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GWの函館、五稜郭より先に函館山へ行ってほしい理由ーー函館山は、日本のハワイ。

ゴールデンウィークの函館といえば、やはり五稜郭の桜が観光の目玉だ。

もちろん綺麗。

函館に来てこれを見ない理由はない。星形の郭内を埋める桜は、ちゃんとすごい。

でも、最近は気候変動の影響で、GW前に咲き始めて、連休中に散ってしまうことが増えているようだ。
近所の桜もすっかり葉桜になってきている。

せっかく来たのに散ってたら、
「なーんだ!ショボッ!」ってなるよね〜。

で、「じゃあ別の桜の名所を紹介します」!となるところだが、

オレはそっちに行かない。

オレが推すのは、函館山だ。
オレも大好き函館山!みんな大好き函館山!


「え、函館の夜景?王道じゃん!!!」


違う。
日本のハワイの話をする。

「は?函館がハワイ?」

何言ってんだ、と思ったでしょ。
オレが言いたいのは、常夏のハワイって意味じゃない。

サーフボードでも、マカダミアでもない。
生態系がハワイアンなんだ。ハコヤマンなのだよ。

何言ってんだ?だよね。

ちょっと聞いて。

函館山はそこまで大きな山じゃない。
ひとつの小さな山に、北にしかいない北パーティー(北パ)植物と、南にしかいない南パーティ(南パ)植物が同居している。

もうちょい言うと、標高334メートルしかない、ありふれた高さの山に、約600種の植物と150種の野鳥。
分布の北限の北パ6種、南限の南パ7種、固有種8種が生存している山だ。

しかもそんな山のほんとすぐ近くで、約24万人が暮らし、北海道の夜を輝かせている。

生きものの国境線を感じられる数少ない場所と言える。
日本でもレア中のレア。
ガチャで出たら当たりと思っていいだろう。


ひとつの限られた場所に北パと南パの境界線があると言う意味で、
函館はハワイ。まぁそういうことにして。反論は認める。


そして、この森、偶然が重なり保護されてきた歴史がある。

……と、その話の前に、函館山へ向かおう。


まず、函館山に登ってほしい。
夜景を見るためじゃなくていい。昼間がいい。

夜景も良いが、天気が良ければ昼間!
ロープウェイも楽しいが、もし、時間に余裕があるなら、
夕食に向けてハイキングで腹を空かせるのも、アリかもしれない。

函館山に限ってはヒグマはいない。
安全に山登りを楽しめる数少ない場所。

なぜ、ヒグマがいないのか。
山頂に立って、右と左を見てほしい。
右が津軽海峡。
左が函館湾。
海が二つある。
その「くびれ」は昔は海だった。

ここは約3,000年前まで、函館山は島だった。

土砂が積もって、島と陸が繋がった、陸繋島(りくけいとう)という地形だ。 

陸繋島は日本でも数箇所ある。 
しかし、函館は島と陸が繋がった平地の上に都市が生まれた場所。
ヒグマが入り込む前に人が立ちはだかり、ヒグマが生息していない山となった。
これは北海道でもレア中のレア。

夜景を見て「綺麗だね」で終わらせるか、
3,000年前の土砂の道の上に立っている都市の光がヒグマの侵入を阻止した歴史を感じるのか。

同じ景色が、まるで違ってくる。

さあ降りようか、と思った人。
ちょっと待ってほしい。

函館山。なぜ夜景より昼に登って欲しいか。
その詳しい理由を言ってなかった。


北海道と呼ばれるようになって、約160年。
この函館山、その中の50年間、地図に載っていなかった。
明治から戦後まで、函館山は要塞だった。

立入禁止。一般人は近づけなかった。
その間、木一本切られなかった。
その結果が、今の森だ。

戦争のため閉ざされた山が、結果として開拓されず、生きものの避難所になった。
歴史の皮肉であり、奇跡でもある。

GWのこの時期、北海道も暖かくなり始め、本州から渡ってきた夏鳥も入ってくる。
足元の若い草花を見て、頭上の鳥の声を聞きながら降りてほしい。

観光地のはずが、いつのまにか戊辰戦争や世界大戦の名残…生態系の最前線を感じながら歴史の道を歩いていることに気がつくだろう。

考えるのがめんどくさかったら、
単純に気持ちよく楽しむのも善し!

