惚れるけど、追えない男

女は好きだ。
惚れた相手は、ちゃんと愛してきた。

だけど俺には“執着”ってものが無い。
来るものは拒まず。
去るものは追わず。
それが良いか悪いかは今でもわからない。

向こうが離れることを選ぶとき、
俺はただ静かに見送ってきた。
寂しいけど、追いかけない。
どこかでそれが自然だと思ってた。

そして今でも思い出す女が数人いる。

手を伸ばせば届いた。
でも、硬派ぶって手を出さなかった。
照れか、臆病さか、若さだったのか。
理由なんて大人になってもわからない。

でも、あの瞬間だけは
戻れるなら戻りたいと思う。

惚れるのは得意だ。
愛すこともできる。
でも引き止めたり
奪いにいったりすることができない。

俺の愛は、
いつも触れられる距離にいるのに
どこかで風みたいに抜けていく。

多分それが、
俺という人間の“恋の形”なんだと思う。

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