見出し画像

2022年の岸田文雄政権の「国家安全保障戦略」改定の舞台裏

2026年8月現在、高市早苗政権の下で「国家安全保障戦略」を含めた戦略3文書の改定に向けた作業が進められています。これは2022年12月16日、岸田文雄政権が行った戦略3文書の改定に続く動きであり、当時の岸田首相は敵の領域内の軍事目標を打撃する能力を「反撃能力」として整備するため、これら3文書に5年間で43兆円の予算を編成するという重要な決定を盛り込んでいました。

今回もその路線を引き継ぎつつ、さらに防衛力整備を加速させるための重要な決定が下されるものと見込まれています。しかし、岸田首相が戦略の転換でどれだけ大胆な路線の変更を行ったのかという点については、まだ十分に認識されていないかもしれません。

まず、岸田政権では防衛予算の増額を正当化するために、さまざまなシミュレーションを実施し、現在の防衛力では十分ではないという判断を政府として採用しました。そのシミュレーションの内容については明らかになっていませんが、記者の杉本康士は、当時の政策決定に携わった政府関係者への取材を通じて、台湾有事が日本に波及するシナリオを想定したシミュレーションが実施されたと自著で述べています(杉本康士『日本の防衛政策』作品社、2025年、269頁)。

ここから先は

2,308字
この記事のみ ¥ 200
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

私は2010年から政治・外交・軍事に関する論文紹介を行う活動を続けてきましたが、昨今の世界情勢の推移…

スタンダードプラン

¥1,200 / 月

調査研究をサポートして頂ける場合は、ご希望の研究領域をご指定ください。その分野の図書費として使わせて頂きます。