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【あらすじ】小説「新・人間革命」第一巻 1章「旭日」

小説「新・人間革命」の主人公は、著者自身をモデルとする山本伸一(やまもと しんいち)であり、創価学会の初代会長である牧口常三郎氏、二代会長の戸田城聖氏の精神を受け継ぎ、第三代会長として行動する姿が描かれています。物語は、師である戸田城聖の逝去後、山本伸一が第三代会長に就任し、戦後の日本の復興期から現代に至るまで、世界広宣流布(世界的な仏法と平和の拡大)を目指して国内外を奔走する様子を中心に展開されます。

小説『新・人間革命』の「旭日」の章は、創価学会第三代会長・山本伸一が、恩師・戸田城聖の宿願であった世界広宣流布の第一歩として、1960年(昭和35年)10月にハワイを訪問し、広大な世界へ向けて信念の旗を打ち立てるまでの、緊迫感と情熱に満ちた数日間を描いています。


師の遺訓を胸に:平和への船出と世界への確信

1960年10月2日、師・戸田城聖の七回忌にあたるこの日、伸一(32歳)は平和への強固な誓いを胸に、会長就任からわずか5カ月という異例の速さで初の海外訪問へと旅立ちます。羽田空港の送迎デッキは早朝から、伸一を見送ろうと集まった大勢の同志で埋め尽くされ、熱気と期待に包まれていました。伸一は、冷戦下で東西が対立し、核の脅威が広がる世界情勢を前に、日蓮仏法こそが人類共通の「尊厳、平等、自由」の原理を打ち立てる、真の世界宗教であるという揺るぎない確信を持っていました。

今回の旅は、ハワイを皮切りに、アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国9都市を巡るという大旅行で、各地の同志の激励・指導に加え、将来の総本山に建設予定の大客殿の資材買い付けや、海外事情の視察という、組織の未来を左右する重要な任務も背負っていました。伸一は、この歴史的な飛翔に備え、すでに学会本部に「海外係」を発足させ、海外向けの紹介書籍『ザ・ソウカガッカイ』を完成させるなど、周到かつ綿密な準備を怠っていませんでした。


真夜中のホノルル:予期せぬ試練と指導者の機知

一行がハワイ・ホノルル国際空港に到着したのは、現地時間10月1日の深夜11時過ぎでしたが、旅は到着直後から思わぬ試練に直面します。最初の入国審査で、英語に自信を持つはずだった副理事長の十条潔が、係官の早口な言葉を聞き取れず、まごつき立ち往生してしまいます。伸一は、この痛ましい光景を冷静に見つめ、世界広布を進める上では、信仰の精神だけでなく、仏法の教えを正しく伝えられる有能な語学力を持つ通訳の育成が、何よりも急務であると深く痛感しました。

さらに、空港には出迎えるはずの現地の案内役、男子部の正木永安らの姿がどこにも見当たりませんでした。伸一たちは、迎えのないまま深夜にホテルへの移動手段を探すことになり、ようやくカイマナ・ホテルにたどり着いたのは深夜2時近くでした。空腹と極度の疲労が漂う中で、伸一は日本から持参した海苔をメンバーに分け与え、「これが人生の歴史に残る、壮大なドラマの幕開けの一夜だと思えば、楽しいじゃないか」と、ユーモアと達観の境地で皆を励まします。彼は、いかなる困難や想定外の出来事も、指導者の一念と決意次第で、後に語り継がれる「楽しき歴史」に変えられるという、卓越したリーダーシップと、人々の心を温かく包み込む人間性を深く示しました。


旭日(きょくじつ)の誓い:再会と未来への指針

夜が明け、日の光が差し込むとともに、一睡もできなかったであろう、心配しきった現地のメンバーたちがようやくホテルに駆けつけます。案内役の正木が空港に来られなかったのは、本部海外係から送られたエアメールに「到着時刻が翌朝に変更になった」という誤った情報が記載されていたためでした(原因は旅行会社の単純なタイプミスでした)。同行の幹部たちが連絡ミスを厳しく追及しようとする緊迫した空気が流れる中、伸一は「時差の問題だろう」と笑いに変えて制します。彼は形式的な責任追及をするのではなく、一晩中不安であったであろう正木と同志たちを温かく労い、共に食事をすることで、創価家族の温もりを広げました。

伸一はハワイでの指導において、世界広布の確固たる方向性を示します。彼は、仏法を「日本教」にしてはならないとし、仏法の根本原理に違わない限り現地の風俗・習慣を尊重する「随方毘尼(ずいほうびに)」(仏法の精神を普遍的に広げるため、現地の文化や慣習を尊重し柔軟に対応する姿勢)の精神を教えました。さらに、人数が少ないハワイの現状にあっても、伸一は未来を見据えた壮大な構想を打ち出し、末端の「班」ではなく、中核となる「地区」の結成を即座に決定。小さな組織ではなく、広宣流布を確信させる大きな構想を示すことで、メンバーの心に希望と燃えるような決意を植え付けました。

また、伸一は太平洋戦争の激戦地であった真珠湾や戦没者墓地を訪れ、戦争の悲劇に思いを致し、人種や文化が交錯するこのハワイこそ、人類平和の縮図とする決意を固めます。彼は、地元の幹部である日系二世のヒロト・ヒラタらを懇ろに指導し、「みんなのために悩み、祈り、戦っていること自体が、既に自分の境涯を乗り越え、偉大なる人間革命の突破口を開いている」と教え、自己犠牲ではなく「人間革命」(内面的な変革)を基盤とする、新しい時代の幹部の在り方を徹底的に指導していきました。こうして伸一は、ハワイを世界広布の「旭日」が昇る出発点とし、確かな一歩を印したのです。

おわりに

この壮大なる世界旅の始まりは、いかにして人類の平和の礎となっていくのか。その全貌を、ぜひ本書でご覧ください。(リンク

※聖教電子版の有料会員向けに、小説『人間革命』および『新・人間革命』の朗読音声が提供されています。(リンク