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時を重ねて親子が会話することの大切さ

過去の沈黙が教えてくれたこと


今でこそ、私は両親とは普通に会話ができる。けれど、そうではなかった時間が、思いのほか長く続いていた。その状況が多少なり変わったのは結婚したときと、子どもが生まれたときだった。妻と子という存在が間に入ることで、両親との距離は少しずつ縮まっていった。親と話さなかった日々を振り返るたび、私はこれが普通だとは思わなかった。だから自分が親になったら、同じことは繰り返すまいと、ずっと心に決めていた。

小さな手を繋いで歩いた日々


子どもが生まれてからは、できる限りのことをした。妻と交代でミルクを与え、オムツを替え、離乳食を食べさせ、一緒に遊び、笑う。親友のように接することを心がけた。子どもの頃の自分が感じた不満を我が子には味あわせまいと思った。どうすればもっと良い関係を築けるのか、そればかりを考えていた。今、子どもが色々なことを話してくれるのは、そうした日々の積み重ねのおかげなのかもしれない。そう信じたい。

自分の味方がいることの大切さ


子どもが小さい頃、私は意識的に家庭での時間を作った。それは多分、私の親が仕事人間だった反動なのだと思う。高度経済成長時代のど真ん中を生きてきた親。今とは時代が違うのだから、私の親が良いとか悪いとかの話ではない。今ならそう思える。けれど当時、親に遊んでもらった記憶がほとんどないことは、やはり寂しかった。その代わり、祖父母はよく遊んでくれた。判ってくれる味方がいる。その安心感は、幼い私を支えてくれた。だから我が子には、親とも、双方の両親とも、良好な関係を築けるようにと願った。子どもにとって味方は多いほうが良いからだ。積極的に祖父母のもとへ、子どもを連れて行き、一緒に過ごす時間を大切にした。それが今の関係性に繋がっていると、信じている。

日々車の中で交わした言葉


子どもが小中学校のときに通っていたスイミングスクールと高校の3年間は最寄り駅まで、毎日欠かさず送り迎えをした。車の中で無言になったことは、多分一度もない。例え僅かでも、気になったことは必ず声をかけた。そして帰りの車中、私が子どもに必ずかけていた言葉がある。

「今日は一日どうだった?」

その日の出来事を振り返り、心が動いたことを思い出して、考えて、言葉にして伝える。それには様々な効果があると思っていた。時系列に沿って話をまとめる力、重要な情報を選び取る力、自分の行動や感情を見つめ直すことで深まる自己の認識。これらは社会に出てから役立つと思ったからだ。私自身も、子どもの話から多くのことを知った。考えていること、思わぬ発見、日々の情報。何より、子どもの状況を理解できることが嬉しかった。その時間がどれほど貴重か判っていたから、毎日の送迎を面倒だと思ったことは一度もなかった。子どもにとっては苦痛だったかもしれないが、私は、してよかったと信じている。

本音で向き合う会話


子どもが私立医学部を滑り止めとして受験したいと考えたとき、申し訳なさそうに「相談したいことがある」と切り出してきた。情報化社会だ。私立医学部受験や入学にいくらかかるか、子どもは知っている。私の年収も、何となく把握していたのだろう。だからこそ、気を遣ったのだと思う。ここには2つの選択肢があった。子どもに心配をかけたくないから「大丈夫」と言って裏で必死にお金をかき集めるか、それとも正直に「無理だ」と伝えるか。私たちは0か1かではなく、間を選んだ。〇◯円までは出せる。準備もしている。でもそれ以上は無理だから、差額は奨学金を借りてほしい。奨学金は借金。それでも行きたいなら、受験も入学も構わない、そう伝えた。子どもの人生における大事な局面。これは親子の交渉だと思った。子どもにしてみれば交渉の余地があるのとないのでは、その後の覚悟とやる気が変わる。過去からのコミュニケーションの積み重ねがあったからこそできた会話だとも思う。子どもは理解し、納得した上で、奨学金を借りる条件で私立医学部受験を選択した。結果として行かなかっただけで、仮に国公立医学部がダメなら私立医学部に進んでいただろう。親と子でも、ダメならダメで納得できる論理的な理由を説明するか、どこまでなら可能なのかを示し、誠意を見せることも時には必要だと思う。信頼関係を崩さないためにも、子どもだからといって、あしらうような対応だけは避けたい。子どもが本気なら、こちらも本気で考え、誠意を持って対応する。子どもを一人の人間として向き合うべきだと、私は思う

その先へ伝えていくこと

子どもは過去の生活や受験、今のひとり暮らしを通じて、口にはしなくとも、親に対して多少なり不満を抱くものだと思う。子育てに正解なんてない。親として100点の答えは出せなくとも、その悩む過程や誠意ある対応を見せることで、ある程度理解し、納得してもらえたらいい。そんな希望的観測を抱いている。そして子どもが親になったとき、私と同じように考えて改善を重ねて、自分の子どもにその経験や想いを伝えて、上手に育てていってほしい。それが出来る親になってほしいと、願っている。


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太楼@偏差値45中学受験から医学部・難関大へ導く伴走 最後までお読みいただきありがとうございます。

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