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美大では教えてくれなかった、芸術家として生活する方法を全部書いた

2026.6.5更新:続編に当たるテキスト『AIは教えてくれない、芸術家がAIと共に作家活動を続けていく方法を全部書いた』を公開しました!ぜひご一読ください。こちらからどうぞ。

2026.4.16更新:無料のLINEオープンチャット『たかくらかずきの地下研究所』を開設しました!入退場自由、匿名で参加できます。作品制作のノウハウや日々考えていること、最新の活動情報などをお知らせします。noteを読んで興味を持ってくださった方はこちらからどうぞ。


初めましての方も、ご存じの方も、こんにちは。僕は(おもに現代美術の)作家として活動している、たかくらかずきといいます。

芸術家として生きてきて10数年が経った今年、子供が生まれて、生活や環境が大きく変化しました。この機会に、これまでの活動をまとめてこれからの活動への展望を整理する意味でも、駆け出しの頃に僕が悩んだ、作家として生きるとはどういうことか、その方法について書き綴ります。

おもに作品や技術のことよりも、生活のことについて書いています。そのため、お金のことも出てきます。どのように収入を得るのか、プロジェクトの予算や配分やアートプロダクトの金額算定についての考え方など、できる限り赤裸々に書きました。

特に、美大で教えてくれなかったことをまとめているので、社会に出たばかりで不安なアーティスト、作家として頑張っているけどなんだか大変だなという人、都心で頑張ってるけど辛いなという人、アートを取り巻くムードが窮屈だなという人……そういう人たちに読んでもらえたら嬉しいです。

これはあくまで僕のやり方をまとめたテキストなので、各々フィットするやりかたを部分的に参考にしてもらえたらと思います。

『炎上不動明王』 2023

テキスト・たかくらかずき 編集・押剣山

0.芸術家「たかくらかずき」の自己紹介

たかくらかずきです

山梨の通信制高校から東京の美術大学である東京造形大学に入り、大学院まで出て就職など特にせず、作家としてなんとかやってきました。今は37歳で、完全に芸術の仕事で生活できるようになってからは、だいたい12年くらいになります。

近頃の仕事で一番大きかったのは、GINZA SIXのキャンペーンで作った「ハイパーマン」という4mくらいのLEDの彫刻です。ICC(NTTインターコミュニケーション・センター)やSusHi Teck Squareでのインスタレーション作品の展示、山梨県立美術館での個展、NHK Eテレの番組「シャキーン!」「マチスコープ」内のアニメや劇団・範宙遊泳のアートディレクター、PUFFYのCDジャケット、Steamで販売中のインディーゲーム「摩尼遊戯TOKOYO」の開発、リクルートのアートギャラリー・BUGで行われた「キャラクター・マトリクス」のキュレーションなど、いろんなことをしています。現在は、絵本の出版の準備や陶芸への挑戦をしているところです。

東京造形大学を出てから、東京でアルバイトをしながらイラストレーションやアニメーションの仕事をしていました。コンペに出たり雑誌の挿絵をやったりしながら、徐々にアルバイトなしでもなんとか暮らしていけるようになりました。その後しばらく東京でテレビ番組内で放送されるアニメーションやミュージックビデオ、CMなどの仕事をしながら暮らしていましたが、コロナ禍に入り、どうせ隔離生活なら広い家に住みたいと思って東京から京都に引っ越すことにしました。

東京でも作家活動をしていましたが、どうしても「クライアントワークを中心にしたイラストレーター」という印象が強かったため、なかなか「現代美術作家」として業界や市場に受け入れられませんでした。京都ではその印象を変えてやろうと思い、ARTISTS' FAIR KYOTOなどのアートフェアや個展などで頻繁に美術作品の発表を行い、現代美術の作家としてアピールしました。結果、京都や関西のアートシーンと接続して学びながら、アーティストとしての仕事も増えていき、東京にも美術の展示などで戻ってくることができるようになりました。

そして今年、子供が生まれたことをきっかけに京都から佐賀に引っ越すことにしました。

『ハイパー神社6D』 2025 @直島旅館ろ霞


1.このnoteの目的──芸術を仕事にするということについて

「有名な芸術家になる」ことと、「芸術家として生活する」ことは違う

作家として食べていくには、作家としてものすごく有名にならなければいけないというムードが、特に美大芸大の周りや都会にはあります(じゃないかなあ…と思うんですがどうですか)。だけど実はそんなことはなくて(そりゃあある程度の知名度は必要だけど)スーパースターにならなくたって、フォロワーが1万人いなくたって(僕もいないし)作品を作って生活していくことはできます。

だから、まずは楽しく作品を作って暮らしていくことを目標に始めたらどうだろうか? と思っています。スターになることは、その後の目標にしたら良い。というか、作品を作り、考え、芸術家として暮らしていくうちに、各々の多様な目標や目的がきっと定まってくるんじゃないでしょうか。その方が目的や目標に純粋に取り組めるし、変な焦りとか憎しみとか劣等感に苛まれることは、格段に減るだろうと思います。僕は減ったな。

