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今春、親元を離れるあなたへ「一人暮らし最初の1年」の乗り越え方

昨年の今頃

わが家の子どもは引っ越しをした。
昨年、志望していた国公立医学部に合格、本人の希望通り、一人暮らしが確定した為、アパートを借り、私たちが車で荷物を運んで引っ越しを手伝った。

親元を離れての一人暮らしが始まる日、子どもの元を離れた時、妻と二人で「まあ、なんとかなるだろう」と笑って話したが、内心は少し不安だったのが正直なところだ。

あれからもう1年が経つ。

週に1~2回のLINEで、楽しい話も、笑える失敗談も、時に少し苦労している様子も伝わってくる。現地の友達や先輩とも上手くやっているようで、親としては安心して見守っている。

そしてそのやりとりを重ねるたびに思う。「これは、これから同じ経験をする子たちにとって、きっと役に立つ」と。

この記事は、これから4月に一人暮らしや新生活をスタートする新大学生と、送り出す保護者の皆さんに向けて書いた。子どものリアルな経験談を交えながら、「最初の1年で注意してほしいこと」をまとめてみた。決して脅かしたいわけではない。知っておけば怖くない。準備できていれば乗り越えられる。そのことを、どうか覚えておいてほしい。


①「食」が思った以上に大変

子どもが最初に苦労したのは、「食事」だった。
受験期間中、「大学に入ったら自炊して節約する」と豪語していたのに、料理の経験がほぼゼロ。家では一度も自炊したことがなかった。

それでも意外と順応するもので、ネットで料理動画を見ながらパスタや炒め物に挑戦し、作ったものを写真に撮って送ってきたり、友達に振る舞って喜ばれたりしているようだ。「意外とできるじゃん」と本人も楽しそうだった。

ただし、それだけでは食費と栄養のバランスを保つのは難しい。そこで大きな助けになったのが、まかないの持ち帰りができる飲食店でのアルバイトだ。シフトのある日は食事の心配がなく、食費の節約にもなる。一石二鳥どころか三鳥くらいある選択だったと思っている。

一人暮らし1年目に食費が家計を圧迫するのは、よくあるパターンだ。外食やコンビニに頼りすぎると、月の食費が3~4万円になることも珍しくない。
うちの子どもが落ち着いたのは、次のような工夫を組み合わせたからだと思う。

①週に1~2回だけまとめて仕込む
休みの日に肉や野菜を下ごしらえしておき、冷蔵・冷凍する。「豚バラを塩コショウして冷凍しておくだけで、炒め物がすぐ作れる」と言っていた。毎日ゼロから料理するのではなく、「週に2~3時間だけキッチンに立てばなんとかなる」という感覚を掴んでからは、自炊の習慣が定着したようだ。

②学食・定食屋のランチをうまく活用する
外食費を抑えつつ温かいもの野菜をしっかり食べるには、学食ランチが最高だと子どもは言う。「500円で野菜が取れるのは、ここしかない」と。

③まかないバイトで食費と収入を同時に確保する
飲食バイトのまかないや持ち帰りは、食費の節約として非常に優秀だ。「今日はバイトだから夕飯の心配がない」という日が週に何度かあるだけで、生活の安定感がぐっと増す。

保護者の皆さんにお伝えしたいのは、「仕送りに食費分を明確に含めてあげてほしい」ということだ。食べることをケチる生活は、体だけでなく精神的な余裕も削っていく。


②「お金の管理」は誰も教えてくれない

大学入学まで、親が家計を管理してくれていた家庭がほとんどだろう。突然、毎月まとまった金額を自分で管理しなければならなくなる。これが意外と難しい。家賃と光熱費も引き落としならまだいいが、請求書払いの場合、支払い日にお金がない、という事態も想定されるかもしれない

家賃・光熱費・通信費は「固定費」として先に引いておく
毎月の仕送りや奨学金が入ったら、まず固定費を別の封筒(または別の口座)に移す。残った金額が「使えるお金」だ。この習慣を最初の月から作れるかどうかで、1年目の安心感が大きく変わる。

