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インフラファンドはなぜ失速したのか? ― 出口の見えない再エネ投資の現実

みずほリースが2025年11月、ジャパン・インフラ・ファンド投資法人へのTOB(株式公開買付)を発表しました。成立すれば、同ファンドは上場を廃止し、非公開化される見通しです。

これにより、インフラファンド市場では

①タカラレーベン・インフラ投資法人
②日本再生可能エネルギー・インフラ投資法人

に続く、3件目の上場廃止ファンドとなります。

かつてインフラファンドは、「安定的なインカム投資の新領域」として注目されていました。太陽光発電所などの再生可能エネルギー施設を保有し、売電収益を分配する仕組みは、J-REITと似ています。しかし現実には、制度・コスト・環境・社会の各側面で想定外の課題が次々と表面化しました。

私自身もかつてインフラファンドに投資していましたが、2024年10月にすべて売却しています。その理由を、実際の投資体験を踏まえて整理してみます。




① 想定外だった「出力抑制」問題

大きな誤算は、電力会社による出力抑制です。特に九州地方では、晴天が続くと太陽光発電量が需要を上回り、電力会社が一時的に発電を停止させるケースが相次ぎました。

発電しても売電できない――その「止められる時間」が増えるほど、インフラファンドの分配金原資は減少します。

出力抑制の仕組み自体は制度上想定されていましたが、現実の頻度と影響は想定を超えていました。「安定収益を生む」とされていたモデルが、気象条件と需給制御の不確実性に大きく左右されることが明らかになったのです。


② インフレに対応できないFIT構造

もう一つの大きな構造的な問題は、FIT(固定価格買取制度)です。FITでは、売電価格が20年間などの長期で固定されます。インフラファンドはその安定性を魅力として設計されましたが、インフレ局面ではそれが裏目に出ました。

人件費、修繕費、資材コストが上昇しても、売電単価は固定。結果として、実質的な利益率は年々低下していきます。

一方で、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度が日本では十分に普及せず、収益の柔軟性を高める転換が進まなかったことも大きな痛手でした。


③ 法制度で重くのしかかる「撤去費用」

さらに、近年は発電設備の撤去義務が重い負担となっています。2022年の改正再エネ特措法(「再生可能エネルギー特別措置法」)では、太陽光パネルなどを発電事業終了時に適切に撤去・処理することが法的に義務化されました。経済産業省は、撤去・廃棄に備えて費用を積み立てる「撤去費用積立制度」も導入しています。

つまり、発電を続けている間も、将来の撤去コストを会計上見積もり、資金を確保しておく必要があるのです。特に地方の広大な発電所では、廃棄・輸送コストが高騰しており、利益を確実に削る構造となっています。


④ 環境破壊という「逆風」

皮肉なことに、「環境にやさしいエネルギー」として始まった再エネが、いまや環境破壊の加害者として批判される場面も増えています。山林伐採による太陽光パネル設置、土砂流出、景観破壊――こうした事例が全国で報じられ、地域住民との対立も発生しています。

とくに山間部に建設されたメガソーラーでは、集中豪雨による土砂崩れなど、災害リスクが顕在化しています。再エネの理念が「脱炭素」であるにもかかわらず、地域の自然や生活環境を破壊してしまうという矛盾が、私も含め投資家心理を冷やしました。


⑤ 相次ぐTOBが示す構造的限界

こうした問題が積み重なり、インフラファンドの上場維持は次第に難しくなっています。2023年にはタカラレーベン・インフラ投資法人が上場廃止、2024年には日本再生可能エネルギー・インフラ投資法人が非公開化。そして2025年、ジャパン・インフラ・ファンド投資法人が3件目としてTOBの対象となりました。

背景には、ファンド価格の低迷と投資家離れがあります。市場での取引量が減少し、資金調達力が落ちるなかで、スポンサー企業が「自ら引き取る」構図となっているのです。みずほリースも、上場による制約を外し、長期的に再エネ事業を再構築する意図があるとみられます。


残された4ファンドの「出口戦略」は?

現在、上場を維持しているのはいちごグリーンインフラ投資法人、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人、東京インフラ・エネルギー投資法人、エネクス・インフラ投資法人の4つのみです。

これらもFIT案件の減少やコスト上昇に直面しており、将来にわたる安定成長は見通しづらい状況です。

再エネそのものは日本にとって欠かせないインフラですが、インフラファンドは転換点を迎えています。FIT依存から脱し、地域と共生しながら持続可能な収益構造を築けるか――それが、最大のテーマとなると思います。

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