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【伝わるプレゼンの探求】 なぜ、人は“できない理由”ばかり探すのか— 原因は、不安かもしれない|インセプション型プレゼン

【この記事でわかること】

・なぜ、できない理由を潰しても、人は動かないことがあるのか
・なぜ、正論で押すほど、相手が防御的になることがあるのか
・なぜ、人は「できない理由」ではなく、「未来の怖さ」で止まることがあるのか
・なぜ、人を動かすには“正しさ”より“足場”が必要なのか
・相手の不安を否定せずに、少し前に進めるための伝え方

会議や提案の場では、

「それは難しい」
「前例がない」
「人が足りない」
「予算がない」
「今の状況では厳しい」

と、“できない理由”が次々に出てくることがあります。

こちらとしては、

「いや、予算はそこまで掛からないです」
「他社ではできています」
「段階的にやれば可能です」
「人手が足りないなら、ここまでは自分がやります」

と、一つひとつ潰したくなります。

以前の自分は、できない理由を一つずつ潰せば、人は動くと思っていました。

しかし、そうすればするほど、人はますます耳を塞いでしまう。
今でも、相手の論理の穴に気がつくと、ついやってしまう自分を発見し、後で後悔することもあります。

実際、それは間違っていません。

論理の穴を埋めることも、条件を整えることも、大事です。
しかし、現実は少し違います。


できない理由を全部潰しても、人はあまり動きません。

理由がなくなれば動くはずなのに、また別の理由が出てくる。

少し潰すと、また別の文脈依存の話が出てくる。
その場では納得したように見えても、次の会議では、また別の不安が顔を出す。

たぶん、人は「できない理由」で止まっているわけではないのだと思います。

本当は、

「動いた先に、何が待っているのか分からない」
「自分がそこで役に立てる気がしない」
「失敗したときに、自分だけが傷つく気がする」
「一度動き始めたら、途中で降りられない気がする」

という、“未来の怖さ”で止まっていることがあります。

だから、正論で逃げ道を塞がれるほど、逆に動けなくなることがあります。


正論で「できない理由」を潰されることは、「自分の考え方が否定される怖さ」でもある

正論で「できない理由」を潰されることは、
相手にとっては、「自分の考え方が否定される怖さ」だけではなく、
「この先、自分がちゃんとやれるか分からない怖さ」でもあります。

「今までのやり方ではダメだったのかもしれない」
「もし失敗したら、自分が責任を取ることになるかもしれない」
「動いた先で、自分だけが置いていかれるかもしれない」

そう感じると、人は納得するのではなく、まず自分を守ろうとします。

新しい理由を探したり、
細かい条件を持ち出したり、
他の誰かの判断待ちになったり。

「まだ決めなくていい理由」を作り始める。

自分も、強く言われたり、逃げ道がないように感じたときは、同じような反応をしてしまうことがあります。


必要なのは、できない理由を全部消すことではなく、“掴めそうな未来”を置くこと

だから必要なのは、できない理由を全部消すことではありません。

それよりも、

「もし少しだけ進んだら、こうなるかもしれない」
「全部じゃなくて、まずここまでならできそう」
「失敗しても、ここで止められる」
「自分ひとりで背負わなくていい」

という、“掴めそうな未来”を置くことの方が大事なのかもしれません。

必要なのは、遠くの成功を見せることではなく、

「ここまでは安全」
「違ったら戻せる」
「まずは試すだけでもいい」

という足場を見せることです。


人は、「絶対に成功する未来」より、「失敗しても戻れる未来」に動かされる

たとえば、

「絶対に成功します」
ではなく、

「まず小さく試して、違ったら戻せます」

の方が、人は動きやすい。

「これは正しいです」
ではなく、

「このままだと、少しずつ苦しくなる気がしています」

の方が、自分ごととして考えやすい。

「やるべきです」
ではなく、

「自分も怖いですが、だからこそ一緒に考えてほしいです」

の方が、協力しやすい。


正しさは大事です。

でも、人を動かすのは、「その未来なら、自分にも行けるかもしれない」と思える感覚です。

あなたの目の前の相手は、今、どんな未来を怖がっているでしょうか。

その不安を論破する代わりに、そっと「足場」を置いてみる。

正論を主張する側は、
「正しいのだから、従うべきだ」
と、断罪し過ぎてしまうことがあります。

自分も含めて、
「この方が良い」
「このままだと危ない」
と思うからこそ、強く言ってしまう。

でも、本当に必要なのは、正しさで追い込むことではなく、

「その人が、自分で決められる状態を取り戻せるか」

です。

むしろ、不安を消すことは、甘やかしではありません。

必要なのは、正しさだけではなく、安心して動ける優しさです。

それは、人が自分で決められる余白を取り戻すための準備でもあります。

相手を押して動かすのではなく、
相手の中に「これならできるかもしれない」を発生させる。

それが、インセプション型の伝え方なのかもしれません。

【まとめ】

・人は、できない理由そのもので止まっているとは限らない
・本当は、「動いた先がどうなるか分からない」「自分が役に立てる気がしない」「途中で降りられない気がする」という未来の怖さで止まっていることがある
・そのため、正論で逃げ道を塞ぐほど、相手は納得するのではなく、防御を始めることがある
・必要なのは、できない理由を全部消すことではなく、「少しなら進めそう」「失敗しても戻せそう」と思える未来や足場を置くこと
・人を動かすのは、正しさそのものではなく、「その未来なら自分にも行けるかもしれない」と思える感覚なのかもしれない

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