おせち風呂
白味噌の匂いが漂う大きい浴槽。
湯気を出しながら、プクプクと泡が出ている。
ここのおせちは入るスタイルらしい。
浴槽に足を入れた瞬間、ヌメっとしたなんともいえない感触がした。
底で、柔らかい何かが足の裏に引っ付く。
多分、餅だろう。
肩まで白味噌に浸かり、周りを見渡す。
かまぼこ、伊達巻、数の子、黒豆、海老。
俺より大きい具材達が浮かんでいる。
……どうにかして、ここから出られないだろうか?
プカプカ浮かんでいる海老を見て、閃く。
海老を背負い、浴槽から出て、ゆっくり少しずつ歩き進む。
「おい!貴様どこへ行く気だ!」
大きな手に捕まり、持ち上げられる。
海老を取られ、鬼に睨まれた。
「ちょっとトイレに……」
「死人だからトイレは必要ないだろ。閻魔様の為におせちを作っているのだ。人間の出汁が必要だから大人しく入ってろ」
「はい……」
浴槽へ戻り、再び浸かる。
やはり、地獄から脱出することは出来なさそうだ。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。
