西日に照らされて振り返る 懐かしき びんぼっちゃま
その日はたまたま早く会社を出た。
西に向かって歩く。太陽が沈みかけている。日差しがきつい。
暑さにやられながら、私はここしばらくのnote生活を振り返っていた。ちょっと、とらわれすぎていたかもしれないなと。
日常のワンシーンを切り取って、思考を自由に遊ばせる。そんなスタイルで書こうとしてきた。今もiPhoneのメモ帳には、気になったワンシーンが並んでいる。
それを発展させて記事にしようとするのだが、突拍子もないだけのもの、明らかな無理筋、そんな下書きが増えていたことに気づいた。
自分が面白く感じた思考の流れを、そのまま書くだけでもよいのではないか。そう思うと、少し気が楽になる。
西日に照らされて身体の前半分が熱を持つのを感じながら、私はそんなことを考えていた。
そういえば前半分というと、私はびんぼっちゃまを思い出す。そう、漫画『おぼっちゃまくん』に登場する、前半分だけの服を着ている彼だ。
子ども心にツッコミをいれた覚えがある。そんな奴おらんやろと。しかし、彼が私の心に鮮烈な印象を残したことは確かだ。びんぼっちゃまを思い出した私は、だんだん楽しくなってきた。
強烈な日差しは、物理的な力を持っているかのようだ。照らされる私の前半分は、じりじりと熱を持つ。
なんだか、びんぼっちゃまの服を着ているような気になってきた。気分はびんぼっちゃまだ。そう、今私は、前半分だけの服を着ている。おちぶれてすまん。
しかしそうなると後ろが気になってきた。裸の後ろ姿を晒しているのかと思うと、とても歩いていられない。びんぼっちゃまは何と強靭なメンタルを持っているのだろう。彼の新たな一面を、この歳になって発見した気分だ。
そんな強靭なメンタルを持たない私は、くるりと振り返り太陽に背を向けた。後半分も照らしてもらい、想像の服を補完する。そう、何事もバランスが大切だ。
西日に照らされながら、2種類の振り返りをこなした私は我が家へ向かう。そして今日の記事はここまでなのである。