ふう。いい運動になった。
全部見ようとするとかなりの距離だ。
計画は時間と体力の余裕をもってにしよう。

腹減ったなーそろそろホテルへ…

いやいや、待って待って。
山を降りたら、すぐ電車に乗らないで。

どうせなら、もう少し、休憩しながら元町を歩いてほしい。

ここには妙な景色がある。
ロシア。
フランス。
イギリス。
そして浄土真宗。
宗教のごった煮。

徒歩3分圏内に、
函館ハリストス正教会 (Hakodate Orthodox Church)
元町カトリック教会 (Motomachi Catholic Church)
聖ヨハネ教会 (St. John's Church Hakodate)
東本願寺函館別院(Higashi Honganji Hakodate Betsuin)
が肩を並べている。

「異国情緒」という言葉では足りない。
文明が、宗教が渋滞している。

ちなみに実家の仏壇には、十字架がある。
曽祖父がキリスト教だった名残。
仏と神が同居している。
マンガ「聖おにいさん」の世界観だ。
特に違和感もない。
函館って、そういう街だ。

ごちゃごちゃしてるのに、なぜか居心地がいい。

休憩にもってこいの素敵な喫茶店も沢山ある。
ネットで調べて行くより、通り掛けに、ここ良さそうだな!ってところで一息つくのも、あなただけの穴場をみつけられるチャンスかもしれない。



さて、市電に乗ろう。

十字街の電停に向かう。

タクシー、バスも良いが、電車。
断然こっちが函館っぽい。

石畳、坂道、古い洋館、港。
異国の文化、現在と過去、街が流れていく。

想像するだけでワクワクしてこない?

ワクワクついでに素敵な情報を一つ。
十字街の電停からは、今回の目的地とは逆方向の
「谷地頭」方面に向かうことができる。

やちあたま?

いや、やちあたまと書いて、やちがしら。 

その、谷地頭にはオレが大好きなパワースポットがある。

とても縁起のいい場所。

そこは、

「御珍宝神社。」

ごちんぽう神社ね。


ワーォ!
チンポ!チンポ!ゴチンポゥ。ポゥポゥ(゚Д゚)ポウッ!

失礼。中2の名残が…。
……祀っているものは、ご自分の目でGO!チン!ポゥ!とご確認を。

御珍宝神社を拝み、谷地頭温泉でイチモツを洗うのが紳士の嗜み。
しかし、今回は寄り道せず、終点へ向かう。


癒しのお宿がある、湯の川温泉街へ。

最近は函館駅前も様変わりして素敵なホテルが沢山増えている。

函館駅から近いようで遠い、湯の川。
なぜ微妙な位置にホテルが密集してるのか。

理由は単純で、お湯が異常に豊富な場所だから。
地下100メートルほどで温泉が出る。
井戸水すら使えない地区がある。
湧出量は一日7,000トン以上。
しかも函館空港から車で約5分。
日本一空港に近い温泉街。
近くには、温泉の地熱を利用した植物園もあり、
平日でも多くの観光客で賑わっている。

そんな湯の川。
歴史は室町時代まで遡る。
江戸時代には藩主が入り、
幕末には五稜郭で傷ついた旧幕府軍の負傷兵も療養した。
戦傷兵が浸かった湯に、今は観光客が浸かっている。
あの土方歳三、榎本武揚、大鳥圭介が海を眺めながら、
いいゆ~だぁ~な~アハハン♬と歌っていたかもしれなくもない。
えのもとー!うしろっ!うしろっ!
みたいな謎のドリフ的な事を考えたりして湯に浸かる。


函館。
生き物と人と歴史が詰まった魅力的な街。
知れば知るほど、噛めば噛むほど味がする
スルメのような、味わい深い場所。


函館山の森を歩いて、
宗教のごった煮を眺めて、
市電に揺られて、
戦傷兵もつかった温泉に入る。

これをやると、
「観光地」だった函館が、
急に生きた場所に。生きた歴史に感じる。

夜景は、最後の楽しみでいい。
この街は、光る前から面白い。



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