ひどい動画
iPhoneからAndroidに機種変更したら、デフォルトでYouTube Musicというアプリがインストールされていたので利用している。
夫とドライブするときに、例えば70 年代懐かしのフォーク特集とか、60代の昭和歌謡などのミックスリストを手っ取り早く流すのだ。
広告をスキップしなければならないが、無料で使っているのだから仕方がない。
とある昭和歌謡を集めたミックスリストのタイトルや作成者をここには書かないけれど、ずいぶんとひどい動画があった。
素人の私にもAIで作成されたのは一目瞭然、それはいい。
テーマは(たぶん)昭和の食の風景。
昭和は長くて、34年生まれの私は戦前、戦中はもちろん、戦後もよく分からない。
自分が生まれるわずか14年前に戦争に負けたという実感なく育った。
良くも悪くも…
それでも親や祖母などから、戦時中の話は聞いたことがある。
とにかく食べるものがなく、主食の代用にカボチャばかり食べさせられた。
だからカボチャは見るのも嫌だと言う昭和一桁生まれの上司もいた。
カボチャをどのように調理したものか、聞いたこともあった気がするが、お米やパンの代わりにそれもそう豊富にあるわけでもなく、生きるために食べざるを得ない状況というののインパクトが強く、スルーしたかもしれない。
件の動画の時代設定は戦時下と思われる。
似たような顔つきのやけに肌艶のきれいな、顎の小さいいかにも現代風な小学生とおぼしき児童たちが、囲炉裏に焼べられた鉄鍋を取り囲んでいる。
汚れや継ぎのない、男児は詰襟の学生服、女児はセーラー襟のブラウスを着ている。
鉄鍋は沸騰した煮汁がたっぷりで溶岩のように波打っている。
その中に、半分に割ってから3cmほどの太さに切り揃えられたカボチャと思しきものがぶち込まれている。
とても料理とは思えない。
煮えたぎった液体に浮かぶそのカボチャを、児童たちは四角い菜箸のように長い箸でもって軽々とつまみ、直に口に運んでいる。
気味の悪い笑顔を貼り付けたまま。
まさに地獄の沙汰である。
動画では、たびたび食べ物が並べられた重箱のような容器も映し出される。
半熟卵の輪切りがひと並べしてある以外は、いったい何の料理なのかよく分からない。
白ごはんが楕円のおにぎりになって置いてあるから、弁当なのかも知れない。
こんなのを長時間見ていて、また次から次から出し来られてはたまらないし、再生回数アップに加担することにもなるのも癪なので早々に切り替えた。
まさかこんな動画を見て、昭和の子どもたちの様子や食文化を知った気になる方は居ないと思うが、2000程度はイイねが付いている。
何も知らない若い人が作ったにせよ、無知はそれだけで罪深い。
こんなものが何を憚ることなく公開されてしまうなんて、想像力も良心もない無責任で悪質な世の中だとつくづく思う8月15日だった。
