見出し画像

【東京川歩き:目黒川】新緑の季節を満喫する

 世田谷区から品川区に流れる全長およそ8kmの目黒川を上流から下流まで歩いた。

目黒川の起点から「目黒川緑道」を歩く

 池尻大橋駅から徒歩10分弱の場所に「目黒川緑道」と書かれた石碑がある。その近くに水が湧き出し東へ小川が流れている。ここが目黒川の起点だ。西方向へは2つの小川があり、北側の「北沢川緑道」は世田谷区赤堤まで、南側「鳥山川緑道」は同じく世田谷区の千歳台まで続く。

「目黒川緑道」と書かれた石碑
目黒川の起点

 私はもちろん目黒川の下流を目指すので、起点から再び目黒川緑道を歩き池尻大橋駅まで戻る。のんびり目のスタートで、時刻は昼過ぎ。

 目黒川緑道の小川は、新宿区の落合再生センターで下水処理された再生水が流れているため、水は透明度もあり、鯉の泳ぐ姿や、蛇(!)が舌を出す姿なども見ることができた。小川に沿って多種多様の植物が植えられており、緑や花々がきれい。
 ランニングやウォーキングをしている人もおり、地元の人にも親しまれているよう。私も和やかな散歩を楽しんだ。

蛇がいた
緑や花々に癒される緑道

暗渠と開渠

池尻大橋より下流から開渠に

 10分ほど歩くと、池尻大橋駅に戻ってきた。玉川通り(高架に首都高速道路3号)を横断した先に目黒川は続く。ここで川幅が急に広くなっている!「へえー面白いな!」くらいにしか思ってなかったのだが、後に調べると、目黒川緑道までは、実は"暗渠"になっているらしい。
 暗渠とは、一言でいうと地下水路のこと。または、かつては川だった地下通路や埋立地などもこう呼ばれている。私は“暗渠”という言葉を川について色々と調べものをするようになって初めて知ったのだが、河川はもとより中には“暗渠マニア”の方々もいて、驚いた。川歩きを始めた私だが、とてもそのような域には達していない。

 開渠(※暗渠の反対で地上の河川のこと)になってすぐに「清流の復活—目黒川—」という案内板があった。なんでも昭和の初め頃までは、目黒川上流はかんがい(農地などへ水を供給するための水路)として、下流は河口から現在の船入場まで運河として利用されていたのだとか。しかしのちに都市化が進み水質の悪化や水量の減少がみられるようになり、1995年頃から目黒川清流の復活事業を行い、前述したように、現在は新宿区上落合にある落合水再生センターで高度処理した再生水が流れている。

新緑の季節の目黒川

まだ歩き始めて数十分だが、確かに川の水質はなかなかきれいだ。そして、隅田川のように立派な橋はないし桜のシーズンもとっくに終わっているけれど、新緑と清流の景色がとても爽やか。この日は特に暑く、初夏の陽気のもとでは特に気持ちがよい。木漏れ日を浴びた水面が輝き、桜がなくても時に見とれるほど清々しい景色。

初夏には気持ちがよい涼しげな景色

 ふと河川がやたらに直線なことに気がつく。前回、隅田川を歩いた時と違って、目黒川はとにかくスコーン!!と真っ直ぐ。これは何か理由があるのだろうか?

やたらと真っ直ぐな河川

 中目黒周辺は、しばらくおしゃれなカフェやアパレルショップなどが続いており、人通りも多い。どこにも立ち寄らず、ひたすら歩いた。中目黒駅をすぎると、店や人通りがまばらになり、落ち着いた雰囲気に。
 ふと先をみると、川に何かいる?と一瞬思ったのだが、石だった。と思ったら、石の上に一羽の鳥がとまっていた。川岸には、ちょっとした広場がある。後で知ったのだが、このあたりは先程の案内板にあった「船入場」の跡地だった。

目黒川の歴史

 江戸時代からかんがい用水として利用されてきた目黒川。川沿いには上田が多かった。しかし、川幅が狭く水深が浅いため、大雨が降ると川の水があふれ、田畑が冠水することもしばしばだったとか。

