中野サンプラザを、世界が憧れる現代日本文化の中心地へ
中野サンプラザを、本当にこのまま壊してよいのでしょうか。
私は、解体ありきではなく、サンプラザを中野のシンボルとして残し、現代日本文化の発信拠点として再生する可能性を、徹底的に検証すべきだと考えています。
目指すのは、単なる建物の保存ではありません。
サンプラザを起点に、アート、音楽、エンタメ、マンガ、アニメ、お笑い、デザイン、ファッション、デジタルコンテンツなど、世界が憧れる現代日本文化の最先端の地を中野につくることです。
1. なぜ、いまサンプラザを残す議論が必要なのか
現在、中野サンプラザについては、解体して新たな複合施設を整備する方向が示されています。
一方で、建設費の高騰により、当初の再開発計画は大きく見直しを迫られました。
ここで考えるべきことは、単に「壊すか、残すか」という感情論ではありません。
問うべきは、次の3点です。
第一に、建物の安全性・劣化状況を客観的に調査したうえで、改修・暫定活用・段階的再生の可能性を十分に検証したのか。
第二に、解体・新築だけが、中野の財政とまちの価値にとって最も合理的な選択なのか。
第三に、サンプラザという全国的に知られた都市の記憶を失うことが、中野のブランド価値にどのような影響を与えるのか。
東京都が公表している耐震診断結果では、中野サンプラザは、大規模地震に対して「倒壊または崩壊する危険性が低い」とされる区分に整理されています。
もちろん、これは設備の老朽化やコンクリートの劣化、配管、電気、空調、バリアフリー、防災設備などの問題がないという意味ではありません。
だからこそ必要なのは、解体を前提にした説明ではなく、第三者、専門家による詳細な調査です。
安全性、改修費、解体新築費、収益性、まちへの経済効果を比較し、区民に分かる形で示すべきです。
世界では、古い建物を壊すのではなく、現代的な用途に転換することで、街のブランド価値を高めてきた事例が数多くあります。
南アフリカ・ケープタウンの Zeitz MOCAA は、古い穀物サイロを現代アート美術館に再生した事例です。
ドイツ・ハンブルクのエルプフィルハーモニーは、既存の倉庫の上に新たなホールを重ね、都市の新たな象徴となりました。
日本国内でも、既存建築を活かした再生事例が増えています。
重要なのは、古いものをただ保存することではありません。古いものに新しい機能を与え、収益を生み、街の魅力を高めることです。
2. 文化は、もはや「趣味」ではなく、成長産業である
文化政策というと、どうしても「余裕があるときにやるもの」「イベントを増やすもの」と受け止められがちです。
しかし、いま世界では、文化・エンタメ・クリエイティブ産業は、都市の競争力そのものになっています。
経済産業省は、エンタメ・クリエイティブ産業を日本の重要な成長分野として位置づけています。日本発コンテンツの海外売上高は、2自動車産業に次ぐ規模にまで成長しているとの分析もあります。
アニメ、マンガ、ゲーム、音楽、映像、キャラクター、アイドルなどは、いまや世界中の若者を惹きつける日本の大きな強みです。
にもかかわらず、中野区の中では、これらがまだ十分に産業政策、観光政策、教育政策、まちづくり政策として扱われていません。
重要なのは、文化施設を「税金で維持するだけの施設」にしないことです。
民間の資金と運営力を取り入れ、文化で人を呼び、経済を回し、その収益を若手アーティストやクリエイター支援に再投資する循環をつくることが重要です。