子どもが使っているのは、家計簿アプリだ。銀行口座と連動して自動で支出を記録してくれるアプリは今や無料でも優秀なものが揃っている。「つけること」より「自動で見える化されること」がポイントで、意識しなくてもお金の流れが把握できる。

「初期費用」が思ったより高い
これは保護者に向けての話でもあるが、入学時の初期費用は覚悟しておいてほしい。引越し代、家電の購入(冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・掃除機)、カーテンや寝具などの生活用品、教材費、学費の初回納入……これが重なって、入学直後の3~4月は出費が集中する。そして、最寄りのニトリが激混みになって希望日に配送が出来ないのは、あるあるだ。

子どもの場合、入学前に家電を揃えるだけで20万円近くかかった。学生向けの家電パックなどを活用しつつ、事前に予算を組んでおくことをお勧めする。

「医学部の交際費」の存在
医学部は特に先輩からの手厚いサポートがある。例えば部活終わりの部飯としてファミレスや回転すしへ行くと、どれだけ食べても「数百円」の支払いで済むらしい。また個人的に先輩から誘われて、遊びに行くときは基本、奢りになる。先輩とスノボーへ行けば、リフト券は流石に自腹だが、それ以外の飲食代、ガソリン代は免除される。

ただし、このようにしてもらうのは当然「1年生だから」である。今春2年生になる子どもは当然、先輩から受けた施しをそのまま新1年生にすることになる。もちろんそれがイヤということはないが、お金がかかることには違いない。

その分、過去の1年より交際費が掛かるのだが、それをバイトだけでクリアできるのか、必要経費として親が多少なりサポートしてあげるのか、は要相談で話し合っておきたい。


③「孤独」と「自由」は表裏一体

うちの子どもは、ありがたいことに入学直後から学科の友達や先輩に恵まれ、孤独を感じることなく新生活に馴染んでいったようだ。

特に医学部は学年のつながりが強く、先輩が過去問やノートを共有してくれたり、試験前には同期で勉強会を開いたりと、上の学年からのサポート、同期との繋がりが手厚い文化がある。先輩がいたから、同期がいたから学校も生活も乗り越えられたのではないか、と思う。

ただ、これはすべての人に当てはまるわけではない。

入学の高揚感が落ち着くゴールデンウィーク明けに、「思っていたのと違う」という感覚を覚える新入生は少なくない。友達がまだよくわからない。サークルも始まったばかり。

授業は難しい。帰っても一人の部屋。実家が、地元が恋しい。これはいわゆる「5月病」で、多くの学生が経験する。大事なのは、この感覚は一時的なものだと知っておくことだ。2ヶ月もすれば景色はがらりと変わる。それを頭に入れておくだけで、しんどい時期の乗り越え方が変わってくる。

孤独を感じたとき、無理に「楽しそう」を演じなくていい。友達を作るのが遅くてもいい。ただ、少しだけドアを開けておく--授業の前後に一言話しかける、学科のグループLINEに参加する、サークルの見学に行く--それくらいのことが、後で大きな違いになる。

子どもが「なんかしんどい」と打ち明けてきたとき、解決策を提示するより先に「そうだよね、大変だよね」と受け止めてあげてほしい。共感の一言が、子どもには一番の支えになる。


④「体の管理」は誰も代わりにやってくれない

一人暮らしになると、体調管理も完全に自己責任になる。

あとで聞いたのだが、子どもは1年目の秋に、高熱を出したらしい。39度の熱が出て、一人でふらつきながら近くのドラッグストアに行き、解熱剤を買ってきたと話してくれた。
経験から子どもが学んだことをいくつか紹介する。

①「かかりつけ医」を最初に作っておく
引越してすぐ、近くの内科を一度受診しておくと良い。「健康診断の結果を持って行って、ついでに先生に挨拶しておいた」という先輩のアドバイスを子どもは実践した。いざというとき、顔を知っている医者があるかないかで、受診のハードルが全然違う。

