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芦屋市内で配布された県政チラシ、市民の方からご相談を受け、調べてみた結果

市民の方からお便りをいただきました。
内容を確認すると、西宮市長選挙期間中だった3月25日に、JR芦屋駅南口で、西宮市選出の躍動の会増山誠県議が、県政報告チラシを配布していたことについて、そのチラシの内容に関するご相談をいただきました。

【資料】3月25日JR芦屋駅南口で配布された躍動の会チラシの一部を引用

そこで、芦屋市内で配布されていたことや、兵庫県政情報を伝えるチラシだったということもあり、その情報を受け取った市民の皆様の影響も考え、私なりに情報を調べて参りました。

その結果をご報告いたします。
なお、他の政治家のチラシについて、ここまで内容を分析し、意見を述べるのは今回が初めてです。


まず大きな結論

■ そのまま事実として読んでよい部分

  • 「増山誠議員が一般質問をした」

  • 「質問項目に、県庁記者クラブ、騒音問題、外国籍の者による乱開発防止などが入っている」

  • 「令和7年度12月補正予算案の規模が918億円」

  • 「はばタンPay+第5弾が102.9億円」

  • 「県庁舎の新たな基本構想が約650億円、実質負担約560億円という県資料がある」

■ ミスリードが強い部分

  • 県庁舎の費用を560億円だけで見せていること

  • 県の借金問題を震災由来の1,000億円超だけ代表にしていること

  • 「質問したこと」を「問題が事実認定されたこと」や「成果」に近く見せていること

  • 「外国籍」という属性を前面に出して、不安を強める構図にしていること

先に結論からいいますと、このチラシの大きな特徴は、
事実をゼロから捏造しているというより、事実の一部だけを切り出して、受け手が特定の印象を持つように並べている
ところです。

特にミスリードが強いのは、
県庁舎の費用を“560億円”で小さく見せている点と、
県の借金問題を“震災の名残が主因”のように単純化している点です。
この2つは、県の公式資料を合わせて見ると、かなり印象が変わります。

私は、政治家のこうした「受け手の印象」を意識した情報の切り取り方に、いつも違和感があります。

私の文章は、どうしても長くなりがちです。
そのぶん、伝わりにくくなることもあるのかもしれません。
それでも、意識的な誘導を避け、全体の事実をできるだけ知っていただいたうえで、自分で考えていただきたい。そんな思いで書いています。

今回、このチラシを受け取った方が疑問を持ち、私にお手紙を書いてくださったこと、そして「おかしい」と違和感を持たれたことに、心から敬意を表します。

では、実際にどこがどう違うと感じる部分なのか。調べた内容をお伝えしていきます。


注意したい点

1.県庁舎の「1010億円→650億円、実質560億円」は、見せ方がかなり都合いいです。

このチラシの見せ方だと、
「県庁舎計画を大幅に圧縮して、負担を560億円まで下げた」
という印象が強く出ます。

でも、兵庫県の公式資料では、650億円・実質560億円の横に、別途関連経費が約160億円あると明記されています。しかも、実際の整備時点までの物価変動に応じて増減する可能性ありとも書かれています。つまり、チラシは一番小さく見える数字を前面に出していて、総額感を小さく見せている構図です。

【資料】県庁舎のあり方等に関する検討会 (第5回)

さらに県の資料では、従前計画は約1,010億円、新たな基本構想は約650億円(実質負担約560億円)ですが、その比較自体が「R7時点単価で見込」という前提付きです。なので、チラシの見出しだけ見ると「もう確定でこれだけ安くなった」と受け取りやすい一方で、実際は関連経費や物価変動を外した“見せやすい比較”になっています。


2.「県債残高グラフ」と「震災のせいで今も1千億円超」は、因果を単純化しすぎています。

チラシの表面に、
「兵庫県は阪神淡路大震災時の復興財源に県債を発行したため、現在でも1千億円を超える残高を抱える」
という説明が書かれていました。

【資料】3月25日JR芦屋駅南口で配布された躍動の会チラシの一部を引用

ここで注意したいのは、県の公式資料では確かにR7震災関連県債残高は1,138億円、R8では853億円とされていますが、同じ資料には、県全体の県債残高ははるかに大きく、R8当初予算ベースで46,973億円、実質的な県債残高でも36,102億円と読める数字が並んでいます。
つまり、「1千億円超」だけを切り出すと、県の債務問題の中心がほぼ震災だけであるかのように見えやすいです。

【資料】兵庫県債のご案内~新たな躍動が広がる兵庫、次のステージへ~

ミスリードの核心は、チラシの図のタイトルは「県債残高グラフ」なのに、本文は「震災関連県債」の説明に寄っていることです。
普通に読むと「県の借金は震災のせいで今も1,000億円超」という印象になりやすいですが、実際の県財政資料では、県債全体はそれよりはるかに大きく、要因も震災だけではありません。

【資料】令和8年度当初予算(案)

県の資料が示していることは、県は今後の財政悪化要因について、震災関連県債や財源対策債の償還に加え、類似団体より高い投資水準が続いたことも要因だと説明しています。したがって、「震災だけが主因」と受け取らせるのは不正確です。

