一条たま湖の旅帖 Avalanda 3.25
アバランダ滞在1日目
扉を開けると、潮風が入ってきた。お香の煙がそこに混ざる。
天井まで届く窓は全開で、風が部屋を通り抜けていく。白いリネン、ラタンの家具、テラスの先にサラサラの砂浜と、底まで見える海。
『はああ・・・』
溜息のように出た空気。身体が喜びを放出している。
サンダルを脱いで、砂浜に出た。足の裏に、砂が触れる。さらさらしているのに、熱い。じんじんと、熱が足の裏から体に上がってくる。
どうしようもなく心地が気持ちいい。
波打ち際まで歩いた。海に足を入れた瞬間、ひんやりとした水が足首を包んだ。砂浜の熱と、海の冷たさ。その境界に立っていた。
『はああぁ・・・』
しばらく、そこから動けなかった。
飛行機を乗り継ぎ20時間。来てよかった。
明日は長旅の身体を休めて、一日のんびりすると決めている。
フィフティーオーバーのたま湖は、
体力温存にかける時間をいとわない。
デイベッドに腰を下ろし、パイナップルジュースが多めの
マイタイを一口飲む。
サンセットが、じわじわと体の中に入ってくる。
大きな息がまたもれ出た

アバランダ滞在3日目
市場への道を、運動がてら歩いてる。
からっとした暑さが肌に張り付く。日本の蒸し暑さとは違う。
乾いた風が頬をなでて、汗がすぐに消えていく。
道沿いに、ブーゲンビリアが咲き乱れている。
濃いピンク、オレンジ、赤。
これでもかというくらい鮮やか、でも目が気持ちいい。
ヤシの木が空に向かって伸びている。
幹が太く、どっしりとして貫禄がある。
子供たちが木陰でしゃがんでいた。
ココナッツを石に打ちつけて割っている。
力いっぱい、何度も。
割れた瞬間に歓声が上がった。中の白い果肉と、溢れる汁。
自然に微笑んでしまう。
旅行者とも思われる人も、ちらほらいらっしゃる。
目的は特になくぶらぶらブラブラとしているようだ。たま湖とおんなじ。
ここに来る人はみんな、そういう歩き方をしている。
スパイスの香りが漂ってきた。どこかで何かを炒めている。
何かはわからないけれど、胃がじんわりと反応した。
知らない土地には、知らない味がある。
市場に入ると、赤、緑、紫、橙色と色が溢れていた。
ああ麗しい。
色とりどりの果物の中で、目を引いたのがあった。

一見カボチャのような形だけど、モキーモという果物らしい。
鮮やかな黄色。
水分が少なく、甘みはなさそう。
初めてのものは試すべし、としているけれど、
のどが渇いていたから見過ごそうとした。
「Savana kei!」
売り手の手が、一口に切ったそれを
甘くておいしいよ と差し出してきた。
口に入れた瞬間、水がはじけた。
梨とスイカが混ざったような、ジューシーでさっぱりとした甘みが
ぶわっと広がる。
『おっっいしい!』
脳みそがじゃぶじゃぶ洗われるような感覚を、
ここにきて3日目で何度も味わってる。
スパイシーに炒めたひき肉と鶏もものロースト、
鮮やかな野菜と、もちろんモキーモもいただいてコテージへ帰った。
明日は何しようかしら。
買ってきた食材を簡単に料理して、
マイタイを飲みながら一日ボーっと過ごすのもよいわね。

