da Vinci一強の市場に、2番手はいくらで売れるのか?
何が起こった?
CMR SurgicalのM&Aが問う、ロボット手術の次の地図
ロボット手術業界で、いま静かに面白い問いが浮かび上がっています。
それは、「da Vinciに勝てるロボットはどれか」ではありません。
もっと現実的で、もっと投資家的で、そして外科医にとっても切実な問いです。
Intuitive Surgical以外の未来に、誰が、いくら払うのか。
この問いの中心にいるのが、英国ケンブリッジ発のロボット支援手術システム開発企業、CMR Surgicalです。

同社の主力機であるVersiusは、da Vinciのように世界中の手術室を圧倒的に支配している存在ではありません。
しかし、da Vinciの巨大な重力圏の外側で、「もう一つのロボット手術の形」を提示してきた企業です。
「なぜ、いま売るのか」という前提
CMRはこの数年、外部資本に支えられて世界展開を続けてきました。
2021年6月のシリーズDでは、SoftBank Vision Fund 2のリードで$600Mを調達し、評価額は約$30億と報じられました。
当時、これは医療機器分野で世界最大級のプライベートファイナンスでした。累計調達額は$1.3Bを超えるとされています。
ところが2023年には、SoftBankとTencentという既存投資家から追加で$165Mを調達したと報じられました。
これは新規投資家を呼び込んだ拡大ラウンドというより、足元のキャッシュランウェイを延ばす性格の強い調達でした。
ロボット手術企業の長期戦は、現金を燃やし続ける戦いです。
CMRは、IPOで市場から本格的に資金を取りに行くか、戦略的買い手に売るか、という選択を迫られる位置に、すでに立っていた可能性が高い。
2025年6月、ReutersはFinancial Timesの報道を引用する形で、CMRが最大$4Bの評価額で売却を目指していると伝えました。
報道によれば、CMRは売却プロセスのためにアドバイザーを起用しており、大手戦略的買い手の関心を集める可能性があるとされています。
ただし、Reuters自身はこの報道を独自には確認できていないとも明記しています。
つまり、これは確定した買収案件ではありません。
「最大$4Bでの売却が模索されていると報じられた」という段階です。
それでも、この話が再び面白くなってきたのは、2026年4月29日に、CMRがVersius Plusの婦人科領域への米国FDA 510(k)申請を発表したからです。
良性疾患に対する子宮全摘、卵巣摘出、卵管切除などへの適応拡大を目指す申請です。
婦人科手技は、CMRが世界で積み上げてきた症例の重要な割合を占める領域でもあります。
CMRは、単なる「売りに出されているかもしれない会社」ではありません。
米国市場の入口に立ち、次の適応拡大を狙いながら、同時にM&Aの対象としても見られている会社です。
この記事は以下のような方向けです。
・ロボット手術を日常的に行う外科医(泌尿器科・婦人科・消化器外科)
・手術室看護師、臨床工学技士
・病院理事・院長・事務長、医療材料・医療機器の調達/財務担当者
・医療機器メーカー・医療機器スタートアップ
・ヘルスケア領域のVC、医療機器メーカーのM&A・事業開発担当、医療機器領域のアナリスト
・ロボット手術に関心のある一般の方

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