ふるさと納税、構造的に必ず赤字です。なぜ赤字になるか、解説してみます。
ふるさと納税、自治体全部で見ると、2024年度は約863億円の赤字だった、という報道が各社で出ています。
正直、そりゃそうだ、と思いました。
私はこの間ずっと、ふるさと納税制度に対する違和感を発信し続けてきました。そもそもふるさと納税は、「より良い社会を創るため」という目的があったはずです。しかしいまや、事実上のカタログショッピングです。
【ふるさと寄附、見直し。いまこそ政策を応援していただけませんか】
— 高島りょうすけ|芦屋市長 (@TakashimaR_2023) June 25, 2024
ふるさと納税制度の見直しがニュースになっています。
私は以前から、カタログショッピング化しているふるさと納税制度はこのままでよいのかと、発信を続けてきました。… pic.twitter.com/kP0qNZmNmT
今回、改めてふるさと納税の課題が指摘されました。
良い機会なので、そもそも、なぜ赤字になるのか、解説してみます。ふるさと納税は、現在の制度だと、構造的に必ず赤字になる仕組みです。
そもそも赤字って、どういうこと?
(どうすればいいか、解決策は「税金の使い道をできるだけ分かりやすく」からご覧ください⏩️)
今回の報道は、2026年6月12日に会計検査院が国会と内閣に対して提出した報告書をもとに行われています。会計検査院は、国の収入支出の決算などの検査を行う、内閣から独立した機関です。
資料を読むと、「地方公共団体全体の決算への影響額」は、以下の計算式で算出されています。
(決算への影響額)
=(ふるさと納税の受入額)−(住民税控除額):歳入の増減分
−(ふるさと納税の募集に係る経費):歳出分

つまり、ふるさと納税によって(主に)市外から寄附いただいた金額から、市民が市外に寄附したことによる住民税控除額を引き、さらにふるさと納税の経費(返礼品やポータルサイトの手数料など)を引いた金額がマイナスということです。
もちろん、寄附額の全額が住民税控除されるわけではないので、「歳入総額の増減分」はプラスになります。1万円寄附したら、税金が1万円安くなるわけではないですよね。
ただ、ここからさらにふるさと納税の経費を引くと、マイナスになります。実際、令和6年度は863億円の赤字です。毎年のように、大きな赤字額が出ています。

住民税控除にタイムラグがあって、たまに見かけの黒字に
ただ、ここで気になるのは令和2,3年度がプラスということです。令和2年度が211億円、令和3年度が18億円の黒字です。これはどういうことでしょうか。
それは、「ふるさと納税の受入」と「住民税の控除」にタイムラグがあるからだと考えます。住民税の控除は、前年の申告分が翌年度に反映される仕組みです。だからこそ、ふるさと納税額が一気に増えた場合、控除額の伸びが追いついていないのだと考えられます。
例えば、令和2年度に受入額が前年度比+1,849億円と急増した一方、住民税控除額は+197億円にとどまりました。
実際、仮に「当年度控除額=翌年度の実際の控除額」で置き換えて計算してみると、すべての年度で赤字になりました。
過去のデータを見ると、控除額の割合は寄附額のおよそ6割。経費割合は、およそ5割弱になっています。こう考えると、タイムラグがないと仮定すると、「控除額+経費割合」が「寄附額」を上回るに決まっていますね。

