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メトロンズ『No Sing,No End!』(2025年9月24日 赤坂レッドシアター)

メトロンズの第9回公演『No Sing, No End!』を観てきた。今回はライス関町知弘が別の仕事(舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』)のため欠席。そして、メトロンズとしては初の試みとなる客演俳優2名(川上友里・福井夏)を招いている。

相変わらずしずる池田一真による脚本は冴えている。公演を重ねる度に、やろうとしている事のスケールやクオリティが向上している。特に今回は登場人物に女性が加わった事で、物語にいままでの「男性たち6人がわちゃわちゃしている劇」とは全く異なるテイストの関係性や展開が生まれていたし、なおかつそういった新しい要素が物語をアグレッシブに前進させる動力として機能していた。

本作では「梨を作る」という出来事を語りつつ、その出来事の背景で「人間の役割」を巡る物語が展開していく。自分自身が望んで選んだ自分の役割、他者から与えられて巡ってきた役割、望んでいたものとは異なる所で才能が開花した役割、他者を支えて鼓舞する役割。そういった「役割」に関する様々な属性が各登場人物に振り分けられて、それぞれが時には補いあい、時には衝突や仲たがいを起こし、機能不全を起こしたりもしながら物語は進行し、最終的には思いもよらない領域にまで到達する。

勿論、しずるとライスとサルゴリラなので、細部まで気が配られた台詞や、見事に呼吸が合った演技の応酬を、基本的には大笑いしながら観ていられる。しかし自分の「役割」を得た、あるいは「役割」を選び取ったと思って行動していたはずの登場人物たちに訪れる顛末は決して明るいものばかりではなく、特に、ある人物に用意された展開には「そこまで描写するのか」と驚かされた。

紆余曲折を経た登場人物たちに用意されたラストシーンでは、それぞれ異なる「役割」で振る舞ってきて、そしてなかなかかみ合わなかった登場人物達が一堂に会して自分達の「役割」を発見し、「役割」に基づいたアクションを起こす。迫力と気迫に満ちていて、興奮と驚きと馬鹿馬鹿しさに唖然とさせられつつ謎の感動も呼び起こされる、美しい結末だったと思う。

前述したように池田一真の脚本は素晴らしいし、演者側も全員が文句なしのハイクオリティではあるのだけれど、その中でもサルゴリラ児玉智洋、しずる純の2人は群を抜いている。情けない人間を演じさせた時の児玉智洋の煌めきと言ったら凄まじいし、話が通じなさそうな人間を全身で極めてナチュラルに演じきる純も見事。

半年に1回のお楽しみのメトロンズ。次回公演は来年3月。今度はフルメンバー+客演招聘ありという事で、また進化・発展した姿を見られる事を期待している。

なお、観た後の帰り道では、他の多くの人々がそうであったように梨を買った。