幸せは人生の後半にやってくる
vol.1704
昨日は蘆雪の展示会が見たくて府中市美術館に行ってきたのですが、鑑賞後に南多摩駅まで散歩しました。
その道中、東京競馬場に差し掛かったので興味本位で、生まれて初めて競馬場に足を踏み入れることに。
これまで競馬場のイメージといえば、赤ペンまみれの競馬新聞を持ったおじさんたちが目を血走らせ応援しているイメージでしたが、実際は全然違うのですね🤔
もちろん、そうしたおじさんもいるのですが、家族やカップルなどが多く、芝生エリアでお酒を片手にピクニック気分で過ごす光景が印象的でした。
私も第10レースだけ見ましたが、競走馬の走る姿は大迫力。

非常に楽しい時間でした😊
再び芝生エリアの観客に目を戻すと、中には酔いつぶれて寝ている人も。
それはそれで幸せな景色だなと感じました(笑)
「それはそれで幸せ」
と今語りましたが、幸福とは「それはそれで」の部分が非常に大切だと思うのです。
幸福度は48歳前後で最低
幸福とは、辞書で調べると
「心が満ち足りている状態」
と書いてあります。
お金などの物質的なものではないということです。
そうなると人ぞれぞれ性格も価値観も違うので、当然ながら人それぞれ幸せの答えは違うということでしょう。
興味深い調査データがあります。
アメリカのダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授が世界132ヵ国で「人生の幸福度と年齢」の関係を調べたところ、幸福度は48歳前後で最も低くなり、その後は上昇に転じ、82歳前後でピークを迎えるという結果に。
これは「エイジングパラドックス(加齢の逆説)」と呼ばれ、世界中で共通して見られる現象です。
〈THE21オンライン / 2026年3月27日〉
例えば、マッキンゼー・ヘルス・インスティテュートが2023年に行った調査(20ヵ国以上のシニア層を対象)でも、オーストラリアと日本では、80歳以上の層の「精神的・社会的・精神的な健康感」が55〜64歳の層よりも高いという結果に。
また、「日本版総合的社会調査」を用いた分析でも、加齢によって実際の健康が悪化し、退職や離別などのネガティブなイベントが増えるにもかかわらず、本人の主観的な幸福感や健康感は安定、あるいは向上する傾向が確認されているのです。
ちなみに、幸福度の最低が48歳というのは「幸福度のU字曲線」と言われています。
職場での責任ある立場 に加え、子どもの自立支援や教育費、親の介護といった家庭内の負担がピークに達する時期。
キャリアや年収、人生の可能性において「先が見えてしまう」時期でもあり、様々な負の要因が重なり合う年頃なのです。
比較対象の変化がカギ
一方その後、82歳に向けて幸福度が増すのはなぜでしょうか?
主な理由だとされているのが「比較対象の変化」です。
これは、年齢を重ねるにつれて現実を受け入れ、他者との比較をやめ、身近な幸せに感謝できるようになるためと言われています。
人生の残り時間を意識し始めると、脳が自然と「不快なことに時間を使いたくない」と判断するようになる。
その結果、嫌な人間関係を整理したり、今この瞬間の小さな楽しみを優先したりする賢さが身につくのです。
これを心理学では「心理的適応」と呼び、理想の自分と現実の自分の折り合いがつくことで、幸福感が戻ってくると考えられています。
他人と比べがちだった心も「自分は自分」と思えるようになり、さらには「以前の自分はこうしたことができなかった」と自らの成長や成熟に目を向けるようになる😊
…そういう意味で言うと、過去の栄光が今の幸せを奪うという側面もあります…
『60歳で離れる人、60歳からつきあう人』の著者で、精神科医の和田秀樹さんも
「かつて大企業で部長を務めていた方が、退職後『運転が好きだからタクシーの仕事をしてみたい』と思っても、周囲の目や世間体が気になってしまうこともあるでしょう。お客さんに丁寧に接して頭を下げることも、現役時代の自分の立場と比べてしまって、どこか抵抗を感じてしまう人もいるかもしれません。
あるいは、『有名企業出身』『元部長』などの肩書きを誇りにしている人は、定年後にパートやアルバイト、地域活動などを始めても、昔の自分と比べて価値が下がったように感じてしまい、素直に新しい環境を楽しめないことがあります」
と仰っています。
こうしたことを理論的に説明したのが、心理学者で行動経済学者でもあるダニエル・カーネマン。
彼は
「人間の幸福は絶対的な条件で決まるのではなく、参照点との比較によって決まる」
ということを示しました。
例えば、年収1000万円から600万円に減った人は、「損をした」と感じてガッカリしますが、逆に500万円から600万円に増えた人は、「得をした」と感じて幸せになる。
たとえ同じ600万円でも、感じる幸せの度合いが全く違うのです。
現実は急いで受け入れない
とはいえ、現実を急に受け入れようとすることは精神的に大きな負担になります。
こうした場合は、「受け入れていない」ことを認識できることが大事だと言われているのです。
「自分は過去の栄光に比べて、今は違う状況だ」
と、意識できてくると、人は徐々に
「だったら、今人生を楽しむにはどうすれば良いのだろう」
と考えるようになる。
例えば、ボランティアでも良いので自分の過去の知見を教える場をつくると
「お金は昔の方が稼いでいたけど、教養という財産は今の方がある」
と自分を評価できるようになります。
そうした評価が自分の心に蓄積していき、次の内発的動機を育み、それが好循環につながっていく。
人の心理構造を理解していけばいくほど、幸せを感じられる人生になっていくのでしょう😊
和田さんは定年後に人生を豊かにするため無理やり仕事や趣味を見つけたりすることをやめた方が良いと仰っています。
〈PRESIDENT Online / 2026年4月28日〉
それよりも、まずは本当に好きなことを見つけること。
例えば、和田さんが生きがいをなくした男性と対話したときのことをこのように語っています。
「私は彼に、『本当に好きなことは何ですか』と尋ねました。
しばらく考えたあと、その男性は少し照れながらこう言ったのです。
『実は、子どものころから鉄道が好きなんです。でも、この歳で鉄道なんて恥ずかしいと思って……』
そこで私は、『恥ずかしいことなどありません。ぜひやってください』と勧めました」。
その男性は、近所の駅で電車を撮り始め、次第に撮影スポットを調べ、少し遠くまで出かけるように。
数ヵ月後に再び会ったとき、その男性の雰囲気はまるで別人のように明るくなっていたそうです。
つまり、幸福とは「自分に向き合い、自分をごきげんにさせる技術」と言えるでしょう。
池上彰さんは教養を「幸せに生きるための知識の運用力」と仰っていますが、まさにそうした考えと同じですね😊
「幸福への旅路は、自分の世界の中にあり、自分の心に残る体験にある」。
『幸福論』『眠られぬ夜のために』の著者で、哲学者のカール・ヒルティの言葉です。
私もこれからの人生、幸せを求めて心の中を旅したいと思います〜
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
