北海道|雪に包まれた冬の支笏湖散策
冬の北海道旅行と聞いて、どんな旅を思い浮かべるでしょうか。ニセコやトマムでのスキー、札幌の雪まつり、雪に包まれた函館の夜景も魅力的です。でも、華やかな観光地から少し離れて、温泉に浸かりながら雪道を静かに歩く旅もまた格別です。雪は音を吸い込み、森の中はしんと静まり返ります。耳を澄ませば、小鳥たちの冬の囁きが聞こえてくるかもしれません。今回は、そんな森に囲まれた支笏湖・休暇村周辺の雪景色をご紹介します。
雪景色の支笏湖

(地理院地図 https://maps.gsi.go.jp/ の画像を加工)
支笏湖は、約4万年前の支笏火山の噴火によって生まれた円形の窪地に、水が溜まってできたカルデラ湖です。日本最北の不凍湖で、最大水深は365mと国内で2番目の深さを誇ります。周囲では恵庭岳、風不死(ふっぷし)岳、樽前山などの火山が噴火を繰り返し、現在のくびれた形が形成されました。
湖畔園地からは、凍らない湖面と、その奥にそびえる風不死岳を望むことができます。風不死岳は活火山であり、ヒグマの出没が多い地域としても知られています。冬でも油断は禁物です。

湖の東側、湖畔園地の近くにはビジターセンターがあります。支笏湖の自然や歴史を分かりやすく紹介しており、駐車場から近いので雪道を長く歩かずに立ち寄れます。展示の中でも印象的だったのは、「支笏“生きもの”情報ボード」に貼られていたシマエナガの写真。『かわいすぎる野鳥 シマエナガ』というタイトルとともに、真っ白な顔や長い尾羽など、かわいさポイントが紹介されていました。

ビジターセンターの近くには、湖を見守るように佇む小さな神社・支笏湖神社があります。主祭神は山の神・大山祇神(おおやまづみのかみ)。そのほか、水の神・水波能賣神(みずはのめのかみ)、鉱山の神・金山毘古神(かなやまびこのかみ)と金山毘賣神(かなやまびめのかみ)、そして弁財天である伊知伎志摩比売命(いちきしまひめのみこと)が祀られています。かつては千歳川対岸の旧千歳鉱山船着場の崖上に祠があったとされ、鉱山の神が祀られているのも、その歴史と関わりがあるのかもしれません。

ここから南へ向かうには、千歳川に架かる真っ赤な橋を渡ります。これは北海道で現役最古の鉄橋で、イギリス人技師ボナール氏が設計したトラス橋です。もとは北海道官設鉄道上川線の砂川〜妹背牛間に架けられていましたが、のちに王子製紙の専用軽便鉄道「山線」の橋として支笏湖に移設されました。現在は修復され、歩道橋「山線鉄橋」として支笏湖の新たなシンボルとなっています。

山線鉄橋を渡り、千歳川沿いを上流へ進むと、もう一つの橋・湖畔橋があります。二つの橋の間の林道では、雪の中で1頭のエゾシカに出会いました。こちらをじっと見つめていましたが、近づくと白いお尻を見せて一目散に駆けていきました。湖畔橋の少し手前には階段があり、そこを登ると休暇村のある台地へと上がれます。

休暇村と周辺の鳥たち
休暇村支笏湖は林に囲まれ、周辺の森では小鳥たちの囁きが聞こえてきます。ここの温泉はとろりとした湯で、皮膚をやわらかくし、脂肪や分泌物を洗い流す成分が含まれているとされ、筋肉痛や関節炎、五十肩、冷え性などに効果があるようです。

休暇村にはバードテーブルがあり、餌を食べに来る小鳥たちを眺めながら朝食を楽しむこともできます。訪れた日は、ゴジュウカラ、ハシブトガラ、ヤマガラが餌台に集まっていました。

周辺の森は「野鳥の森」として自然観察歩道が整備され、解説板や東屋、観察舎が設置されています。遊歩道は開けた台地の方にも続き、支笏湖を望む展望台もあります。

展望台から崖下の親水公園へ降りる階段を進むと、シマエナガの看板を見つけました。冬の森では鳥たちは梢の高いところを飛び回り、なかなか姿を見せてくれません。この日はシマエナガの声すら聞こえませんでした。

初夏に野鳥の森を訪れると、冬とは違う鳥たちに出会えます。ゴールデンウィーク頃には、葉の開いていない林の中で、渡ってきたばかりのオオルリなどの夏鳥を見つけることもあります。

この辺りで見かけることは少ないものの、「支笏湖周辺で見られる野鳥」の看板にはクマゲラの姿もありました。クマゲラは日本最大のキツツキで、黒い体に赤いベレー帽のような頭が特徴です。クリクリした目も愛嬌があります。写真のクマゲラは、苫小牧市内の別の場所で撮影したものです。

休暇村の宿泊や入浴、周辺アクティビティについては、公式ホームページに詳しく紹介されています。
ビジターセンター周辺には、休暇村以外にも支笏湖温泉のホテルや旅館が数軒あります。
冬の支笏湖は雪深く厳しい寒さですが、温泉で温まり、美味しい料理を味わい、野鳥の森やバードテーブルで鳥たちと出会い、ビジターセンターや神社を訪ねるなど、人も少なく落ち着いた雰囲気の中で楽しめる場所です。
また、1月下旬から2月頃には湖畔園地近くで「支笏湖氷濤まつり」が開催されます。昼は青く、夜は七色に輝く氷像が並ぶことで知られており、冬の支笏湖では毎年話題になるイベントです。旅行のタイミングが合う方は、開催情報を参考にしてみてください。
