10時58分、水打ちの音がした。
11時、少し前。
初めて訪れたお蕎麦屋さんに着いた。
時計を見ると、
10時58分。
まだ暖簾は出ていない。
けれど、
ガラガラと引き戸が開き、
店主が小さな桶を持って出てきた。
サッ、サッと、
玄関先のアスファルトに
静かに水を打つ。
打ち水が触れた場所から、
ほんのり冷たい空気が立ち上る。
乾いたアスファルトが水を吸い込む、
夏の匂いがふわりと漂った。
ただの開店準備なのかもしれない。
でも、
誰も見ていないその手元が、
あまりにも丁寧で、
なぜか目が離せなかった。
「少し早いけど、大丈夫ですか?」
そう声をかけると、
店主はニコッと自然な笑顔を見せて、
「いらっしゃいませ!大丈夫ですよ」
と、優しく答えてくれた。
その瞬間、
胸の奥が、
じんわりと温かくなった。
「あぁ、来てよかった。」
そう思えた。
料理の味や、
蕎麦の茹で加減よりも先に、
心に残ったものがあった。
誰にも見られない時間の中で、
静かに心を整え、
訪れる人を迎える準備をしていたこと。
その、
見えないところにあった愛が、
まっすぐ伝わってきたからだと思う。
暖簾が掛かる前から、
もう、
そのお店は始まっていた。
🌿 こちらの記事も、よかったら。
見えないところで整えられた心は、
きっと誰かの安心につながっている。
そんな「誰にも気づかれない優しさ」に目を向けた一篇です🌸
#エッセイ
#日常
#朝時間
#暮らし
#気づき
#心を整える
#優しさ
#人とのつながり
#朝活
#HSP
#繊細さん
#世界は小さなことで違って見える
いいなと思ったら応援しよう!
貴重なご支援をいただき、心から感謝申し上げます。いただいたお気持ちは、より良い情報をお届けするための活動費や、心身を整える研究のために大切に活用させていただきます。誠心誠意発信を続けてまいります。温かい応援に、深く感謝いたします🌿🙏