停電しても、水は止めない。「みんなの無停電井戸」をつくりました
震災が起きたとき、深刻な問題になるのがトイレの水です。
飲み水は備蓄できても、水洗トイレには大量の水が必要です。断水が続けば、家庭でも避難所でも、トイレはたちまち大きな問題になります。
そこで高原クリニックでは、私費で防災用の井戸を掘りました。
名前は、**「みんなの無停電井戸」**です。
停電しても、24時間水をくめる井戸
世田谷区内には、「震災時井戸水提供の家」という看板を掲げた住宅もあります。
ただ、多くは住宅の塀や門の内側にあるため、災害時に知らない人が入り、井戸を使わせてもらうのは、心理的にも物理的にも簡単ではありません。
また、手漕ぎポンプだけの井戸や、電動ポンプであっても、停電すると使えなくなる井戸もあります。
そこで、この井戸には三つの特徴を持たせました。
① 道路から自由にアクセスできる場所に設置
クリニックの敷地内ではありますが、塀の中ではなく、道路に面したオープンスペースにあります。
② 太陽光発電と蓄電池で電動ポンプを動かす
停電しても、太陽光発電から蓄電池に電気をため、電動ポンプで水をくむことができます。昼夜を問わず、24時間利用できます。
③ 手漕ぎポンプも設置
電動設備に万一のことがあっても、最後は人の力で水をくめます。
つまり、普段はボタンで簡単に水を出せて、停電しても使え、さらに手でもくめる井戸です。
大切なのに、平時にはなかなか関心を持ってもらえない
この井戸を地域の皆さんに知っていただくため、8月23日(日)の朝に、子どもたちにも参加してもらえる「夏休み井戸くみ体験」を企画しました。
夏休み前に、地域へ2万5,000枚のチラシを配布しました。
ところが、正直に言えば、反応はあまりありませんでした。

災害が起きていないときに、防災や断水、トイレのことを自分の問題として考えるのは、なかなか難しいのだと思います。
でも、本当はめちゃくちゃ大切なことです。
災害が起きてから、
「水が出ない」
「トイレを流せない」
「近くに井戸があることを知らなかった」
となっても遅いのです。
そこで、トイレの問題があらためて話題になっている今、もう一度知っていただくチャンスだと考え、今日から一週間、再び2万5,000枚のチラシを配ることにしました。
一つの井戸で守れる範囲には限界がある
この井戸が実際に役立てるのは、せいぜい周辺の1万人程度かもしれません。
一つの井戸だけで、東京全体を助けることはできません。
けれども、道路から自由に使えて、停電しても電動で水をくめ、最後は手漕ぎでも使える。
そんな**「みんなの無停電井戸」**が、地域ごとに少しずつ増えていけば、災害時に助かる人は確実に増えます。
病院、学校、マンション、企業、商店、寺院や神社など、地域にひらかれた場所に、この仕組みが広がってほしいと思っています。
停電しても、水は止めない。
高原クリニックの小さな井戸が、その始まりの一つになればうれしく思います。
