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【理不尽仕事論】 書籍レビュー

先月発売された「理不尽仕事論‐「クソが!!」と思った時に読む本」を読みました。とても面白い一冊だったため、備忘録も兼ねてnoteでまとめました。


著者との出会い

坂井風太さんとの出会い

坂井風太さんを初めて知ったのは2年前。たまたま「生存者バイアス」に関するPIVOTのYoutubeを見て、彼の考え方や話し方に物凄く感銘を受けたことを覚えています。当時は大学3年生になりたての頃で、自分の専攻を決めかねていたタイミングでした。元々バスケットボールをやってきた自分にとって、「モチベーション」や「チームワーク」はずっと興味のあるテーマ。そんな時に坂井さんのX・note・YouTubeに出会い、HRを勉強したいと思いました。大学では「組織行動論」を専攻するゼミにエントリーするも、まさかの落選。ただ留学先では人事資格「CIPD」を学べるイギリスの「マンチェスター大学」を選び、1年間「Human Resource Management」を勉強しました。色々な”肩肘界隈”に触れてきた中で、坂井さんには特別な思い入れと尊敬を持っています。

ぐんぴぃさんとの出会い

ぐんぴぃさんはお笑いコンビ・春とヒコーキのボケ担当。「バキバキ童貞」発言がSNSで話題となり、「バキ童」の愛称で広く親しまれています。おそらく同世代か少し上の方なら、一度は見たことがある方だと思います。私はYouTubeで流れてきた「人生振り返り」の動画がきっかけで、自分の人生を面白く伝える能力の高さに驚きました。人の「人生」を聞くことが好きな自分にとって、この動画は何度も再生してしまうほど刺さっています。

こうした背景もあり、お二人はとても尊敬している存在。ラジオ「GERA」も作業中によく聴いていました。今回はずっと楽しみにしていた共著ということで、二人の会話と自分のこれまでの経験で重なる部分をピックアップして、頭を整理しようと思います。

#1 「挫折経験」は成人も、悪人も生み出す

1番最初の章でしたが、この章が1番面白かったです。「若い頃は挑戦して挫折したほうがいい」とはよく言われますが、坂井さんはここで「挫折経験は解釈次第でポジティブにもネガティブにもなる」と唱えています。ポジティブに捉えれば自己成長の機会となり、相手への配慮も生まれる。一方でネガティブに捉えると、他人への敵意や「どうせ裏切られる」という不信感につながるとのこと。

自分は1年以上就職活動をしてきて、うまくいかないことが多かったです。大学受験ぶりに同期と横並びで競い合うこの環境で、友人への劣等感を感じていました。これまでの経験に自信を持っていた分、不採用になるたびに「なぜ自分が落とされるのか」と自己不信に陥り、「どうせ対策しても落ちる」と諦めムードになっていました。

さらに本書で紹介されている「仮想的有能感」も、まさに自分のことでした。就活の結果にネガティブになるほど、「俺の方が絶対優秀だ」と心の中で言い聞かせていた気がします。SNSや口には出していないけど、確かにそういう感情はありました。

また、坂井さんの「自助努力主義」という話も刺さりました。小さい頃からバスケを通じて、努力やプレッシャーとともに育ってきたせいか、手を抜いているように見える人に「気合入れろよ」と思いがちです。ただ、人によってキャパシティも解釈も違いますよね。この概念を知れたことで、自分の癖に気づけました。

では、挫折経験をポジティブに捉えるにはどうすればいいか。本書では「メンターがいるかどうか」が重要だと書かれています。確かに自分は追い込まれた時に相談できる人が少なかった。留学で同期と卒業時期がずれたことで就活の相談相手が見つけにくく、会社の上司のアドバイスも「時代が違う」と素直に受け取れていなかった部分がありました。手を差し伸べてくれる人や機会に「おかげ」と思えるマインドが大事で、周りへの感謝が過去を浄化する手段になる——そう気づけたのは、本書の大きな収穫でした。

