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kiuchi
「口笛が吹けなくてよかった」と心から思った数学の授業(自己紹介的エッセイ)
中学生の頃、数学の授業中に問題を解いていた僕らの耳に、口笛が聞こえた。
曲名は覚えていないが、何かの曲のワンフレーズだった。
窓際の席に座っていたクラスメートが吹いたもので、初夏の風を感じるメロディだった。
風に乗ったその口笛は、数学の先生の耳にも届き、先生の鼓膜が震えた瞬間に、その先生は激怒し、クラスメイトの席へ詰め寄った。
「ふざけとんのか!どういうつもりかぁ!!」
殴り飛ばされんばかりの勢いで顔の目の前で怒鳴られたクラスメイトは下を向き、クラス全体も一瞬にしてピリッと緊張したが、ぼくは一人、あっけにとられていた。
何が悪いのか、まったくわからない・・・。
口笛ってそんなに悪い事なの?
どなられるようなこと?口笛だよ?
万引きしたとか、カンニングしたとか、女子の体操服盗んだとかじゃなくて、口笛だよ?
「いや、まじで、自分、口笛吹けなくてよかったっす。」
その次の休み時間、さっきの先生のすさまじい剣幕を思い出し、友達と話す僕の言葉も、自然と堅くなった。
「吹けてたら、絶対に授業中吹いてたっす。」
本当に、そう思った。
まったく口笛吹けなくて、まじ、助かったっす。
今ならこの話に「そんな先生、おかしい」と思う人は多いと思う。
でも、当時は、生徒ですら、「授業中、口笛吹いちゃ怒られるのもしかたない」と言ってたのだ。
「口笛って、調子乗ってる証拠だしな」
でも、ぼくは当時も今も、同じように思う。
口笛吹くのは、気分がいい証拠じゃないか。
数学の問題解いてて、口笛を吹いちゃいたい気分になるなんて、数学教師として喜ばしいことじゃないか!と。
