この世はラブソングであふれている
高校3年の時、音楽や美術の授業は選択制だった。もちろん私は音楽で、担当の先生は吹奏楽の顧問でもあるN先生。女性で、年齢を言っては野暮だが、当時30歳くらい。まぁ、音楽好きにとっては楽しく、気楽な授業ではあったが、テストでみんな地獄を見ることになる。
そのテストとは、1人ずつ隣の音楽準備室(楽器などが収納してある小部屋)に呼ばれ、先生の前で1曲、しかもアカペラで歌うと言うもの。(全部ではなく1サビまで)
実はN先生は音大の声楽科出身で、発声や声を出すことに関してはめちゃくちゃ厳しかった。実にN先生らしいテストなのだが、ただでさえアカペラで歌うことが難しいのに、目の前にはN先生がガチ採点する気満々で鎮座していて、しかも別室とは言え、壁はゴーフレットみたいな薄いベニヤ板で、声はみんなに丸聞こえ。
この状況でまともに歌える人はおらず、見事にほぼ全員が不合格となった。中島みゆきの「浅い眠り」(1992年)やイーグルスの「Hotel California」(1976年)を歌った人が一発合格で、そもそも採点基準が全く分からない。
女子はDREAMS COME TRUE、MY LITTLE LOVER、JUDY AND MARY、安室奈美恵、今井美樹、華原朋美など。男子はMr.Children、GRAY、山崎まさよし、奥田民生、福山雅治などが多かった気がする。
ちなみに私は山下達郎の「さよなら夏の日」(1991年)を歌い、あえなく撃沈。十八番だと思っていたのに、先生から「富樫君には合ってないと思う」と言われ、富樫少年超絶ショック。
N先生は「不合格者は来週もう一度テストをやります。同じ曲でも別の曲でもいいので、ちゃんと練習しておくように」と言うものだから、みんな戦々恐々。
さて、ここで曲選びで問題発生。1回目のテストではみんな深く考えず、好きな曲や得意な曲を選んだ。そして2回目となった時、全員が「ラブソング系はちょっとなぁ」と言い出した。そりゃ思春期真っただ中の男子高校生が、教師とは言え、独身女性の前でラブソングを歌うのはなかなかに気恥ずかしい。しかし、「ラブソング以外の曲」と言うものが意外と少ない。ホント、世にはラブソングがあふれているんだと痛感した。
さぁ、2回目のテストで私が選んだのは…当時どハマりで、カラオケで歌いまくっていたORIGINAL LOVEの「接吻」。(1993年)
今思い出しても、よくこれを選んだなぁと思う。
結果として、先生から「いいじゃない!」と予想以上の評価をもらった。これで不合格だったら、もう何を歌っても不合格だったと思う。席に戻ると、みんなに「お前、チャレンジャーだなぁ」と言われた。
なーがーくー♪あーまいー♪くーちーづーけーをかーわすー♪
そんな、高校3年の思い出です。
テーマ「私の勝負曲」で「CONGRATULATIONS」を頂きました!

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