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政治的指導者の戦争指導を心理学的アプローチで分析する研究が進んでいる『国際政治における決意』

政治情勢の成り行きは、当事者の意図や能力だけで決まるものではありません。その態度の恐慌さ、言い換えれば決意の固さによって、事態は大きく変化します。軍事的に見れば劣勢な小国が、大国との戦争に突入するリスクを目の前にしながらも、外交交渉において一歩も引きさがろうとしないことも、その国家の決意を表す一例として理解できるでしょう。

国際政治学の研究ではしばしば国家がその状況で最適な政策を選択することを想定しながら理論を展開しますが、そのようなアプローチでは特定の国家の決意の固さを説明することが難しいという課題がありました。近年では、そのような課題を解決するために、実験の手法を取り入れた研究が出てきています。

Kertzer, J. D. (2016). Resolve in international politics. Princeton: Princeton University Press.

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これは武力紛争に関する政策決定者の決意を心理学的アプローチで分析しようとした研究であると言えます。著者は決意を政策決定者の「目的の堅固さ、不動性」として定義した上で、決意が気質と状況の両面から影響を受けると想定しました。ただし、気質をあらゆる状況で同一の傾向を示すものと見なしているわけではなく、状況との相互作用によって作用が変化する可能性を考慮しています。

つまり、それぞれを切り離して分析することができるものではありません。実際、政策決定者の気質と状況の相互作用は非常に複雑であり、戦争を開始するか、継続するか、終結するかといった意思決定では、単に死傷者数で図られる戦争の費用便益計算で決まるものではなく、政策決定者が許容可能だと見なすリスクの程度、名誉・信義を重んじる姿勢の強さ、あるいは自己統制が強い性格として粘り強さなどが関係しています。

大学生を使った心理実験で著者は、戦争で生じる犠牲者の数が大きくなるほど戦争を遂行する政策決定者の決意が弱まることが明らかにされていますが、政策決定者の自己統制能力が高い場合は、戦死者が続出する中でも戦争を止めたいと思う気持ちを抑える傾向があることが確認されました。また戦地から兵を撤退させる際には、自分の評判を犠牲にしなければならないというコストにも敏感になることが分かっています。

政治学の領域で心理実験のアプローチがどれほど妥当性を持っているかという点については議論があるところですが、合理的選択モデルが実際の対外政策の決定を説明できないという指摘は受け止める必要があるでしょう。最近では、戦略環境の変化に対する感情的反応の分析も進められており、戦略的に次善の策を選択してしまう心理が解明されつつあります。また、政策決定者の集団的構造が意思決定に与える影響も注目されているところです。

今回の記事で取り上げたのは非常に専門的な文献ですので、研究者の方にのみ一読をおすすめします。このような心理学的研究が増加するにつれて、近い将来に国際政治学、あるいは政治学の研究内容も大きく見直されるかもしれません。

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