 大正から昭和初期にかけて治水とともに運河として活用できるように整備される。これによって、曲りくねった川の流れが、現在のようにほぼ真っすぐになったそうだ。しかし依然として、雨量によっては水量が川からあふれることもあったという。

 平成に入ると、昔の船入場跡地を利用し大雨の備えとして調節池を整備。都内で最初に整備された地下箱式調節池だそう(“地下箱式”ってよくわからないけど)。調節池の上部には目黒区が憩いの場を整備し、「船入場調節池」と呼ばれ現在に至る。

水は淀み、マンションに囲まれた景色が続き退屈……

 船入場調節池を過ぎ、しばらくするとなんだか川の水が淀んで来た……。

 「目黒川清流の復活事業」に勤しまれる目黒川だが、そう一筋縄に清流が維持できるわけではないようで、中目黒から下目黒の境にかけては、潮の満ち引きにより川の流れが悪く、毎年、水温が上がる季節に雨が降った後などには悪臭や水面の白濁化などが発生するらしい。目黒区のHPによれば「植物性のプランクトンが発生し、水面が緑色になる場合もあります」とあるのだが、中目黒を過ぎたあたりの目黒川はまさに緑色の淀んだ川だった……。

清流がいつの間にか淀んだ溜水に……

 マンションやらビルやらが立ち並び、濁った川を眺めたり、コンクリートの護岸にさえぎられたりしながら歩き、五反田へとたどりつく。東急電鉄が川の上を走るのを、ぼんやりと眺めた。そろそろ疲労がたまってきた。休み休み歩く。

東急電鉄の車両が走る。都会の入り組んだ景色

 五反田を過ぎ、大崎を歩いているときが一番辛かった。とにかくマンション?団地?ばかりで、視界が狭く、いつもまでも同じ景色。団地の迷路に閉じ込められているような気分で、正直、川歩き史上(といっても2回目だけど)一番「つまらない」と思った。

北品川に出た。ゴールはもうすぐ

 やっとのことで北品川へ出た。高いビルが川の周りにないだけで開放感がある。しかも、ゴールも近づいている。ゴールにはどのような景色が待っているのだろう。

 北品川周辺は寺や神社が多くあるが、もう夕方なので、寄り道せずにゴールを目指す。近くには、沢庵和尚の墓や板垣退助の墓などがあるらしく、史跡めぐりなんかするのも楽しそう。しかしこれは執筆している今知った。
 実はこの週末は目黒川歩きではなく神田川歩きをするつもりだったのだが、同行者が連休をとれなかったため一日で歩ける目黒川に変更したという事情があり、ほぼ下調べなしで歩いた。品川といえば東海道五十三次の宿場でもあり、今まで歩いてきた道のりの中ではたぶん一番歴史があるだろう。やっぱり、下調べして気になるところを寄り道する余裕はほしかったな。

水辺の公園を過ぎ、いよいよゴール

 疲れたけどゴールも間近! ついに河口近くが見えてきた。水辺に公園があった。子供たちが楽しそうに水遊びをしていて、しばらく無機質なマンションやら道路やらを見てきた後なので、ちょっとしたオアシスのように感じられた。ここをゴールにしてもいいのだけど、せっかくなので、天王洲通りを越えて東京湾が見えるところまで行く。しかし、見えたのは、東京モノレールの線路と「高速1号羽田線更新工事実施中」と無機質なコンクリートや鉄筋の景色。疲れたので、ベンチに座ってしばし休憩後、天王洲アイル駅より帰路についた。

橋を跨いだらどんな景色が?と思っていたけど……
殺風景なゴール

 目黒川は桜のシーズンだけでなく新緑の季節も美しかった(ただし途中で淀みあり)。船入場(とは知らなかったけど)を見てここはなんだろう?とか、やたらと直線で不思議だなぁとか、川歩き初心者らしい素朴な疑問がわいたが、それぞれ理由があるのだなぁと思った。次回はもう少し下調べをして、余裕をもって歩きたい。

参考:目黒区HP


いいなと思ったら応援しよう!