【やんごとなき旅の雑学】チョコにはオレンジ?
チョコレートとフルーツの組合せは、世界中で広く愛されていると思います。あなたはどの果物と合わせることが好きですか?
今から30年以上も前、ロンドンに住んでいた頃の話。イギリスの学校の中休みを使い、フランス南部の小さな町に住む友人の元を訪ねました。宿泊させてもらった御礼、という訳ではないですが、とある日のディナーのデザートを作らせてもらいました。と言っても、市販のシンプルなチョコレートムースにデコレーションをしただけのことです。この当時、日本人の私にとって、チョコ味に合わせる果物はバナナ一択。ということで、ホイップクリームとバナナのスライスで飾り付けをしたところ、たいそう驚かれたのです。
『チョコレートとバナナの組合せ?初めて食べるわ!』友人だけでなく、そのご家族全員が驚いたことに、私は驚いたのですが。
『フランスでは、チョコレートと合わせる果物はオレンジが普通だから』
確かに、バナナの産地は欧州にはありません。30年以上前のフランスではバナナはトロピカルフルーツのひとつ、南国(またはフランスの海外県)から輸入するエキゾチックな果物だと認識する人が多かった様です。特に友人一家が暮らすのは地方の小さな町だったので、そういう方が多かったのかもしれませんが。
そもそも、地中海沿岸は柑橘類の一大産地ですから、チョコ&オレンジの組合せがスタンダードだった様です。バナナよりオレンジの方がヨーロッパの食文化に深く根付いている分、デザートやお菓子に多く使われているのも当たり前な話。
オレンジのジャムやオレンジピールをダークチョコレートでコーティングしたお菓子は、フランスやイタリア、スペインでは定番のお土産として今でも売られています。レストランなどでは、オレンジとチョコレートのムースというのも、特に南ヨーロッパでは定番のデザートじゃないでしょうか。オレンジは酸味と爽やかさがあるので、チョコレートの濃厚な風味とは絶妙に合うのでしょうね。
そう言われてみて、友人宅からロンドンに戻った後にスーパーのお菓子売り場を見回してみると、確かにチョコ&オレンジのフレーバーはいくつか商品があるものの、チョコ&バナナのコンビは当時のロンドン市内でも製品としてまだ見当たりませんでした。
一方で、日本やアメリカではチョコレートとバナナの組み合わせの方が多かったですよね?私たちトラベリンゴージャス世代が子供の頃から、そうだった気がします。地理的そして歴史的に、バナナ生産国と近しい関係にあったからでしょうか。日本などでは、バナナは一年中手に入り、比較的安価で購入できるため、日常的に手に入りやすく食べやすいという点もありますね。ちなみに私の実家では、台湾バナナは高級品という認識で、たまに頂いたりすると大喜びでしたね。
30年経った今では、バナナも欧州で一般的な果物扱いとなっています。イタリアではヌテラ(チョコレートスプレッド)+バナナを使ったケーキ、フランスではヌテラ+バナナのクレープなど、チョコとバナナの組合せもあちらこちらで食べられていますから。大手チョコレート会社でも、チョコバナナ製品を作っていますし。
チョコホリックのひとりとしては、ダークチョコにはオレンジ、ミルクチョコにはバナナが合うかな~と思いますが、いかがでしょう?
何だか、自分の人生に重ね合わせて食文化の歴史の移り変わりも感じるなんて、ちょっと感慨深いモノがあるかも…。単に、そこそこ長く生きているということなのでしょうが。
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