また、実際に、過去の借入は金利が低い時期のものが多いと思います。
しかし、金利上昇はここ最近の傾向でもありました。
だからこそ、その局面で新たな借入や支出を重ねていたのであれば、将来負担の増加をどこまで織り込んでいたのかが問われるのではないでしょうか。

この件については、私は以前、Xでこのように伝えています。

このグラフのタイトルと説明対象がズレているのも、かなりミスリードにつながると感じます。


3. 「一般質問した」ことと、「県政を前に進めた」ことは別です。

チラシには、
「一般質問を行いました」
「会派は県政を前に進める」
という流れがあります。

ただ、兵庫県議会の公式ページで確認できるのは、増山誠議員が2025年9月29日に一般質問を行い、
県庁記者クラブの廃止
県庁周辺の騒音問題
外国籍の者による乱開発の防止
などを質問項目に挙げた、という事実までです。

つまり、質問したこと自体は事実ですが、そこから先の
「問題が実際にそうである」
「その質問で改善が実現した」
「会派の成果である」
までは、このチラシだけでは立証されていません。
政治広報ではよくある手法ですが、“提起したこと”を“実績”っぽく見せる作りです。


4.「外国籍の者による乱開発」は、問いの立て方そのものが印象操作になりやすいです。

これも、議会の公式ページではそのテーマで質問したことは確認できます。

【資料】兵庫県議会一般質問(9月29日)

でも、チラシ本文には
「全国的な課題」
「外国籍の開発業者が乱開発を目的に事業を行った場合」
「賠償金回収など被害回復が困難」
と、かなり強い前提が置かれています。

ところが、その紙面には兵庫県内で何件あったのか、どんな判例や統計があるのか、外国籍であることがどれほど本質的要因なのかという裏付けが示されていません。なのでこれは、事実の提示というより、“外国籍”を前面に出した不安喚起型の framing と見るのが自然です。

framing(フレーミング)とは、物事の見せ方・切り取り方によって、受け手の受け止め方を方向づけることです。


5.デモ騒音・記者クラブの件は、「質問項目」と「事実認定」が混ざっています。

県議会の公式ページで確認できるのは、
「県庁記者クラブの廃止について」
「県庁周辺における拡声機等による騒音問題について」
が質問項目だったことです。

でもチラシ本文では、
「大騒音が頻発」
「園児の太鼓演奏を妨害」
「フリー記者が暴言」
「YouTubeのネタ作りの場にしている記者も見受けられる」
と、かなり断定的に書いています。

ここは、少なくとも今回確認した県や県議会の公式資料だけでは、そこまでの事実認定は取れていません。

つまり、「そう質問した」ことは事実、
でも「実際にそうである」と確定したわけではない

ということです。ここを混ぜると、読む人は、
”自然に議会で取り上げられた=事実認定済み”と受け取りやすくなります。

実際に、県庁周辺での大音量については、それが斎藤知事の支持者の応援によるものだったとの指摘が記者からなされており、知事もその質問を受けていました。

【資料】知事記者会見(2026年2月10日(火曜日))

しかし、このチラシの内容を見る限りでは、あたかも斎藤知事に対して歩道橋で抗議している人たちや、定例記者会見で質問している記者の側にのみ問題があるかのような印象を与えています。

でも実際は、ここまでの状況になった背景には、斎藤知事のこれまでの受け答えにも問題があったのではないでしょうか。

つまり、そうされる根拠があるということです。そこをきちんと説明するかしないかで、この話しの受け止め方も大きく変わってきますので、注意が必要です。


兵庫県政についての情報発信はミスリードが多い

兵庫県政についての情報発信には、受け手に特定の印象を与えるような切り取りが少なくないと感じています。

兵庫県知事選挙では、その後、立花孝志氏によって斎藤元彦候補に有利に働く情報が拡散されました。そうした発信の中には、後に虚偽と判断されたものもあり、実際に裁判所が「デマで世論誘導」と認定して賠償を命じた事例も出ています。

【資料】立花孝志被告に330万円賠償命令 「デマで世論誘導」 神戸地裁

また県政においても、本来外部に漏れてはならない情報が県議らに伝わっていたことが、第三者委員会の調査結果や、その後の捜査・報道で明らかになっています。

【資料】告発者の私的情報、元総務部長の漏えいを認定 兵庫県第三者委

このように、事情を十分に知らない人たちに対して、自分たちに都合のよい部分だけを使って伝える人たちが横行しているように、私は感じています。特に政治の世界では、こうしたことが繰り返し起きています。

政治家は一定の影響力を持っています。
「その人が言っているのだから」と、真実味をもって受け止める方も少なくないと思います。
けれど、それが本当に理にかなった情報なのかどうかは、やはりご自身でも調べたうえで理解していただきたいと思います。

政治家は、数ある情報の中から一部を選び、そこに自分の考えを重ねて提示しているにすぎません。
それは、私自身も例外ではありません。

だからこそ私は、政治家の発信も鵜呑みにするのではなく、ひとつの材料として受け止め、それぞれが自分で考えることが大切だと思っています。

今後も、日頃からその点に気をつけて発信するよう心がけていきます。
このブロクの内容もあくまで参考までに。


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