②薬の常備は必須
解熱剤、胃腸薬、風邪薬、絆創膏、体温計--これだけは最初から揃えておこう。「熱が出てから買いに行く」は本当につらい。

③睡眠を削らない
医学部の勉強はハードだが、子どもは「睡眠を削った週は必ず何かが崩れる」と言う。免疫が落ちる、集中力がなくなる、メンタルが弱る。6~7時間の睡眠を守ることが、結果的に最も効率がいいと学んだようだ。


⑤「生活リズム」が学業の土台になる

「自由」は最高だが、「制約がない」は両刃の剣だ。
起きる時間も、寝る時間も、食べる時間も、全部自分で決められる。これが一人暮らしの最大の魅力であり、最大のリスクでもある。

子どもは「予定がない日に昼の12時まで寝て、夜中まで友達と遊んでいた」と話していた。それもまぁ楽しかろうとは思うが、親としては1コマ目への出席など、学業に影響が出ないかのほうが心配だ。

「仮の締め切り」を自分で作る習慣が命綱になる

大学の授業は、高校と違って「毎日同じ時間に同じ先生が来る」ではない。コマが空いた日もある。レポートの締め切りが2週間後ということもある。この「余白」を自分でどう埋めるかが、大学生活の質を決める。

子どもは試験の日程、提出物の締め切り、バイトのシフト、遊びの約束、部活など、各日に「何をするか」をカレンダーアプリに入力している。完璧に守れなくてもいい。方向性があるだけで、「なんとなく過ごして気づいたら何もできていなかった」という最悪のパターンを避けられる。


⑥人間関係はうまくいくことも、難しいこともある

うちの子どもは、周りの人たちに本当に恵まれているようだ。学科の同期とは試験前に集まって勉強したり、先輩からは授業のポイントや試験情報を教えてもらったりと、良い関係を築けている。医学部という特殊な環境だからこそ、学年を超えた連帯感があるのかもしれない。「先輩がいなかったら詰んでた」という言葉が何度もLINEに出てきた。

ただ、すべての人がそうとは限らない。

一人暮らしをすると、学科の同期、サークルの先輩後輩、バイト先など、複数のコミュニティが同時に発生する。そのなかで、合わない人も出てくるし、距離の縮め方がわからなくてモヤモヤすることもある。

知っておいてほしいのは、大学は高校と違って、関係を選べる自由があるということだ。苦手な人と無理に仲良くする必要はない。礼儀は守りながら、自分が居心地のいいコミュニティに少しずつ軸足を移していけばいい。

一方で、友人や先輩のネットワークが「試験情報のネットワーク」でもある。過去問や先輩のノートを共有し合う文化は、医学部に限らず多くの学部で存在する。人間関係をすべて切ってしまうと、こうした情報から孤立してしまうことがある。完璧な関係でなくてもいい。「最低限の礼節を持った距離感」を保つことが、長い目で見て自分のためになる。


⑦それでも、一人暮らしは「最高の経験」になる

さて、ここまで注意点ばかり書いてきたが、最後は正直に言わせてほしい。

子どもは今、本当に生き生きしている。

料理の腕が上がった。お金の管理ができるようになった。体調が悪くても自分でなんとかできるようになった。友達や先輩と充実した時間を過ごし、「将来どんな医師になりたいか」を真剣に考えるようになった。LINEから伝わってくる雰囲気が、入学前とはまるで違う。1人でやっていけているという自信があるようにも感じる。

「最近楽しい?」と聞けば「うん、楽しい」と即返信が来る。

一人暮らしは、子どもを「大人」にする最短の経験だと私は思っている。失敗しながら覚える。転びながら立ち上がり方を知る。それが人生の基礎体力になる。不安は当たり前だ。うまくいかない日もある。でも知っておいてほしいのは、「乗り越えた先の景色」は必ず変わるということだ。

保護者の皆さんは、子どもを信じて送り出してほしい。失敗しても死ぬわけじゃない。コンビニ飯が続いても、お金を使いすぎた月があっても、試験で思ったより点が取れなくても、それは全部、学びだ。初めから完璧に出来る人なんていない。

あなたはもう、合格という一つの山を越えてきた。その力は本物だ。
春から始まる新しい生活を、心から応援している。

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太楼@偏差値45から医学部・難関大へ導く伴走 最後までお読みいただきありがとうございます。