2026.2.8 衆議院総選挙総括
いやあ、これは記事として残さざるを得ない。久々にnoteで政治ネタ書きます。
2026年2月8日の衆院選は、実にエポックメイキングな出来事でした。議席の移動規模などを考えても、2012年の民主党政権陥落時に匹敵する出来事だと思います。
自民党の最終獲得議席数は316。単独で衆院の3分の2を制したのは戦後初です。連立先の維新を含めると議席数は356と言うとんでもない数字に達しました。衆院定数465の76.6%です。4人に3人が与党議員、こんな事態は空前絶後です。
対して、目を覆わんばかりの惨敗だったのは中道改革連合(以下中道)。公示前の172から123落として49となりました。これ何が酷いかって、元公明党は28と議席を7つも増やした一方、旧立憲民主党は148→21なんです。7分の1、公示前の14.2%の議席数になりました。壊滅と言うより消滅の危機です。
ジャイアントキリングも話題になりました。後ほど取り上げる宮城4区の安住淳を始め、小沢一郎・枝野幸男・岡田克也・玄葉光一郎・海江田万里など、党・政府要職や大臣経験者が軒並み落選し、比例復活もない。何より「中道はゼロ打ちが1つもなかった」というのが、今回の異常さを物語っています。
長らく政治ヲチしてますが、トップクラスの異常事態だと思います。
正直政権運営という観点からだと、不安要素の方がむしろ大きい。
以下、主要な党ごとの総括を私なりに行なっておきます。
1.自民党 -小泉郵政解散再び、巨大与党の軋みはこれから
結構多くの人が指摘していますが、今回自民党の勝因は以下の2つだったと思います。
①中道立ち上げの直前に解散総選挙を表明し、奇襲に成功したこと
②「高市政権を選択するかどうか」を旗印に掲げたこと
③他党の悪口を一切言わず、自民の政策アピールに徹したこと
①は、立民と公明が合併するらしい…と言う情報がおそらく公明党サイドから政府与党にリークされたようで、これは立民公明のメンツが迂闊だったのか自民のスクープ力が優れていたのかハッキリしませんが、情報を得た直後に解散を決断した髙市総理の英断だったことは間違いないでしょう。
通常国会開催後に中道が結党されていたらもちろん解散など出来ず、旧立民と公明は政策すりあわせに時間をかけることが出来、候補者調整も容易だったでしょう。実際野田氏は「4月ごろが解散と踏んでいた」と言っているそうですしね。4月に解散総選挙となれば、中道は遙かに善戦したでしょう。
②は実に秀逸で、髙市を選ぶか否か!を突きつけたことで、政策を含めた他の争点が霞んでしまいました。特に「裏金」は全く使えなくなった。消費税減税も(これは維新と摺り合せていたと思いますが)政策として前面に出したことでみらい以外の政党と差異がなくなった。後は「高市人気」を前面に出すだけだった…と言うことです。
③については、野党との対比と言う要素でこの後に書きます。
①②ともに、2005年の小泉純一郎・郵政解散に酷似しています。
与党内の反対勢力を一掃する奇襲、そして「郵政民営化に対するイエスかノーか」を問うワンイシュー選挙…当時と状況は相当違うとは言え、おそらく高市さんは郵政解散を強く意識していたように思います。
一方で有権者の大多数は、緊迫する国際情勢や物価高、中国との関係などを冷静に見極めながら、髙市総理を支持したのでしょう。史上初の女性総理…と言うのもプラスに作用したと思います。
今回、選挙ドットコムさんをよく見ていましたが、今野忍さんが面白いことを言っていました。
「高市さんは遊説先で微妙な政策の話題を避けていた。消費税の話はしないし、国旗損壊罪の件にも触れない。おそらく執行部がそのように依頼していた」。これ、高市総理の弱点を上手くカバーしていたと思います。
髙市総理の弱点は大きく2つあります。
「失言癖(舌禍)」
「コミュニケーション能力不足=何でも自分でやるワンマン体質」
です。
思えば中国の猛反発を招いた「存立危機事態」発言も、旧立民・岡田克也氏の挑発的な質問に対し口が滑ったものでした(岡田氏が今回完全落選したのは、皮肉というか因果は巡るというか…)。消費税の時限減税を「悲願」と言ってしまったり、この人はどうにも言葉が軽い。