僕自身はたくさんSNSで宣伝したり、インターネットを使いまくるという方法で作家活動をしているのですが、実はインターネットに現れず、しかも、ちゃんと暮らしている作家さんはたくさんいます。東京のコミュニティやインターネットつながりだけだとなかなかそういう作家さんに出会うことは少ないんだけど、世界中を旅しながら絵を売りまくってる人、子育てしながら彫刻作品で暮らしてる人、地方の山奥に家を買って作品制作をして暮らしてる人、アトリエを構えて陶芸で暮らしてる人、レジデンスを転々としながら作品を作る人……そういう作家さんが本当にたくさんいます。

そんなわけで、基本的に自営業者である僕がこの12年(アートに両足を突っ込んでからは5年くらい)で経験したことをもとに、「芸術家として生活する方法」を書きたいと思います。ちなみに、このテキストは僕が「芸術家として生活する」ために有料、買い切り500円です。よろしくお願いします。

『YOU』キャンバスシリーズ 2024


2.芸術家として生活するための、8つの手段

ではどんな方法で、作品を作り続けて生活していくか? それぞれ項目別に記述します。

まずでは美術作品である「アートピース」について、ではそのお披露目方法について、では作品の種となる企画の作り方について、は美術活動の派生としての「話す」ことと「書く/描く」について、は食べていくための具体的な方法の一つであるクライアントワークについて、では継続的な収益のための「アートプロダクト」について書いていきます。はコンペや助成金についてです。

①アートピースを作る

・作品の種類について
僕が作る作品の種類は、おもに平面作品、立体作品、映像作品、インスタレーション作品、インタラクティブ作品などです。平面はドローイングやUV出力のデジタルアートピース、立体作品は木や石やLEDを使ってチームで作る巨大立体や、3Dプリントで作る小さな立体や焼き物、映像作品は手描きのアニメーションや3DCG、AI映像、さらにそれらを組み合わせてインスタレーションを作ったり、VRやAR、ゲーム的な要素を採用してインタラクティブ作品を作っています。

作品の規模によって、一人で作れるものからチームでしか作れないものまであります。まずは自分の技術と、その技術を用いて一人で作れるものを把握しておくことが重要です。それだけでは作れないものは、必然的にチームで作ることになります。

アプデ輪廻『仏花(竜胆)』 2021 撮影:Kaori Yamane


・自分一人で作る

基本的には、日々、一人で作品を作り続けることを繰り返します。思いついたことはまず形にしてみます。特にまだ予算の目処がついていない作品やプロジェクトの場合は、アイデアのスケッチやモックなどを作っておいて、いつでもプレゼンテーションできるようにためておきます。

そのようにためておいたアイデアや習作を、信頼できる人や応援してくれる人に話したり見せたりします。そうすると、本格的にやろうよ、みたいなことになる場合も多いです(アイデアだけ勝手にパクられるというリスクもあるので、本当に信頼できる人だけにしましょう)。落書きや写真やメモなど、作品かどうかわからないようなものもたくさん作っておくだけでも、後々まとめるとなんらかのきっかけになることもあります。時間さえあれば、とりあえず一人でやれることはなんでもやってみて損はないでしょう。

・プロジェクトチームで作る
一人で作れないものも、チームだと作ることができます。チームを組む時に非常に重要な点は2つ。自分とフィットする人と仕事をすること、そしてお互いにリスペクトを持てる人と仕事をすることです。座組の人数を増やしすぎて失敗するという場合は往々にしてあるので、人選はじっくり慎重に行います。適当に人選して嫌な思いをするのは自分だけではなく、相手もそれに巻き込まれる形になるからです(人選の注意点については、「気をつけること」の項目に詳しく書きました)。もう一つ加えて言えば、だれかと作品を作る時、どんな役を頼むのか早いうちにしっかり決めておくとよりスムーズに進みます。制作していくうちに決まったりもしますので、必ず事前に決めないといけないというわけではありません。ただし、予算やスケジュールについては、お互いのためにも早めに明確にしておくと良いです(予算の組み方や配分の方法、考え方についても後述します)。

例えば、僕はプログラムが書けないからゲームを作るにはプログラマーさんの協力が必要です。一口でプログラマーさんと言ってもいろいろなタイプがいて、ブラウザゲームが得意、Unityなどのゲームエンジンが得意、インタラクティブアートが得意、XRが得意、などなど各々に得意分野があります。ゲームでも、アクションが得意な人もいればRPGが得意な人もいます。自分の知らないジャンルというのはどうしても解像度が荒くなってしまうけど、専門家からしたら絵画と彫刻くらいジャンルに開きがあったりするので、プロジェクトメンバーを確定する前にその辺りは学びながらよく話し合っておく必要があります。得意なことをやってもらい、そのうえでチャレンジしてもらうのが一番良いです。

『摩尼遊戯TOKOYO アーケードver』 @ホテルアンテルーム京都

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