自治体が損をする……だけ?住民は?
でも、考えてみればこれは当たり前です。単純に考えると、ふるさと納税をした個人が短期的には大いに得している(気になる)ということは、誰かが損しているはず。それが自治体ということです。今まで全額税金として自治体に入っていた金額の一部が、返礼品やポータルサイトの経費になる。そりゃ自治体からしたらマイナスですよね。
逆に言うと、個人にメリットがあるからこそ、ふるさと納税はここまで爆発的に広がったのでしょう。
でも、誰かを責めたいわけではありません。ふるさと納税に力を入れることで地元の産業が潤っている自治体もあるでしょう。地元の産業が潤えば、長期的な税収も増えるかもしれません(それでもなお、税金の使い道として果たして妥当なのか、という点は問われると思いますが)。
でも、このままで本当によいのでしょうか。
市民にとって、自治体に納めた税金は、自分を暮らしを支える役割を担っています。地元の自治体に入る税金が減ったら、回り回ってマイナスの影響を受けるのは市民です。
芦屋市は、ふるさと納税の「損」日本一の市
実際、芦屋市はふるさと納税で大きく損をしています。
芦屋市から令和6年度に流出したのは約11.8億円。市民1人あたりの「損」は、芦屋市が日本一の市です。
正直、この制度が良いとは思えません。とはいえ、芦屋市だけがこの制度から降りることもできません。
それでは、どうすればよいのでしょうか。
私は2つの方向性があると考えています。キーワードはどちらも「使い道」です。
①税金の使い道をできるだけ分かりやすく
そもそもなぜふるさと納税をするのかと考えると、「税金の納めがい」がないから、に行き着くのではないでしょうか。自分が必死に納めた税金が、役に立っている気がしない。そもそも、何に使われているのか分からない。それなら、生活も苦しい中、せめて返礼品をもらった方が良い、という思いは理解できる気もします。
私たちは税金を預かって仕事をしています。だからこそ、「預かった税金をどう使っているか」を、市民の皆さまに可能な限り明らかにすることは何より大切だと考えています。
そうすると、納めた税金が意外と役に立っているな、と思っていただけるかもしれません。その積み重ねが、「地元に税金を納めよう」につながると良いなと思っています。
例えば、分かりやすい施政方針。1年間の税金の使い道を、市民の皆さまに少しでも知っていただこうと、工夫を重ねています。今年はEテレのような番組を作ってみました。ぜひご覧ください。
②ふるさと納税先、使い道で選んでもらうように
それでも、ふるさと納税はなくならないでしょう。だからこそ、せめて本来の趣旨に近い形にできないか。それが、自治体の施策向上です。総務省のふるさと納税のポータルサイトに、こんな記載がありました。
自治体は納税者の「志」に応えられる施策の向上を。
一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高める。
いわば、自治体と納税者の両者が共に高め合う関係です。
ふるさと納税は、他の自治体の税金をお借りする制度です。
だからせめて、この制度が少しでも社会を良くできるように。施策の向上を謳うのであれば、頂いたご寄附を芦屋市だけが良くなるような取組ではなく、日本全体が良くなる取組に使いたいと考えています。
芦屋市のチャレンジが、回り回って日本全体を良くできるように。
ふるさと寄附の使い道を見れば、意外と全国で面白い取組があるはずです。
ふるさと寄附で生まれた新しい政策をお互い学び合うことで、結果的に日本全体が良くなる。それでこそ、この制度があって良かったとなるのではないでしょうか。
実際、私たちも他の自治体と大いに学び合っています。例えば教育、防災、環境……様々な分野で先進的な取組を行っている自治体から学び合っています。
ふるさと納税がもっと先進的な取組に使われ、その取組がより広く発信されれば、日本の自治体の政策も、もっと良くなる可能性があるのではないか。
そんな想いで、芦屋市はふるさと納税の使い道にこだわり、発信を続けています。
総務省も、制度見直しを少しずつ実施中
もちろん、総務省も制度を少しずつ見直そうと努力されています。
先月報道のあった、ポータルサイト手数料の引下げ要請はその一環でしょう。手数料が寄附額の1割以上を占めることを問題視したため要請したと言われています。制度自体の見直しにも、期待したいと思います。
芦屋市の「使い道」を応援していただけませんか
改めて。
ふるさと納税という制度が、日本全体を良くする制度になるように。だからこそ、少しだけでも「使い道」、注目していただけませんか。
芦屋市への応援も、よろしければぜひお願いいたします。
特に力を入れている公立の学校教育、「市立の学校園で『ちょうどの学び』の実現へ(芦屋市教育振興基金)」から、お待ちしています。令和8年1月末時点で、2,600万円を超えるご寄附をいただいています。本当にありがとうございます。
詳細は下のバナーからご覧ください。

