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6インチの外側

インスタもXもやってない。
他にも流行りのSNSのツールがあるのかもしれないけど、他は知らないし、同じくやってない。
(noteはSNSではないよね?)

この前とあるイベントに行った時、想定以上に人が集まったようで、開始時間と参加方法が二転三転して、その情報を掴みきれず途方に暮れてしまったことがあった。
みんなSNSを駆使して情報を得て動いていくのを横目に、わたしはそれができなかった。
その時は流石に少し悔やんだ。
もしXとかやっていたら。早く動けたかもしれない。(やっててもダメだったかもしれないけど)
暑い中時間を無駄にしないで済んだかもしれない。
同時に少し苛立った。
今時SNSをやってないと満足に楽しむことも、全うすることも出来ないのか。
やってない側には損しかないのか。悔しい。
わたしは一生やらない。やってたまるか、とも思った。天邪鬼。

    ※           ※           ※          ※


長男の志望する大学のオープンキャンパスへ行った。
珍しく長い時間電車に乗った。
電車に乗るとみんな携帯の画面を見ている。
少し怖くなる。
いや、みんな移動時間を使って動画を観たりゲームをしたり、勉強したり、時間を無駄なく有意義に使ってるのだ。それを否定するつもりはない。
ただわたしは見ない。
わたしの心を奪うものは6インチの画面の中にはあまりないし、電車に乗ったんならただ電車に乗ってればいいのだ。
窓の外をみたり、人を見たり、電車のドアの上の画面の天気予報を見てる。   
そうこうしてるうちに、わたしの座ってるナナメ前に男性が乗ってきた。

蛍光グリーンの丈長めタンクトップ(乳首モロ見え)に、ぴちぴちの競泳水着のようなものを履いた(それすら長いタンクトップであまり見えず、ちゃんと履いてるか心配になるレベル)だいぶ露出度たかめの男性。あきらかにそんな格好も挙動もおかしい。
足元はサンダル。髪が長くボサボサ。
即座に私の本能がやばさを感じ、警戒した。その人がそばに立つ右半身が強張ってきた。怖い。
だけどほかの人たちは息子も含めだーれも気にしてる様子がなかった。意に介さず。目の前に不審者(もし違ったらごめんなさい。いや、違わないよね?)が来ても、目の前の画面の方に夢中。
驚愕した。
この人が万が一刃物でも持ってたらどーするの?持ってなかったけど。
絡んできたら?
目の前の画面に夢中になると、外への関心も警戒心も薄れてしまう。
それを目の当たりにして怖くなった。あとはタンクトップ男への純粋な恐怖。幸いその人はただの露出多めな変な人なだけだったみたいで、杞憂に終わって良かったのだけど。

そしてその後のオープンキャンパスの受付時には、申し込み時にメールで送られたQRコードが必要で、結局携帯がないと世の中何にもできないことを痛感したのだけど。(無事に入れました)


    ※           ※           ※          ※


大切な友達が男に騙された。
結婚寸前の彼が実は既婚者だと判明した。
奥さんらしきインスタをみつけ、そこに登場する彼を見て発覚した。
そこにはお揃いのアクセサリーをつけたり結婚記念日をお祝いしたり、ゴルフを楽しんだり、幸せそうな2人がいた。
友達もインスタなんかしてないのに(だから彼も平気で写っていた)たまたま辿り着いてしまったのだ。
そこからは色々あって壮絶だった。それは割愛。
奥さんにバラさないのを条件に、月々慰謝料を払ってもらうことで話はついた。
それがもう7年前。

友達は今でも奥さんのインスタをたまに覗いてるらしい。
最近の投稿で、犬を飼い始めた、と二人で抱っこしてる姿があったらしい。教えてくれたあと彼女は言った。
それを見てわたしさ、インスタなんて、こんな画面の中なんて嘘だらけだな、って思ったんだ。
幸せそうにばっちり映ってさ、いい旦那装ってるけどこの男は平気で人を騙すやつだし、莫大な借金(慰謝料)もしてさ、奥さんだって嘘つかれてるし、全然幸せな夫婦じゃないじゃん。なにもかも見せかけだけ。嘘っぱちだよね。
彼女は笑った。
明るく笑う彼女をみて、わたしは少しだけ困ってしまう。この話題ではいつも上手く笑えなくてつらい。
だけど全力で同意した。

うん、わたしもそう思う。
こんな画面、嘘だらけだよ。
違うっていうなら、たった今シャッター押す前に画面の外に押し退けたもの、今すぐ全部ちゃんと見せてよね。


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