「地球の歩き方」に歩かされた20歳の夏
「スマホも無かった時代にどうやって旅行していたの」と娘から聞かれた。
ママも自分に聞きたいくらいよ、と返してからふと思った。
本当にどうやって旅行していたのか。
写真すらとらなかった初めての海外旅行。
昔の記憶がこぼれ落ちる前に、あの「地球の歩き方」に導かれた旅の断片を、すくいとっておこうと思った。
素直すぎる私たちは「地球の歩き方」を丸ぱくりした。
気がついたら、バックパックを背負ってロンドンにいた。
国内旅行だって、友達とは数回しかしたことないのになぜこんなことになったのか。
往復の格安航空券と初日のホテルの予約だけ持って友達とふたり、
ヨーロッパ1か月の旅に来てしまっていた。
だって、『地球の歩き方』にそう書いてあったから。理由はそれしかなかった。
当時はフツーの女の子もリュックを背負って地球を歩く。そんな時代だった。
パリの味はバーガーキング。
ロンドンの記憶は残念ながら正直ない。
英国ロックが好きだったのに、なぜだろう。聞かないで。
次の卒業旅行でリベンジにロンドンの語学学校に行くことになったが、
これはまた別の機会に語ることにしよう。
2都市目のパリでは若干緊張もほどけたけれど、
ビビリなわたしたちはパリ初日のディナーはバーガーキングへ行った。
マクドナルドよりは外国っぽい選択。
十分である。
メトロにのってあちこち行ったり、郊外への列車に乗ってヴェルサイユ宮殿にも行った。
だいぶ旅慣れた感でてきたね。
当時のパリは拙い英語も通じず、第二外国語のさらに拙いフランス語を駆使して
ヴェルサイユ近辺のホテルにも泊まった。
バルセロナでスリ!しかもバルセロナじゃなかった件
日本からユーレイルパスを購入していたのでパリからは列車での旅となった。
パリオーステルリッツ駅から夜行列車でバルセロナへ。
朝になって「バルセロナ」の文字が目に入った。
その駅が目的地のバルセロナ駅手前の「Barcelona-Clot-Aragó駅」だとわかったのは事件が起きたあとのことだった。
「着いた、着いた」と降りて、えーとどっちに行くんだろうと目を泳がせた瞬間、事件は起きた。
駅が違うんだもん、首がもげるほどキョロキョロしてもわかるわけないよ、と昔の自分たちに言ってあげたい。
友達のバッグにマスタードがかけられてバッグを下ろしたすきにスリに持ち去られてしまったのだ。
定番中のド定番。日本人の女の子が二人キョロキョロしていたら「マスタードかけてください」と言わんばかりの光景だったことでしょう。
パスポートもお金もなくなって、警察や日本大使館へ。パスポート再発行までバルセロナに滞在することになった。
バルセロナでは、女子専用のドミトリーがたくさんあって、その一つに滞在。
現地にいくまで知らなかったけれど、ガウディの建築があちこちにあり、
サグラダファミリアやグエル公園など、バルセロナ中のガウディ建築を
パスポート再発行を待ちながらのんびり見て歩いた。
先日テレビで現在のサグラダファミリアを紹介していて、ずいぶん出来上がってきたのね、と昔を思い出した。
何十年も前にわずか数時間眺めただけなのに懐かしいという感情が涌くのだから、旅の記憶ってパワフルだ。
いつだって引き出すことができる。
近いうちにバルセロナにも行って、大人になった自分がどんな風に感じるのか試してみたいな。
ちょっと話が長くなってきたので、続きは次回に。
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