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データで見る大学進学率― 伸びる進学率と変わらない格差 ―

一昨年、とあるツイートをきっかけに分析結果をX(旧Twitter)に投稿したところ、多くの反響をいただきました。

もともと職業柄、関心を持っていた統計調査だったこともあり、それ以降は毎年、分析結果を継続的にXに投稿してきました。

今年は、例年行ってきた単年度での分析に加えて、2015〜2025年度の11年間を対象とした中期的な分析にも取り組みました。分析の主な結果については、「7.まとめ」に整理していますので、結果のみを確認したい方はそちらをご覧ください。

また、「学校基本調査」の過去11年分(2015〜2025年度)のデータを用いて、進学率の推移を可視化したダッシュボードも作成しました。こちらはPCでしか操作ができませんが、もしよければご確認ください。


1. 2025年度 大学進学率の分析

大学進学率の男女差と、より大きな地域差

まずは、2025年度の最新データから見てみましょう。図1.は大学(学部)への進学率を男女別にプロットした散布図です。

図1. 都道府県別大学進学率の男女比較(2025年)

中央の点線は男女の進学率が同じである直線です。この線の上にあれば女子の方が進学率が高く、下にあれば男子の方が高いことを示しています。

多くの都道府県が破線の下側に位置しています。これは、多くの地域で女子の大学進学率が男子を下回っていることを意味しています。また、破線からの距離は都道府県が変わっても大きな違いは見られず、男女間の進学率の差が、地域を問わず一定程度存在していることが読み取れます。

男女差については、図2に詳しく示しました。男子の大学進学率を女子が上回っているのは、熊本県、東京都、沖縄県など10都県でした。また、男女の進学率がほぼ一致しているのは兵庫県のみで、残りの36道府県では男子の進学率が女子を上回る結果となっています。

図2. 都道府県別大学進学率の男女差(女子-男子)(2025年)

東京都や神奈川県、京都府、大阪府などの都市部では、男女ともに大学進学率が高い水準にありますが、進学率が高くとも、男女差が小さいとは限りません。

また、地方部に目を向けると、大学進学率自体が低い地域において、女子の進学率が相対的にさらに低くなっている県が見られます。こうした地域では、地域差と男女差が重なり合うことで、進学機会の格差がより大きく表れている可能性があります。

このグラフからは、大学進学率において男女間の格差が依然として存在している状況が読み取れます。ただ、男女差以上に目立つのは、都道府県間による進学率の差の大きさです。男子・女子それぞれの進学率を見ると、地域によって大きな開きがあり、この地域間格差は以前から大きく変わっていない特徴の一つでもあります。

2. 大学進学率の分布(2015~2025年度)

図3.・図4.は、2015年度から2025年度までの11年間について、都道府県別の大学進学率の推移を示したものです。

箱ひげは各県における進学率の分布を、黄色のダイヤモンドは2025年度の最新値を表しており、図3.は2025年度の進学率を、図4.は11年間の中央値を基準に並び替えています。

図3. 大学進学率の推移(2025年基準)
図4. 大学進学率の推移(中央値基準)

まず全体を見ると、多くの都道府県で2025年度の値が箱ひげの右側に位置していることが分かります。これは、過去11年間の中で2025年度の大学進学率が最も大きかった県が多いことを示しています。

一方で、箱ひげの位置や幅に注目すると、都道府県間の進学率の差は依然として大きいことが分かります。進学率が上昇している県が多い一方で、地域間の序列構造は比較的安定しているように見えます。

いくつかの都道府県で厳しい状況が続いていることが分かり、特に 鹿児島県 では、2015年度から2025年度にかけて一定の上昇は見られるものの、進学率の水準そのものが低く、2025年度の値も全国的に見て最下位層に位置しており、トップの東京都とは34.4ポイントも差があります。

3. 大学進学率格差の分布(2015~2025年度)

図5.・図6. は、2015年度から2025年度までの11年間について、都道府県別に「女子の大学進学率 − 男子の大学進学率」を示したものです。横軸が男女差を表しており、0を基準として、右側が女子優位、左側が男子優位を意味しています。