かつ「働いて×5」の薄気味悪い連呼が語るように、自分が率先して動いてしまう。周りに任せることが出来ない。ボスとしては決して褒められる行動ではないし、マイクロマネジメントに陥る危険性を常に孕んでいます。髙市総理のこういった性向を、周りがどこまで抑え込めるかが今後の政権運営のキモだと思っています。
かつ今の自民は(いわゆる裏金問題のあおりで)派閥がほぼ解消され、党内をコントロールする「中ボス」がいない。そのうち、絶対に暴走する若手や身体検査からこぼれた中堅どころなんかが出てきます。
まさに、2026年の自民党政治はこれからが正念場と言うことです。
2.中道改革連合 -責難は成事にあらず。政権交代の夢消え去る
中道(旧民主党勢力)の敗因。多分平気で50個くらい挙げられると思いますが、敢えてここでは1事例に絞りましょう。宮城4区です。
8日20時、NHKの選挙特番開始直後、多分20時1分にもならないタイミングで自民党・森下千里さんに当確が付いたときは、この選挙で一番の大声が出ました。
いや確かに森下さん優勢とは報道で出てたよ。でも相手は安住淳だよ?元財務大臣、中道幹事長・結党の立役者がゼロ打ちで負け?最終的にはほぼダブルスコアで森下さんの勝利でした。
森下さんは全く地盤のない石巻に単身移り住み、2021年の衆院初挑戦前から、3年間1日も休まず辻立ちをしていました。辻立ちは7,000回を超えると言われています。正しくモンスターです。選挙期間中も、ひたすらに実現したい政策を訴え「チャレンジャー」としての自らを語り続けました。こういう議員さんが生まれてくることこそが、自民党の底力だと思います。
対する安住淳氏の挙動は、今回の中道敗北の要因を凝縮したようなものでした。
①自民党をdisる
②相手候補をdisる(森下さんを「よそもの」扱い)。何なら「逆風だなんて思っていません」と嘯く。
③コート着てポケットに手を突っ込んだまま街頭演説、態度が悪い
④原発や安保など、党の重要な政策変更をごまかす・発言を二転三転させる
⑤劣勢が明らかになったら今度は有権者をdisりだす。「宮城に予算は来ません」なんて、よく言ったもんだわ。
⑥落選確定後が最悪。報道センターに現われないし、敗戦のご挨拶はZoomで、その後音信不通。自分を支えてくれた人たちに後脚で砂をかけるような行動を平気で取る。「器じゃない」以外の言葉が見つかりません。
結局、中道の中身は2012年に大敗した民主党そのままなんですよ。
全ては「自民党のせい」。そう言っておけば最大野党の座をキープできたし、何なら政権まで転がり込んできた。その成功体験から全く抜け出せてない。
今回、政策を正面切って訴えられない彼らは結局「自民党批判」に依存しました。自民党の反対を言っておけば議席が取れる、そんな行動に終始していたから、いざ「この間まで政権与党だった公明党」と組んだら、党是とされている政策を軒並みひっくり返さざるを得なくなった。
しかも、殆どの議員はこの掌返しに全く抵抗することなく中道に合流した。松下玲子に至っては「党に合流してから原発に反対する」と宣う始末。そりゃ落ちるわお前。
多くの国民はそういうのをちゃんと見ているんですよ。髙市総理を支持する若い女性が「髙市さんは人をdisらない」と評していたそうです。人の悪口を言って自陣に引き込もうとする手法は、パワハラに敏感な令和世代には通用しないのです。
「お母さんは政治的に考え過ぎ。まず高市は女性初の総理だってだけでアド持ってんの。政治に興味の無かった、特に若い女も高市から政治に興味持つようになってんの。
— 福袋 (@hukubukuro) February 9, 2026
じゃあ女なら誰でもいいかって言ったらそんな事は無くて。高市の話は具体的でわかりやすいでしょ。前向きだし。何より人をdisらない」
「責難は成事にあらず」。小野不由美氏のこの金言を、もう一度胸に刻んでおくべきだと思います。
ちなみに、今回落選しましたが佐賀1区の原口一博氏はその意味では筋を通したと思います。反ワクDS陰謀脳だから全く応援しないけど。
小選挙区を辛くも生き残った泉健太氏、小川淳也氏。この辺を中心に建て直せないと、中道というか旧民主党はほぼ生き残れないでしょう。
