内かつ、出発まで9日以上の遠征限定なのですが、出発日16日前までに保険を解約した場合、保険料は全額戻ってくる仕組みとなっています。
また、商品は「国内遠征版」と「海外遠征版」の2種類を用意しており、例えば国内遠征版では遠征費3万円の場合、保険料900円で加入が可能です。
ちなみに、JCBは1つだけファンをケアできない点も伝えています。
「※推しに会えなかったときの精神的な負担は残念ながら保険では解消できません」
ウィットに富んでる〜〜😊
そして、この保険に対し、SNSでは
「革新的だ!」
「すごいの出たな!!!!!!」
「推しに会うために予定を空けて、お金もかけて準備してる人は多いから、こういうサービスは良いと思う」
「オタクが世に認知される時代きたんやなあ」
「これは道民全員、冬遠征の時に絶対入るべきなのでは???」
「まじか。ついにここまで来たか、推し活経済…」
といった称賛の声が飛び交っているようです。
〜ということで、推し活市場は様々なプレイヤーが参画し、ますます熱を帯びています。
一方、タレントのぼる塾・田辺智加さんの愛溢れるメッセージが多くの人たちの心に染み渡っているようです。
「自分の財力以上の散財はしちゃ駄目よ。それ、自分の推し活寿命を縮めているよ。長く応援したいならできる範囲で応援するべき。それから、他のファンと自分を比べない!」
私もよなよなエールを呑み過ぎないようにしたいと思います(笑)
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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