#3 後悔の種類

この章のテーマは「後悔」。後悔には「行為後悔」「不行為後悔」の2種類があります。

  1. 行為後悔:「愚かなことをしてしまった」

  2. 不行為後悔:「やった方がいいことをしなかった

「死ぬときに後悔すること25」のほとんどが後者の不行為後悔であり、「仕事ばかりで趣味に時間を割かなかった」といった話はよく聞きますよね。ではなぜ、人は不行為後悔の方を強く感じるのか。それには2つの理論が関わっています。

そのうちの1つ「心理的免疫システム」がとても面白かったです。この理論は、「辛い経験を覚えていると辛いから、脳が良い経験だったと正当化したり、失敗を挽回する行動を取ったり、忘れようとする」というもの。自分の場合も、行きたかったゼミに落選した経験がありましたが、結果的に英語のワークショップに参加でき、そこでの出会いから学生団体を作るきっかけを得ました。

つまり、行為後悔は「結果的に良かった」と認識されることで、記憶から薄れていくということです。経験の総量では行為後悔と不行為後悔が1:1だとしても、記憶に残る割合は2:8くらいになっているのではないでしょうか。Connecting the Dotsの話にも通じますが、アクションを取った瞬間は後悔や挫折を感じても、結果的にどこかにつながっている。だからこそ、後悔しないように行動しよう—そんなメッセージだと感じました。

坂井の補講⑤:なぜ、あなたは働いているの?

私はなぜ勉強しているのか。なぜバスケを続けているのか。なぜ働くのか。こうした問いに対する答えは、「意味」ではなく「躍動」を求めているからだと思います。目的や理由といった頭で考えるものではなく、「心が躍る瞬間」を求めて、人は目の前のことに真剣に向き合っているのだと思います。本書に登場する「ひゃくえむ」や「M-1」の話も、まさにそれを体現しているように感じました。

私は10年以上バスケを続けてきました。低学年の頃は伸び伸びとプレーでき、純粋にバスケの面白さを感じていました。ところが5年生で高学年チームに上がると、チーム内の序列や自分の役割といった「概念」が頭に入ってくるようになりました。「このチームにいる意味はなんだろう」「何点取らないといけない」と常に自問自答し、苦しむこともありました。それでも続けてこられたのは、バスケが与えてくれる「心躍る瞬間」を忘れられないからだと思います。勝ち負けも、ナイスプレーも、凡ミスも、すべてに全力になれた時間が、今の自分につながっています。当時のチームのスローガンは「夢中になれ」でした。試合の勝ち負けより、バスケを通じて夢中になる瞬間を見つけてほしいという監督の思いが、10年越しに伝わってきました。

来年から社会人になる今、多くのしがらみが生まれる中でも、合理性を超えた「躍動」を求めて生きていきたいと思っています。本書では3つの呪いが紹介されていますが、私が最も危険だと感じるのは「効率の呪い」です。自分はコスパよりタイパを気にする性格で、「この時間のリターンは何か」「このイベントに参加するのは合理的か」と考えてしまいがちです。ただ、そういう思考の先に「躍動」はありません。一見タイパが悪いと思えるものにこそ、躍動が隠れているのだと思います。この本を読んで、自分の思考と行動を見直すきっかけになりました。

まとめ

総じてとても読みやすく、勉強になることが多い一冊でした。あえて批判的に捉えるなら、もう少し硬めのビジネス書でも良かったかもしれません。ぐんぴぃさんとの対話やラジオからの引用が多い分、知らない表現や少しフックになりすぎているワードが散見されました。個人的には、各章末尾の「補講」パートの方が面白く読めました。

ただ、これは坂井さん本人が「これまでのビジネス書とは違い、面白さと理論を融合させたかった」「1冊目は千鳥さんのDVDのように、全く関係のないところから入りたかった」と明言しているので、その意図はしっかり伝わってきました。1冊目ならではの挑戦として、これはこれで面白かったです。その縛りから解放された2冊目以降も、大好きな坂井さんの本をこれから読めることを楽しみにしています。

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