ジョージアの代理出産。現地で見てきた最新記録【2026年6月・トビリシ】
ジョージアの代理出産。現地で見てきた最新記録【2026年6月・トビリシ】
公開日:2026年7月8日(取材:2026年6月22日~25日) 杉野毅彦(Heart Link合同会社 代表/日本不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー)

2026年6月22日から25日、ジョージアの首都トビリシにいました。訪問したのは、生殖医療クリニック、実際に出産が行われている産院、現地の法律専門家、現地エージェンシー。海外での代理出産には、日本語で読める一次情報がほとんどありません。これは、その記録です。
先に三つだけ。渡航費・滞在費は自己負担です。広告ではありません。訪問先の一部とは、今後仕事上の関わりを持つ可能性があります。
ジョージアはコーカサス地方の国です(旧称グルジア。アメリカのジョージア州とは別)。代理出産が法律で認められている、世界でも数少ない国のひとつ。
ジョージアは何度も訪れている国です。それでも空港の建物を出た瞬間、日本との違いを肌で感じます。建物も、行き交う人々も。ただ、私にとっては「いつもの景色」でもあります。

全体の流れ(60秒)
ジョージアで代理出産を進める場合の流れは、簡単にいえばこうです。
契約 → 受精卵の準備(日本で凍結保管中の胚を運ぶ方法があります)→ 代理母への移植 → 妊娠・健診 → 出産 → 出生証明書 → 帰国、日本での手続き。
関わるのは4者です。エージェンシー(全体の調整、代理母のマッチングと生活サポート)。クリニック(移植・検査などの医療)。産院(出産)。弁護士(契約と出生証明)。この4つを一つの組織がまとめて担う形もあれば、独立した機関同士が連携する形もあります。優劣はありません。
契約前に確認することは一つです。「検査と移植はどこで受け、出産はどこで行われ、緊急時は誰が動くのか」。固有名詞で即答できない相手と、その先の話をする必要はありません。
実際に病院を訪ねると、現場の緊張感が直に伝わってきます。
医療——REPROARTで見たもの
6月23日14時、トビリシ・サブルタロ地区のREPROART(Georgian-American Center for Reproductive Medicine)。創設者のDr. Lika Chkonia(生殖医療歴約30年)、Dr. Nino Okujava(遺伝学)、国際部門責任者のSophie Ukleba氏と約1時間話し、院内を回りました。
見たものを書きます。
受精卵の染色体検査(PGT-A)を院内のラボで完結できます。ラボはGENQA認証。胚を院外に出さずに検査まで終わります。検査機器は最新のものが入っています。説明したのは創設者本人でした。
創設者らによれば、院内に独自のPGT-A検査ラボを持つ施設はEU圏でも多くなく、ジョージア国内では同院だけとのことでした。
成功率の数字は載せていません。年齢層と数え方の前提が揃わない数字は、比較に使えないからです。

出産の場所——NICU
出産は産院で行われます。確認したのはNICU(新生児集中治療室)の有無と体制。トビリシでNICUを持つ分娩施設は多くありません。訪問した産院にはありました。担当医に直接話を聞いています。

この産院では、ほぼ毎日、子どもが生まれているそうです。出生後に特別なケアが必要になる赤ちゃんもいて、隣接する棟にNICUが併設され、すぐに移せる体制になっていました。医師たちは皆、足早に動いていました。

生まれた子が、最初の数週間を過ごすかもしれない場所です。

産院内の写真は、患者さん・代理母さん・赤ちゃんが写っていないものだけを載せています。医療スタッフは許可を得て撮影し、個人情報が写り込む掲示物・書類にはぼかしをかけています。
法律——出生証明書には誰の名前が載るか
現地の法律専門家にも再度会い、最新の状況を確認しました。
ジョージアでは、出生証明書に依頼者夫婦のみが親として記載されます。代理出産の事実は記載されません。対象は原則、婚姻1年以上の法律婚の夫婦。事実婚にも一定の証明書類で対応できる枠組みがあります。出生後は、アポスティーユと翻訳を経て、日本での手続きへ進みます。
なお、2023年にジョージア政府が外国人向けの商業代理出産を制限する方針を示し、法案が議論されたことがあります。2026年6月時点で、この法案は成立しておらず、議論は事実上止まっていること、従来の枠組みに変更がないことを、現地の法律専門家に確認しました。ただし、法制度は変わり得ます。実際に検討する際は、その時点での最新状況の確認が必要です。
おわりに
この記事で伝えたいことは、結局ひとつです。
代理出産は、人生でいちばん大きい決断のひとつです。それを、伝聞と広告でしないでほしい。
だからこの記事には、確かめられることしか書きませんでした。日付、場所、会った人の名前。費用や成功率の数字がないのも同じ理由です。前提の揃わない数字は、判断の役に立ちません。
そして、ここに書いたことも鵜呑みにしないでください。確かめてから、決める。それだけで、この分野の失敗の多くは避けられると考えています。
ジョージアでの代理出産を検討し始めた方、日本で保管中の凍結受精卵を海外へ運ぶ選択肢を調べている方は、初回相談でどうぞ。
→ Heart Link 初回相談
→ 関連記事:凍結受精卵の海外輸送の実務
よくある質問
Q. ジョージアの代理出産は合法ですか? A. 法律で認められた枠組みがあります。対象は原則、婚姻1年以上の法律婚の異性夫婦。事実婚は一定の証明書類で対応し得ます(2026年6月、現地の法律専門家に確認。法的助言ではありません)。
Q. ジョージアの代理出産は禁止されると聞きました。大丈夫ですか? A. 2023年に外国人向けの商業代理出産を制限する法案が議論されましたが、2026年6月時点で成立しておらず、従来の枠組みに変更はありません(現地の法律専門家に確認)。ただし法制度は変わり得るため、検討時点での最新確認が必要です。
Q. 出生証明書には誰の名前が記載されますか? A. 依頼者夫婦のみです。代理出産の事実は記載されません。日本帰国後の戸籍手続きは別の論点で、個別の専門家確認が必要です。
Q. 日本で凍結保管中の受精卵をジョージアへ運べますか? A. 可能です。専門の書類手続きと、専門業者によるハンドキャリー輸送を使います。詳細は次回の記事で書きます。
取材日:2026年6月22日~25日(ジョージア・トビリシ)。記事中の写真はすべて筆者が現地で撮影した一次写真です。渡航・滞在費は全額自己負担。
