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階段エレジー


ここは東京、とある大型駅。馴染みはない。


乗り換えは準備が8割だ。まごまごしていたら、人波に流される。


戦いは降車前から始まっている。スマホを見たのち、ホームの案内を素早く確認、目的の方向を突き止める。このホームの階段は、電車を降りて左側だ!


私は勇んで左へ進み、階段を降りた。



と、思ったら同じ階段を登っていた。



こんな風に言いたいところだが、

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

『おれは奴の前で階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…

J・P・ポルナレフ氏談


それはこういう訳ではなくて、階段を降りたところで間違いに気付いたためだ。


乗り換え先は向かいのホームだった。階段、降りなくてよかった。大きい駅だという先入観が、私を階段下まで導いた。


乗ろうとした電車の扉が目の前で閉まったのち、何事もなかったかのように歩み去る人のように。私は颯爽と階段を登った。


階段にはドラマがある。


今日、この階段は私の過ちを優しく包み込んだ。


私は私に言い訳をする。よい運動だ。


階段は語らない。登ることも降りることも等しく許容して、今日もそこにあり続ける。


階段を登り切り、背を向け、そしてワタシは電車に乗った。


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