「笑顔は当たり前ではない」#5
重症心身障害児者や医療的ケア児者の支援に携わっていると、改めて感じることがあります。
それは、「当たり前の日常」が決して当たり前ではないということです。
朝、元気に目を覚ますこと。
事業所に来ること。
好きな音楽を聴くこと。
ご家族や職員と一緒に笑うこと。
私たちにとっては何気ない日常でも、重症心身障害児者や医療的ケア児者にとっては、多くの支援や医療的管理があって初めて実現できる時間です。
利用者さんの笑顔の裏には、ご本人の頑張りだけではなく、ご家族の深い愛情と、医療・福祉・教育に関わる多くの方々の支えがあります。
私たち支援者の役割は、「できないこと」を数えることではありません。
その方が持っている力や可能性を見つけ出し、「どうしたらその人らしく過ごせるか」を考え続けることだと思います。
たとえ言葉で気持ちを伝えることが難しくても、表情や視線、呼吸の変化、小さな仕草の中にたくさんの思いがあります。
その小さなサインに気づけた時、利用者さんとの信頼関係が深まり、支援の質も大きく変わります。
重症心身障害児者や医療的ケア児者の支援は、決して簡単なものではありません。
医療的な知識や技術、安全管理、多職種との連携など、高い専門性が求められます。
しかし、その専門性は「医療を提供するため」だけではなく、「その人らしい人生を支えるため」にあるのだと思います。
私は経営者として、日々経営数字を見る立場でもあります。
人材確保、物価高騰、制度改正など、経営には多くの課題があります。
それでも最も大切にしたいのは、「この事業所に来てよかった」と利用者さんやご家族に感じてもらえる場所をつくることです。
そして、「ここで働けてよかった」と職員が誇りを持てる職場をつくることです。
重症心身障害児者や医療的ケア児者、そのご家族が安心して地域で暮らしていくためには、支援を継続できる事業所の存在が欠かせません。
だからこそ、私たちは支援の質と経営の両方に向き合いながら、地域に必要とされる存在であり続けたいと思います。
一人ひとりの命と人生に寄り添う。
その責任の重さを忘れず、今日も利用者さんの小さな変化や笑顔を大切にしていきたいと思います。
その笑顔こそが、私たち福祉に携わる者にとって、何よりの原動力だからです。
