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ビジネスモデルとは #7

今回は「ビジネスモデル」について、
・ファーストリテイリング(アパレル業界)
・松井証券(オンライン証券業界)
を例に考えてみたいと思います。

そもそも「ビジネスモデル」とは何でしょうか?

定義の仕方はいろいろあると思いますが、僕は以下のように定義しています。

ドメイン理論(誰に、何を、どのように)+利益モデル(収益構造、コスト構造)

つまり、どのように事業を行い、そこからどのように利益を上げるかを論理的に説明したものです。

ちなみに、ドメインとは、「生存領域」を表す言葉ですが、ビジネスにおいては、自社の「事業領域」のことを言います。具体的には、どのターゲット顧客に(誰に)、どのような商品・サービス(付加価値)を(何を)、どのようなオペレーションで(どのように)、届けるかを定義したものです。

中小企業診断士の2次試験では、事例企業の紙上コンサルを行いますが、当該事例企業の抱える問題に対し、助言となる解答を導き出す場合でも、まず最初に行うのが、その企業の「ビジネスモデル」は何かを考えることでした。

実際の「ビジネスモデル」分析では、前述の定義をさらに分解し、その構成要素ごとに内容を考えていきます。以下がその構成要素です。

①CVP(Customer Value proposition)→誰の、どのようなニーズに対して、どのような価値を提供しているか

※①は、ドメイン理論の「誰に」「何を」に相当

②プロセス(バリューチェーン等)
③経営資源(人、物、金、情報等)

※②、③はドメイン理論の「どのように」に相当

④利益モデル(収益構造、コスト構造)

まずは、①のCustomer Valueが重要です。誰に、どのような価値を提供しているか、これがその会社の存在意義に直結するからです。

特に「誰に」が重要になります。誰の、どのようなニーズに対して、どのような価値を提供するかが問題になるので、ニーズが具体化されるレベルまで「誰に」を考える必要があります。

そして、②、③ですが、CVPを実現するために必要な経営資源は何か、どのようなプロセスが最適かを考えます。「どのように」ですね。

ビジネスにおいて利益はあくまで結果に過ぎませんが、利益がなければ事業の継続は難しくなるので、CVPをどのように実現し(コスト)、その対価としての金銭をどのように得るか(収益)を考えた「利益モデル」を構築することが当然に重要になります。

ここでより大切なのは利益を考えることは、コストを考えることだということです。自社のコスト構造がどうなっているのかを知らなければ、利益を生み出すことはできません。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの成功要因は、「ビジネスモデル」の変革として「CVP」そのものを変えたことにあります。

ユニクロの社長、柳井氏は、山口県という地方の成人男性を対象とした普通の仕入販売のスーツ専門店だった「メンズショップ小郡商事」を、ノンエイジ・ユニセックスを対象に高品質のベーシック・カジュアルを低価格で提供する「ファーストリテイリング」へと変革しました。

それには、カジュアル衣料の方が将来性があるという柳井氏の商売人としての動物的勘が働いたという面もあったのでしょう。

ユニクロはこのCVPを実現するためにSPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)というサプライチェーンのプロセスを取り入れて、社名通り、ニーズに素早く対応した安定供給を実現しています。

ユニクロは当時のアパレル小売業界のサプライチェーンの非効率さとオリジナル・ブランドの重要性に気づき、SPAという業態を採用しました。SPAとは、自社ブランドを自社の店舗で販売する小売形態で、ユニクロは企画・製造も自社で行っています。ちなみにZARAもSPAです。

ユニクロも当初は自社ブランドではなく、アパレルメーカーのカジュアル・ブランドの製品を仕入れて販売するスタイルで、特徴は低価格であることだけでした。

アパレル業界の常識は、企画・製造・ 物流・販売というサプライ・チェーンをそれぞれ異なる業態・企業が担うことです。

小売も販売委託形式が主流で、アパレルメーカーは販売員をデパートの売り場に派遣したり、返品コストを負担しないといけないなど、非効率な対応を強いられていました。

ユニクロは自ら目指すCVPの実現のため、企画・製造・ 物流・販売を自社で一貫して行うSPAという業態でこれまでのアパレル業界の常識に挑戦し、一流企業として成功を収めています。

市場が成熟している現代社会では、その業界の常識の中に「ビジネスモデル」変革のヒントがあり、そこにビジネスチャンスがあるという一つの例だと思います。

一方で、松井証券の「ビジネスモデル」の変革は、特に「利益モデル」を大きく変えたことでした。

松井証券も元は普通の中堅規模の証券会社です。
しかし、規制緩和の中でこれまでの収益源である委託手数料が自由化されることがほぼ確実になり、従来の1/6まで下がる可能性がありました。

これまでのコスト構造を変えないと今後は立ち行かなくなるとの危機感から社長の松井道夫氏は改革に着手します。

従来の中心であった販売員による取引は、固定費負担が大きく赤字となっていたため、支店を閉鎖し、販売員取引を一切やめ、コールセンターによる取引を拡大し、後にオンライン取引へと舵を切ります。

反発した従業員は役員を含め、ベテラン社員を中心に半分程お客さんを引き連れて辞めていったという程の大改革でしたが、この変革がなければ中堅社の松井証券は自由化の波に淘汰されていたことでしょう。

環境が大きく変われば「ビジネスモデル」の変革が必要になりますが、その際には前述の4つの視点の何がどれだけの影響を受けるのかを見極めることが重要になります。

特に「利益モデル」へのインパクトを考えることが重要だと松井証券の例は示していると思います。

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