3.日本維新の会 ー微妙になった連立政権をどう乗り切るか
さしもの維新の会も、自民党が316も取るとは全く予想していなかったことでしょう。
形としては完全に「維新要らない」になっていますが、公明党に去られた自民に手を差し伸べた維新を袖にすることは、髙市総理も自民党もまず行なわないと思います。人倫に悖りますからね。
問題はむしろ維新の側にあります。維新が宿願としている「議員定数削減」に関しては、私は全面的に反対です。国会議員を減らすことは、国政に関与できるリソースが減ることに直結し、政策遂行の停滞を招きます。
大阪を地盤とする(外部に拡大できない)維新は、こういうケチケチ運動を常に政策の核にする。実に気に入りません。今回ダブル選で信任を得たテイにはなっている大阪都構想も、日本国全体からすると優先度は相当に低い政策と言わざるを得ない。
こういう微妙な政策を、髙市総理は丸呑みする形で連立樹立しました。そりゃそうだ。自民+維新に無所属の3人を加えて、ようやく過半数+1に達するのが今回の総選挙前の状況だったわけですから。
今や自民は単独で参議院否決法案すら再可決できる状態です。何でもありです。こういう状況下において、維新がどうやって自党のプレゼンスを維持するのか。実に難しい局面になってきたと思います。
ただ、リハックに出た吉村代表の話を聞いていて思いました。この人は髙市総理のことをよく分かっている。と言うか、短い時間で髙市総理の懐に入り込んでいる。少数与党としての意思決定の辛さを間近に見て、支えようと思ったのでしょう。それが吉村氏の巧妙なレトリックである…可能性も含めて。
おそらく吉村氏は、そういう人たらしの才能も駆使して髙市総理に寄り添っていくと思います。これは、旧公明の斉藤代表には絶対に出来ない芸当です。
4.れいわ新撰組 ー真の意味でのクラッシャー
いやマジで、Xでsimesabaさんも指摘してますが、今回の大石あきこはホンマに酷かった。掛け値無しに最低最悪。
党首討論を空論化させたのも、髙市総理の関節性リウマチ悪化による日曜討論ドタキャンという瑣事を一番騒ぎ立てて、国民全体から野党を離れさせたのも、コイツが全ての発端・元凶だと思います。
そして今回最大の戦犯は誰かと言えば、
— simesaba0141/MJ号 (@simesaba0141) February 8, 2026
れいわなんちゃらの大石某。こいつに尽きる。
ルール無視のやりたい放題で、政策論争がどこかにすっ飛んでしまった。もちろん、奴なんか無視して政策論争を挑めば良かった他の政党の連中も同じだが、こいつの罪は頭一つも二つも抜き出て酷かった。
結局、大阪5区では杉田水脈と二人で「ヤバいオバハン」枠の食い合いになり4位の惨敗。比例に至っては最少得票率にも至らず国会を去ることになりました。投票日前日に「選挙区で勝てるかも!」って言ってたらしいけど、頭がおかry
敗戦を語る会見で「爪痕を残せた」とか言ってましたが、お前が残したのは頭の悪い暴言だけじゃボケ。あ、口が悪くて済みません。
…ですが、これってやっぱり山本太郎の責任というか失敗だと思うんですよ。
山本氏が議員辞職を発表したのが1月21日。結局2月7日になって街頭演説に復活してたところを見ると、別段今回の選挙を戦い抜くだけの体力は普通に残っていたはずです。
1月21日時点で、既に髙市総理が衆院を解散する…ことはほぼ既定路線として報じられていました。山本氏はその上で議員辞職したのですから、要は「厄介事を大石に丸投げしよう」という思惑しかなかったわけです。都合の悪いところから逃げるのは幾多の野党議員と同じです。
ところが大石が暴走に次ぐ暴走を展開し、慌てて自ら演説に立ったが、時既に2億年ほど遅し。大石のヤバさは山本太郎自身がよく分かっていたはずで、その上でのこの体たらくを招いたのは「無能だから」以外にあり得ません。
結局彼は、14年ほぼ独力でコツコツ築いた地位を自らなげうってしまったわけです。れいわ新選組の終焉は、この選挙のハイライトの1つと言えます。
あ、そう言えば杉田水脈は残念でしたね。一度だけ、数分間直接会話したことがあるのですが、周り全部が敵に見える典型的な猪突猛進型人物に見えました。まあ、浮かぶ瀬もあるかもしれませんね今後。
