マロングラッセおばけ(ショートストーリー)
裏庭にマロングラッセのおばけが出るのです。
望み通りの食べ方をしてもらえなかったからなのか、それとも何か、こちらの世界に未練があるのか。
ふわふわと、淡い黄色の灯りを振り撒くのです。
それがどうにも、少し寂しそうで、私は思わず屋敷の中に招き入れてしまうのです。
そうすると、なんだか楽しそうに踊っているものだから、私も嬉しくなってパーティーみたいなことを始めてしまいます。
紅茶やコーヒーなどを淹れて、お菓子を楽しむのです。この時はマロングラッセは選ばないようにします。おばけたちがどう思うか分からないので。
なぜこの裏庭にマロングラッセのおばけがやって来るようになったか、今にして思えば、私の祖母の影響なのかな、と思うのです。
彼女はよくお菓子作りをしていました。特に、マロングラッセを作るのが得意だった。キッチンにはよく、煮詰めた栗の甘い香りが漂っていました。
その頃の様々な思い出が、いまだに残っていて、建物のそこここにこびりついているのかも知れません。
おばけたちがよく集まるのも、マロングラッセを作っていた鍋や、それを盛り付けていたお皿、提供していたテーブルなのです。
きっと、その頃の楽しかった記憶に彼らが反応しているのでしょう。
もしかしたら、彼らはまた新しい仲間が生まれるのを待っているのかも知れません。
最近は、祖母が生前付けていたお菓子のレシピメモを眺めながら、見様見真似で作ろうとしてみるんです。そうするとね、やっぱりおばけたちはやってきて、楽しそうに飛び跳ねるんです。あんまり嬉しいのか、ぱちぱちと体を包む糖衣を鳴らして喜びを表現する子まで出てきて、私も思わず微笑んでしまいます。
