大好きな夫に裏切られて。4
信じられない
「・・・ただいま。」
夫に会いたくないという思いから出た声は、とても小さく、弱々しかった。
「おかえり。遅いじゃん、どこ行ってたの?」
「うん、姉の所だよ、ちょっと話してた。」
「ふぅーん。ねえお腹すいたよー、なんか作ってぇ。」
いつも通りの夫。
いつもなら、私がいないと後追いの子どものように探し、甘えてくる夫をかわいいと思っていた。
でも今は、ただ都合よく使われているだけだと思ってしまう。
夫の為にキッチンに向かい、朝食の準備をする。
このいつも通りの日常が、本当は嘘で塗り固められたものだったと知り、今にも泣き出しそうになるのを必死に堪えた。
(あぁ、やっぱり私はずっと惨めだったんだな。)
結婚当初から"飲みに行かないで" と何度頼んでも突っぱねられ、私と子どもたちを家に残してきた夫。これで、もし女と遊んでいたら今の私、惨めじゃない?って、ずっと思っていた。
それでもここ数年は、どんなに飲みに行こうが、誰と飲もうが、
"夫は私だけを思っている"
そんな根拠のない自信を持つことができるくらい、この人は私にべったりだったのだ。
でも実際は、その根拠のない自信はあっけなく崩れ、信じていた 「仲間内の飲み会」
なんてものではなく、一人の女を選んでいた。
その事実が苦しくてたまらない。
(いつからなの?)
(Kの地元の人達は知っているの?)
(ねぇ、なんでよ・・・)
たくさんの疑問の言葉が頭に浮かんでも、今は聞くこともできず、パンクしそうだった。
"夫に言わない"
さっきそう決めたばかりなのに、もう辛くてしかたがない。
受け止められない事実に、心と頭の処理が追いつかない。
この、抱えきれないストレスに最初の異変が現れた。
笑えない、ちゃんと話せない、立っていられない。
夫に話しかけれても、いつも通りになんてできなかったのだ。
いつもなら具合が悪くても優しく返事をするはずなのに、それをしない私に夫が疑問を持ち始めたのがわかった。
「夏バテかも。フラフラするし、食欲が全然ないんだよね。ちょっと横になってもいいかな?」
こちらを気にする夫に、こう誤魔化すことしかできなかった。