箱ひげは11年間の分布、黄色のダイヤモンドは2025年度の最新値を示しています。図5.は2025年度の進学率を、図6.は11年間の中央値を基準に並び替えています。また、各都道府県の中央値が0から離れるほど、グラデーションが濃くなるように設定しています。

図5. 大学進学率格差の推移(2025年基準)
図6. 大学進学率格差の推移(中央値基準)

まず全体を見ると、多くの都道府県で箱ひげが0より左側に位置しており、長期的に男子の進学率が女子を上回る構造が続いていることが分かります。

特に注目されるのは、箱ひげ全体が大きくマイナス側に偏っている県です。北海道、山梨県、福井県などでは、11年間を通じて男子優位の状態が続いており、2025年度の値も依然として−5ポイント前後に位置しています。都市部に近くても、埼玉県、大阪府などでも同様の傾向が見られるのも興味深いです。

一方で、図の下部(女子優位側)を見ると、徳島県、東京都などでは、ここ11年は女子の進学率が男子を上回る年しかありません。


4. 短期大学を含めると男女は逆転

これまでは「大学(学部)のみ」のデータを見てきましたが、ここに短期大学の進学率を加えると、風景は大きく変わります。

図7. は大学・大学を含めた進学率の男女比較です。

短大を含めた場合、全国47都道府県のほぼ全てで女子の進学率が男子を上回ることになります。2025年度のデータを詳しく見ると:

  • 大学のみ:男子優位の県が多数(36都道府県)

  • 大学+短大:女子優位の県が多数(39都道府県)

「高等教育全体への進学意欲」では女子がリードしている状況があります。


5. 進学率の推移(ダッシュボード)

箱ひげ図では時系列データの細かな推移が把握しづらく、他にもいくつかの手法を試しましたが、納得いくグラフが得られませんでした。そこで、都道府県を選択し、年ごとの変化を直感的に確認できるダッシュボードを作成しました。

全体のデザインは、日本の総務省が公表していそうな統計資料を意識しています。下部のスライダーを操作することで、年度が進むにつれて多くの都道府県で大学進学率が上昇している様子を視覚的に確認できます。

皆さんもぜひお住まいの都道府県について、調べてみてください。


6. まとめ

本記事では、文部科学省が公表した「学校基本調査」をもとに、大学進学率について2025年度の最新状況と、2015年度から2025年度までの中期的な推移を分析しました。

2025年度のデータを見ると、大学進学率には依然として男女差が存在しており、多くの都道府県で男子の進学率が女子を上回っています。一方で、その差は都道府県ごとに大きくは変わらず、男女差以上に目立つのは、地域間による進学率の水準差です。この地域間格差は、以前から続く特徴であり、短期間で大きく変化している様子は見られません。

また、2015年度から2025年度までの分布を確認すると、全国的に大学進学率は上昇しています。しかし、進学率の順位や分布を見ると、地域間の序列構造は比較的安定しており、進学率が低位にとどまり続けている都道府県も存在します

さらに、短期大学を含めた高等教育全体への進学率を見ると、大学のみでは男子優位の県が多い一方で、大学と短期大学を合わせると、ほぼ全国で女子の進学率が男子を上回ります。このことから、高等教育全体への進学意欲という観点では、女子がリードしている状況にあると言えるでしょう。

今後は、ダッシュボードにより古い年度のデータを追加するとともに、全都道府県の年度推移を簡単かつ効果的に比較できるような可視化手法について、引き続き検討していきたいと考えています。


現在は、生徒数が減少する一方で大学進学率が上昇しているため、大学への入学者数は大きくは変わっていません。しかし今後、進学率の上昇が頭打ちになると、生徒数の減少がそのまま入学者数の減少につながる可能性があります。

そうなったとき、地域間や男女間の進学格差がどのように変化していくのか、また大学そのものがどのような形で存続・再編されていくのかは、重要な論点になると考えられます。引き続きデータをもとに、大学進学を取り巻く状況の変化を注視していきたいと思います。


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