「全員経営」をつくる
vol.1342
社員の働きがいを生み出し、会社を成長させていくための一番の道は、やはり「全員経営」の意識づけにあると思っています。
…一方、経営者は社員からの成長・成果を待てず、気がつくとトップダウン型に…
私もボトムアップ型を理想にしつつも、トップダウン型になりがちという日々の反省があります…
…ということで、本日は自戒の念を込めて、全員経営で成功している企業をお届けしたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊
世界的企業へ押し上げた原動力
まず最初の実践企業は、ユニクロを運営するファーストリテイリングです。
同社にはカリスマリーダーの柳井正さんがいらっしゃいますが、社員一人一人が経営意識を持つための仕組みづくりをされています。
その根底となるのが「グローバルワン・全員経営」です。
〈PERSIDENT Online / 2024年11月6日〉
企業価値創出力No.1企業を目標とする同社では、このような仕組みを構成しております。

PBR(企業価値創出効率)を高めるために、徹底的に生産性を上げるとともに、イノベーションを次々と生み出していく。
その源がグローバルワン・全員経営なのですが、皆が世界で一番良い方法を実行し、それを通じて世界一を目指す最強の集団になる意識を浸透させているのです。
ですからユニクロでは求められるリーダー像が明確化されています。
それは、「変革と創造」。
変革とは仕組みを変えることで、創造は仕組みをゼロからつくること。
つまり、一般的な企業に求められている「既存の仕組みを効率良く回すこと」は評価されず、“創造的破壊者” であることが求められます。
例えば、ウィメンズアウターの担当者でしたら、その売り場を経営者の意識でマネジメントする。
自分の担当部門で地域のニーズに合ったどんな品揃え・売り場にしてどれくらいの売り上げ・利益を稼ぎ出すのかを経営者として考え抜き実践し、PDCAサイクルを回します。
それはリーダーのみならず、平社員であっても、アルバイトあっても、経営者の意識を持って働くことが重要なのです。
世界目線で現場の隅々まで経営視点で見つめ、考える。
そうした積み重ねが、山口県のアパレルショップをグローバルで戦い続ける企業に変革させたのです。
一番偉い“メイト”
アルバイトの方々であっても経営者意識を持つといえば「ドン・キホーテ」もそうでしょう。
今や
セブン・イオン・ドンキ
として総合小売り3強の一角とも言われる同店ですが、やはりボトムアップ式の仕組みで旋風を巻き起こしています。
〈JBpress / 2024年11月19日〉
ドン・キホーテではアルバイトを「メイト」と呼んでいるのですが、商品の仕入れや値付け、販促の権限を委譲しているのです。
このことについて、『進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営』を出版した日経BPロンドン支局長の酒井大輔さんは
「一番大きいのは「やりがい」だと思います。多くのチェーンストアは、従業員が本社から命じられた仕事をこなすことを重要視していますが、ドンキにはそれがありません。自分で仕入れて、値付けをして、それが売れるという成功体験を積み重ねられるので、そこにやりがいを見いだす人が多いのです」
と語っていらっしゃいます。
人は期待されると、それに応えようとする。
それを心理学では「ピグマリオン効果」と呼んでいますが、やはり、人は期待せれ、任されることでやる気が出るわけです。
さらに、ドンキでは「ミリオンスター制度」という人事制度を行っています。
こちらは、100万人程度の商圏人口ごとに1人の「ミリオン支社長」を任命するというもの。
ミリオン支社長は約100万人の商圏、100億円の年商を持つエリアの社長として完全に経営を任されるわけです。
もちろん、年間の利益貢献度で上位に入ったミリオン支社長は高額の報酬を得られる一方で、下位20%に入った場合は自動降格され新しい支社長に取って代わられる…
…そんなシビアな制度なのですが、経営者はそもそも毎日がシビアです…
仮に、降格したとしても、そこから這い上がることが非常に重要になります。
ちなみに、私も執行役員になった後、降格し、副社長になったので、そこは非常に分かります。
権限がある代わりに、責任もある。
緊張感が人を成長させ、緊張感があるからこそ達成したときの喜びも強い。
同社では、取締役や部長・室長クラスでも多くの方がメイト出身と聞きますが、「全員経営」が単なる掛け声に終わらず、経営者を生み出している。
そうした成果を感じますね。
離職率ほぼ100%がゼロに
最後にもう一社、非常に参考になる企業をご紹介して締め括りたいと思います。
その企業とは、兵庫県神戸市に本社を構えるカルモ鋳工。
1944年創業の老舗製造業で、アルミ合金鋳物・銅合金鋳物の木型製作から鋳造、機械加工、熱処理や表面処理、耐圧検査も含めた一貫生産を短納期で提供できることを強みとして、
これまで自動車エンジンや航空機部品、高速鉄道の部品など、日本の基幹産業を支える製品を製造してきました。
〈Forbes JAPAN / 2024年12月12日〉
同社ではこれまで、入社3年以内にほぼ100%が退職してしまう状況だったようで、高橋直哉社長は思い切った改革を断行。
高橋さんは、理念経営を追求される数多くの企業の経営を改めて学び、これまでの自社の経営に
「自身の価値観の押し付けがあったのではないか」
「今の若者の価値観にあった働き方を提示できていないのでは」
ということに気がつき、大きく2本の改革の柱を立てました。
1つ目の柱は、従来のトップダウン型の経営からの脱却と経営陣・社員への権限委譲。
2つ目の柱は、社員全員が全体最適を意識した働き方の実現を目指すため、会社の全ての業務を可視化することでした。
経営陣が中心となって全社員が参加する勉強会を開催し、現場目線から見えていた部署ごとの業務量を把握。
業務負荷の平準化の必要性を社員同士で共有したそうです。
さらに、これまでは自らの部署での活動のみが評価対象になっていた人事評価体系を、他部署への応援も評価する体系に変更。
他部署からの応援が自主的に起きるようになり、結果として業務負荷の平準化につながったとのこと。
こうした取り組みの効果は絶大で、新卒社員の離職率の劇的な改善にも成功。
入社3年以内の離職率は0%に。
しかも、労働生産性が2倍に躍進し、売上高は20%増、利益は30%増と、飛躍的な成長を遂げることに成功したそうです。
フォーブスの記事では
「同社は、単なる製造業ではなく、「働くを楽しむ」組織へと進化したのだ」
と評していますが、この記事を読んで、経営を司る人間として心が震えました〜
「全員経営」をつくる
その理想に向かって改めて努力したいと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