5.国民民主党 ー真の正念場がやってきた
最初に書いておきますと、私は玉木雄一郎という政治家を基本的には評価しません。好き嫌いで行くと明確に嫌いです。Xもブロックしてますww
何せモリカケの加計側の主犯。不倫疑惑のごまかし方なんかも含め、昔から「口だけ達者な二股膏薬野郎」でした。この評価は現在もいささかも揺るぎません。
とはいえ、国民民主党がキラリと光る瞬間はありました。石破政権発足後、2024年の衆院選です。この時政府自民は2012年以来の過半数割れとなりましたが、国民民主党は公示前の7議席→28議席と大躍進しました。
この時、石破前首相はいつものネットリ論法で政策をクドクドと語っていたのに対し、国民民主はハッキリと「手取りを増やす」と言い切りました。こういうわかりやすさが(今に至るまで)一定の支持に繋がりました。
ところがその後が良くなかった。最悪と言っていい。例えば「年収の壁」に関して次々と詭弁を弄し、思いつきに近い政策を発表して財源確保は政府与党に丸投げ。ガソリン暫定税率廃止に関しても玉木氏は「自分がやった!」と言ってますが、法令の改正や各省庁との折衝には全く関わっていません。そういうのを「タダ乗り」と言うんですよ日本では。
玉木氏の戦法は、政府与党が少数である間は非常に有効でした。キャスティングボートをちらつかせ「政策単位で協力する」と言いながら支持者ウケしそうな(裏付けのない)政策を示す。実施は与党丸投げで、政策が進めば成果もアピールできる。玉木氏は心底では「政府与党なんてやりたくない、ましてや総理大臣なんてまっぴら」と100%間違いなく考えているので、今の国民民主は居心地が良いことこの上ないでしょう。
ところが、与党が衆議院の3/4を占めてしまった今、上記の戦略は全く取れなくなりました、それどころか無党派の一定割合は国民民主ではなくチームみらいに流れ、議席は28のまま。国民民主党の短いブームは終わった、と考えています。
最低限閣外協力を具体的な形で示さない限り、国民民主はこのまま埋没していくでしょう。玉木氏の個人政党に近い現状において、彼が党首を退くことも現状では考えにくい。榛葉氏とのコンビアピールも、そろそろ限界が来ているように思います。
どうするんでしょうね。まさしく正念場だと思うんですが。
6.それ以外の政党:短観
残りについては、政党ごとに書くことがない(知見および興味がない)ので簡単に。
●参政党…未だに「何がしたい政党なのか」よく分からないんですよね。マルチビジネスで信者を囲ってれば良かったのに。神谷代表は明確に「総理大臣になる気はない」と言って政策協議には一切加わらず、Xでトンデモ発言してコミュニティノート食らいまくってるだけ。
組織拡大にのみ興味があるテイですが、今回大躍進と言っても15議席止まりだし、前回の国民民主のような勢いはない。小選挙区の立候補者は全滅。かつ無党派票はチームみらいに流れつつある…なんか、もう頭打ちじゃないですかね?
●チームみらい…ここもよく分かりません。消費税減税に安易に乗らない点だけは評価してますが、幹事長が完全な政策オンチだったり、左派系団体との繋がりがヒソヒソされていたり、単なるITテクノクラートの集団ではない胡散臭さを感じるのは事実です。
これも選挙ドットコムで「チームみらいは都民ファーストの国政版」というコメントがありました。なるほど、そう考えれば良いのか。子育て世代などにウケが良い理由がよく分かります。
無党派票が自民の次に入っているそうで、これからの台風の目になっていくのは間違いないでしょう。つーか石丸伸二が出てくるよりは100万倍良いけどな!
●共産党…コメント無し。ただまあ、沖縄4区を自民に総取りされたの痛すぎません?
●日本保守党…百田有本の迷惑系YouTuberとしてしか生き残る道はないでしょう。あんな自己承認欲求肥大型の爺さんを未だに支持している人が多いことに驚かされますが。結局河村たかしに逃げられて議席ゼロですし。
●ゆうこく減税…前でも書いたけど原口さん落ちたのはびっくりっすねえ。以上
●社民党…ラサール石井とともに沈んでいってね。以上
長くなったなあ…
記録としてしっかり書いておきたいと思いましたので。
