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90代の利用者さんが教えてくれた「幸せな歳の重ね方」

訪問看護をしていると、
病気や薬のことだけではなく、
その人の“生き方”に触れる瞬間があります。

最近、ある90代の利用者さんと関わる中で、
私はとても大切なことを教えてもらいました。

一人暮らしでも、自分の暮らしを大切にしている人

その方は90代のご高齢の方です。

ヘルパーさんやご近所さんのサポートを受けながら、
一人で暮らしています。

足が不自由で、室内の移動はずりばい。

それでも、
自分のことは自分でしっかりこなされています。

朝起きたあとの布団は、自分できれいに整える。
脱いだ洋服も、きちんとたたむ。
室内も、いつも整理整頓されている。

私は毎週、
体調確認と服薬管理のために訪問しています。

その方のお家に入るたびに、
「暮らしを大切にするって、こういうことなんだな」
と感じます。

便利なものがたくさんあるわけではありません。
誰かに全部を任せているわけでもありません。

けれど、その方の暮らしには、
静かな誇りのようなものがあります。

「今が本当に幸せ」と話す姿

その方は、とても穏やかな方です。

庭先に鳥が来ると、鳥に話しかける。
かなちょろを見つけたときには、
「お客さんが来たの」
と、うれしそうに話してくれる。

その何気ない話し方が、
本当にやさしくて。

日々の小さな出来事を、
ちゃんと喜びとして受け取っている姿に、
私はいつも心がほどけます。

ある日、その方が話してくれました。

「欲しいものなんて、何にもないの」
「今が本当に幸せ」
「好きなことをして、ゆっくり過ごせている」
「この上ない幸せな時間なの」

その言葉を聞いたとき、
胸の奥がじんわり温かくなりました。

何かをたくさん持っているから幸せなのではなくて。
誰かと比べて満たされているから幸せなのでもなくて。

今ここにある暮らしを、
そのまま幸せとして感じられること。

それは、とても豊かなことだと思いました。

物欲ではなく、「今、生きていること」への感謝

私たちは日々の生活の中で、
つい忘れてしまいます。

もっと頑張らなきゃ。
もっと稼がなきゃ。
もっと良くならなきゃ。
もっと何かを手に入れなきゃ。

そんなふうに、
いつの間にか“足りないもの”ばかりを見てしまうことがあります。

もちろん、生活していくために必要なものはあります。
家族を守るために頑張ることも大切です。

だけど、その方の姿を見ていると、
幸せって本当は、
もっと静かで、もっと近くにあるのかもしれないと思うのです。

朝を迎えられること。
自分の布団を整えられること。
鳥の声に気づけること。

そんな日常の中に、
幸せの種はちゃんとある。

その方は、
今生きていること。
生かされていること。
周りに支えてもらっていること。

そのすべてに、自然と感謝しているように見えました。

私も、こんなふうに歳を重ねたい

その方と話していると、
私もこんなふうに歳を重ねていきたいなと思います。

穏やかに。
今あるものに目を向けて。
小さな出来事を喜べる心を忘れずに。

誰かと比べるのではなく、
自分の暮らしを大切にしながら。

「今が幸せ」
そう言える人生って、
本当に素敵だなと思うのです。

訪問看護の仕事は、
大変なことももちろんあります。

命や暮らしに近い場所で関わる仕事だからこそ、
迷う場面もあります。

でもその分、
人生の大先輩たちから学ばせてもらうことが本当に多いんです!

看護師として訪問しているはずなのに、
私の方が大切なことを教えてもらっている。

そんな瞬間が、何度も何度もあります。

日々生きていることに感謝できるって、素敵なこと

忙しい毎日の中では、
感謝することを忘れてしまう日もあります。

目の前の家事や仕事に追われて、
「今日も生きている」
という当たり前のようなことに、
なかなか目を向けられないこともあります。

でも本当は、
今日も朝を迎えられたこと。
誰かと話せたこと。
ご飯を食べられたこと。
自分の足で、自分の手で、何かができたこと。

それだけでも、
とても尊いことなのかもしれません。

90代の利用者さんが教えてくれたのは、
特別な成功や大きな夢ではなく、
今ここにある幸せを感じる力でした。

日々生きていることに感謝できるって、
本当に素敵なことですね。

私も今日という日を、
もう少し丁寧に味わってみようと思います。

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