#1 自分株式会社ビジネススクール 7月1限目
こんにちは!
木下さんのVoicyコンテンツの、自分株式会社ビジネススクールが再開したので、参加してみました。
都市経営プロフェッショナルスクールへの参加を機に、昨年は活動量がグッと増えたとは思うのですが、やはりコンスタントな発信の習慣がなかなか身につかずモヤモヤしていたところ、ちょうど良いタイミングだったので、7月も終盤ですが…w、今月のビジネススクールに参加し、アウトプットをここから何回かに分けて書いていこうと思います。
1.スモールジャイアント戦略
7月のテーマは、「人生のスモールジャイアント戦略」ということで、課題図書は、ボー・バーリンガムの『スモールジャイアンツ』です。「成長」至上主義のビジネス観に一石を投じた本で、原著が書かれたのは2006年とのこと。その当時、自分は大学生で就職活動をしていた頃だと思います。リーマンショック前の時代で、金融志望だった自分は、ゴールドマンサックスやJPモルガンなど、外資系金融機関の内定を取った仲間の話を聞きつつ、商社や投資銀行に対するボヤっとした憧れと、一方で、そういった世界よりも、むしろローカルなものへの共感が強く、地方銀行を目指していました(入社した後、地方企業の昭和的宴会の洗礼に合い、「オラこんな村嫌だぁ」的な気持ちを抱くことにも…)
バーリンガムは著書において、「偉大な会社」は必ずしも「急成長」や「売上最大化」を目指す必要はないと説きます。 むしろ、あえて「大きくならないこと」を選んだ企業こそ、本質的な価値を追求し、文化や品質、地域との関係性において際立っているとしています。
スモールジャイアンツの特徴
書中で紹介される「スモールジャイアンツ」と呼ばれる企業群(米国の14社)には、共通する価値観や哲学を書き出すと…
経営者が自らの価値観や人生哲学をビジネスに反映させている
地域社会との深い関係性を大切にしている
社員との信頼関係を基盤にし、働きがいを重視している
製品やサービスの質に強いこだわりがある
株主利益の最大化よりも、長期的な持続性とコミュニティへの貢献を重視
多くの企業が「大きくなること=成功」と考えがちだが、バーリンガムは「成長の代わりに偉大さを選ぶ自由」を説きます。 むしろ、無理な成長追求は、企業文化の崩壊や、社員・顧客との信頼関係の喪失につながる危険もあると指摘します。これらの企業は、買収や上場といった外部資本による成長戦略を拒み、自らの信念に基づいた「内発的な成長」を選んだ点で共通しています。
2.地方自治体にとっての示唆
ちょうど、前回のnoteで「役に立たないけど、意味のある物」という観点で都市の可能性について書いていたところでもあり、バーリンガムの指摘には大変共感します。それは、「分かり易い外部評価」よりも、「内発的な価値観、哲学を評価軸とする」という点で、人口減少時代のまちづくりにも通じると感じたからです。さて、自分は地方自治体職員として働く立場ですが、自治体職員にとって「規模よりも意味を追求する」とはどういうことになるか?ちょっと、この点について考えてみました。
そもそも自治体職員にとって脱・成長至上主義とは?
地方自治体の職員には、そもそも資本主義的な経済成長よりも、地域貢献、住民の福祉に関心の高い人が多いと思います。言いかえれば、そもそも脱成長志向で、平等、公平を重視する考えを持った人が多いと。しかし、ビジネス経験や経営的思考力に乏しい人間が、一種ユートピアのような脱成長論を唱えても説得力がないとも思います。むしろ行政職員に必要な思考はバリバリの成長思考、アニマルスピリッツのような気もします。そんな状況も頭の片隅に入れつつ、自治体職員にとってスモールジャイアント戦略の示唆とはどのようなものでしょうか。
「全方位経営」ではなく「選択と共感」
パッと思いつく例でいえば、自治体は、大規模開発や企業誘致といった分かり易い経済効果を求めがちという点が挙げられます。また、自治体は広く浅く総花的な施策を行いがちです。しかし、そういった、分かり易い外部評価に判断を委ねるのではなく、長期的な持続性や、地域の個性・アイデンティティといった、分かりにくいけど意味のある動機に基づいた判断が必要だと感じました。
たしかに、自治体という組織の大きさ、ステークホルダーの多さを考えれば、企業のケースよりも難しい点はあると思いますが、しかし「敢えて絞り込む」というスモールジャイアント戦略から得る示唆もあると思います。
先ほどの例でいえば、すべての住民やすべての産業に“全方位で”関わって、多数の承認を得る(批判を避ける)よりも、地域が歴史の中で大切にしてきた産業、風土、文化に軸足を置くことで、地域住民の「エートス」や「共感」を育てていく方が、より長い地域の繁栄に繋がるのだろうとは直観的に感じます。
自治体職員に必要な「経営的視点」との両立
スモールジャイアンツの経営者は、成長を否定しているわけではなく、必要十分な利益を確保しつつ、内的な整合性と外的な影響のバランスをとっている点に注目しなければなりません。自治体経営においても、地域における「意味ある行政活動」を成り立たせるためには、持続可能な経営視点は不可欠ですので、お金や経済合理性とはしっかり向き合う必要があります。そのうえで、敢えて「分かり易い量的成果」、「外部にアピールし易い成果」に飛びつくのではなく、長期的な持続性や、住民同士の共感を醸成するストーリーを示していくことがポイントだと思いました。
3.自分にとっての、「規模」よりも「意味」は?
いきなり、自治体とかデカい話をしてしまったのですが、そんな中でイチ職員にとっての、脱成長至上主義の価値について考えてみました。
もともと、大学生の頃から、海外展開する大企業などで働くよりも、地方や地域経済のために働く方に共感する人間で、それで地方銀行と言う選択をしました。しかし、地方金融機関の収益環境が厳しいなか、地元企業への営業よりも、運用収益を上げて決算を作っていくことが史上命題になり、それはそれでゲームを攻略するような興奮や自身のスキル向上も感じたのですが、もっと人や企業との関係性が見える世界を希望して自治体職員になったという背景があります。当然、転職により収入は下がりましたが、それよりも自信をもって意味があると言える仕事に取り組むことが、自分にとっての価値だったと思います。
営利企業ではない自治体職員にとって、前年同期比+〇%というプレッシャーは当てはまらないかもしれませんが、幅広いステークホルダーのニーズに晒されるなか、予算を引っ張り、即物的な解を上手に整えることができる職員が評価される風土はあると思います。しかし、そういった分かり易い評価に逃げることなく、本質的な議論を丁寧に展開し、自信を持って推せる施策を提案していくことが、自分自身の人生の満足に繋がると感じています。
また、将来にわたって自分が社会に関われる仕事を得ていくためにも、「集」としての自治体職員ではなく、「個」として自分の意見・哲学をもって働いていくことが、地域での社会資本の構築にも繋がるのだと感じました。
ということで、自分にとっての「規模の追求」ではない「意味としての価値」は、自信を持って社会にとって良いと思えることを選択できること。なんだか抽象的ですが、仕事を通じてそういう実感を持てることが大切だと感じています。そのために、マーケットの出店などの小さな商い、祭りの手伝いなどの地域活動など、小さな活動を通じた社会との接点は、規模的なメリットは少ないですが、自分にとっての価値なのだと思います。
