東アジアくいだおれ紀行(中国福州編)
中国東南エリアにある歴史的な港湾都市 福建省福州。
古代より海上交易の拠点として繁栄し、琉球王国と中国を繋ぐ拠点にもなりました。

福州は、南国風の気候でガジュマルの木が多いことから、またの名を「榕城(ロンチュン)」とも言います。台湾海峡を望む海、世界に誇る茶を育む「武夷山(ウーイーシャン)」、福建省を代表する河川「闽江(ミンジャン)」など、福建省は自然の恵みが非常に豊かな土地です。
海山川の幸を活かした独特な食文化を持っており、「闽菜(ミンツァイ)」と呼ばれる福建料理は中国八大料理のひとつにもなっています。
日本でもお茶といえば福建省といったイメージはあると思いますが、逆にそれ以外の魅力や食文化を知る機会が少ないように思います。
陸のシルクロードの要所だった蘭州編に続き、今回は海のシルクロードの要所、福州でのくいだおれ紀行をお届けします。
古代建築の中で伝統的な軽食「同利肉燕」
福州には、明清時代の伝統的な建物が残る「三坊七巷(サンファンチーシャン)」というエリアがあります。
一部修復や立て直しがされていますが、実際に歴史の偉人たちが住んでいた建物もあるようです。
長い路地には、レストラン、軽食スタンド、土産物屋が立ち並び、朝から晩まで観光客が絶え間なく行き交います。



そんな三坊七巷で立ち寄ったのは、福州の伝統的な軽食である「肉燕(ロウヤン)」の人気店、「同利肉燕(トンリーロウヤン)」です。
肉燕は、豚肉と米を混ぜ込んで薄く伸ばした皮に、豚肉餡を詰めたワンタンのような料理で、見た目がツバメに似ていることから名付けられたようです。
普通のワンタンとは違い、透明に近い皮なのが特徴です。好みで黒胡椒とお酢を加えていただきます。


福州の郷土料理には、もうひとつ有名な「鱼丸(ユーワン)」という軽食があり、丸い白身魚のすり身の中に豚肉餡が入っています。こちらはスープに入れることもあれば、火鍋や煮込み麺の具としても人気で、福州のレストランに行くとだいたいの汁物料理に登場します。

三坊七巷の路地には、100メートルごとに肉燕や鱼丸の店があるような感覚ですが、値段も量もお手軽な軽食とあって、どの店も混雑していました。
とはいえ、さっと食べて散歩に出かける人が多いため、お店の回転率は非常に高め。予約せずにいつでも入れるので、観光の休憩におすすめです。
食べ歩き天国で人気の地元グルメ「壹号煎包」
三坊七巷エリアに来たら、もう一つ立ち寄ってほしいおすすめの場所が「达明美食街(ダーミンメイシュジエ)」という食べ歩き天国。
こちらは先ほどの歴史薫る三坊七巷の近くに位置しながら、雰囲気がガラッと変わります。
中でも常に客入りが絶えないお店が、現地の人もおすすめする老舗店「壹号煎包(イーハオジェンバオ)」。




焼き目がついた豚まんといった感じの、こぶりの焼きまんじゅうに、麺やスープがついているセットを注文。
中の豚餡が濃いめの味付けでジューシー、少し薄味の麺とのバランスがちょうど良かったです。さすが福州郷土料理の老舗、言わずもがな肉燕も絶品でした。
美しい水路で優雅な福州ディナー「山海南筵」
福州は海と川をたたえる水の街。その美しさを堪能できる商業エリアが「上下杭(シャンシャーハン)」という水路街です。
小舟に乗ったり、美しい水景を眺めながらお茶を楽しんだり、大人贅沢な福州観光ができる場所です。




そんな美しい上下杭エリアでおすすめのレストランが「山海南筵(シャンハイナンイャン)」。
福建省南部の料理である「闽南菜(ミンナンツァイ)」のレストランです。ちなみに福建省北部の料理は「闽北菜(ミンベイツァイ)」で、野菜やキノコを使う料理が多く、福建料理は南北でかなり特徴に差があります。
山海南筵は、観光地という立地と美しい店構えに加えて、料理が一皿一皿とても美しく、接待などにも非常におすすめのお店です。






牡蠣と卵のチヂミ「海蛎煎」、ピーナッツやエビの旨みが溶け込む鍋料理「沙茶锅」といった有名どころが全て揃う、闽南料理の博物館のようなレストランです。
価格帯は一人当たり200〜300元(約5000円前後)と少し高めですが、福州で贅沢な夜を過ごしたい方は、ぜひ訪れてほしい場所です。
福州滞在中に毎日通った地元の有名チェーン「四道菜」
福州には何度か訪れていますが、大袈裟でなく毎回の滞在中にほぼ毎日通ったお店があります。
それが、闽南菜をメインで提供する福州のチェーンレストラン「四道菜(スーダオツァイ)」です。
福州のほか、宁德、福清、莆田、泉州といった福建省で展開がありますが、上海などの他地域には出店していないようです。実際、私も福建省に訪れるまでは知りませんでした。
この店の有名メニューはなんといっても牡蠣と卵のチヂミ「海蛎煎」です。ふわふわの牡蠣がゴロゴロ入っており、スイートチリソースや黒酢などを好みで付けて食べるのがとにかく絶品。
一皿50元(約1000円)で、そこまで安いとは言えませんが、2人でシェアできる大きさなので満足度は非常に高いです。





写真の通り、店に足を運ばない日でもテイクアウトで注文する始末。昼も夜も夜食にも、この店の海蛎煎を食べていたくらいハマっていました。
あの場所の、あの店の、あの味が好きだと思うこと。日々の楽しみとして食があるということが、こんなにも素晴らしいことだと知ったのは、中国に渡るようになってからでした。
私は幼少期から食に興味がない生活が長かったのですが、ここ中国では命の隣に食があります。
食べるもので身体が作られることを誰もが知っていて、その地域の旬のものを楽しみ、美味しく食べる知恵があります。
福州では、食だけではなくお茶の楽しみ方についても大きな感動がありましたので、それは後日改めてまとめようと思います。
では、またお会いしましょう。
