卒業前夜の不安
ついに明日、会う。
どうなるかわからない。
お相手のことはたくさん話して人となりは分かっているつもりだけれど、イメージしていた感じと違うかもしれない。
そもそも会ってみたら「好みじゃないので」と断られるかもしれない。
だいたい処女がめんどくさいものであることは私自身が一番よくわかっている。手間もかかるだろうし男性は気持ちよくなれないかもしれない。
いよいよ処女卒業…の前日、夜になってふと胸の奥がざわつき始めた。
初対面の男性と会うこと、そのまま性行為をするであろうこと、私自身に自信がないこと…それらが混ざり合って、私の中で不安が急に大きくなっていった。
これまでのやり取りは誠実だったし、言葉の端々から思いやりも感じていた。それでも、実際に会うとなると、頭では整理しきれない不安が押し寄せてる。
迷った末、お相手に相談する。
実は「不安になったら無理はしなくていいけれど、ドタキャンは傷つくからまずは遠慮なく相談してね」と言われていた。
多くの処女を相手にしているとその辺はお見通しなのだろうか。
夜遅い時間だったのに、お相手はやり取りだけではなく電話にも応じてくれた。 不安を隠さずに話すと、お相手は途中で遮ることなくゆっくり聞いてくれた。
「無理に会わなくていいよ」
「ひのきさんが安心できることが一番だから、不安なら日を改めてもいいし、もっと話してからでもいい」
「会って断るなんて失礼なことはしない」
「初めてをいい思い出にして欲しいだけだから、満足させなきゃとか考えなくていいよ」
そんな言葉を落ち着いた声で伝えてくれた。
その優しさに触れて、私の中の不安が少しずつほどけていった。
「この人なら大丈夫かもしれない」 と自然に思えるだけの安心感があった。
電話を終えた頃には、不安は完全に消えたわけではないけれど、 それでも「会ってみたい」という気持ちが、もう一度静かに戻ってきていた。
何より私なんかにここまでしてくれたお相手に失礼だし、ここで日和ると将来後悔しそうだった。
